序章 終わり逝く世界
「考えたこと、なかったんだ。俺が、俺自身が、どんなに血反吐を吐いてもどうにもならない現実を前にした時……どうしたらいいかなんて。どうにもならないことなんて――いくらでも、世界に溢れてたってのに。俺は、嫌って程それを――思い知らされていたはずなのに」
目にした現実。叩き付けられた現実を前に。
誰もが――選択を迫られる。
「覚悟は、あります。怖いけど、泣きたいけど……逃げたい、けれど。恨まれるために、私はここに来たんですから」
「……頑張るよ。頑張る。だから、護も……頑張れ」
「流石にこれは想定外だ。……この国のために、いくらお前の頼みでもそれを引き受けることはできない」
誰もが、自身の守りたいもの――守るべきもののために、選択をする。
その守りたいものが違うが故に……過つことも、また、必然。
「ここはエトルリア公国の領内です。何者であろうと、戦闘行為を行うことは認めません」
「ならば見捨てるというのか? 奴らは我らしか頼れなかった。そうするしかなかった。ここ以外に行く当てなどなかったが故にここへ来たのだ。そんな者たちを――貴様は、『邪魔だから消えろ』と追い返すというのか?」
「私は……生きていてもいいのでしょうか?」
「その答えを人に求めるのは、あまりにも卑怯ですよ。それは自分自身が決めることですから」
激動する世界。変わっていく日常。
自ら前へと踏み出さなければ、世界は何一つとして答えてくれない。
「お前如きが、俺に勝てると思ったのか?――思い上がるな、餓狼」
青年は、現実を目の当たりにし。
「何故だ……何故、お前が……どうしてお前がそこにいるんだ!?」
世界は、どこまでも人を嘲笑う。
そして、青年は。
「俺が……頭を下げれば……アイツらを、救えるのか……?」
どうしようもなく大切になってしまったもののために。
「俺はどうなってもいい。何でもする。何でもするから……だから――」
その全てを投げ捨てて、首を垂れる。
「――アイツらに、手を出さないでくれ……!!」
英雄譚―名も亡き墓標―
選択の時は、いつだって唐突に訪れる。
「守られている時間は、安息の時間は――もう、終わりですよ」
その果てに掴むのは、何か。
何を――掴むことが、守ることができたのだろうか。
本当に大切なモノは――何だ?
「間違っていても! どうしようもなくても!それでも、俺は! 俺は――こんな風にしか生きられねぇんだ!!」
前を向き、歩み続けてきたが故に。
気付けなかった、とても大切なモノ。
前を向くことが許されなくなった時――青年は、何を選ぶのか?
そして、世界は。
一つの現実を――目撃する。
「――さよなら。ありがとう。本当に、ありがとう。俺は――……」
というわけで、予告のようなものです。
相変わらず、私にはシリアスしか書けません。最早病気ですねコレ……。
ではでは、ありがとうございました。




