間章 七神行脚
眠れる獅子、と呼ばれた国がある。
ユーラシア大陸の東に位置するその国は、四千年の歴史を背負う国だ。
名を、中華帝国。
世界においてトップクラスの人口数を誇り、栄華を極めてきたその国は国際連盟においても重要な立ち位置にいる。もっとも、発言権は低いのだが。
現在、中華帝国を取り仕切るのは皇帝という人物だ。元々は政治を行っていたのが『元老院』と呼ばれる中華帝国の貴族たちだったが、大戦時にシベリア側につき、その際に本来戴くべき皇帝を幽閉するという暴挙を犯した。
主君を幽閉するという暴挙。それを行ってでも、中華帝国は外へと進出するつもりだったらしい。だが、それを大日本帝国が止めることとなる。
当時の《七神将》第一位、《剣聖》藤堂弦十郎が皇帝を救い出し、大日本帝国軍はほとんどの貴族を一掃した。このような経緯から中華帝国は大戦で目立った戦果を挙げることはなく、そのせいで発言力も低くなっている。だが、アメリカに次いで大日本帝国と公に国交を持つ国でもある中華帝国は、発言力は低いが無視はできない国という立ち位置にいた。
その国に、客人が訪れている。人数は多くない。精々が千人単位だ。その目的を考えれば一個大隊という人数は正直少ないのだが……彼らの先頭にいる人物たちを見れば、そんなことは口が裂けても言えない。
「中華料理は油を大量に使用すると聞いていたが、思っていたよりもあっさりしているな。このピリッ、と来る辛さが何とも言えない。うん。美味い」
「アキちゃん、口に食べかすついてますよ?」
「てか量多いな。食い切れねぇぞこれ。……おーい!! お前らも食えよ!! せっかくのご馳走だぞ!? 食わなきゃぜってぇ損するぞお前ら!!」
「しかし、本郷様……」
「…………貴様ら全員そこに正座しろ」
声が響き渡るのは、中華帝国皇帝が済む皇居にある客人を迎えるための大食堂だ。本来なら品性が何よりも重視され、荘厳な雰囲気の中で粛々と『会合』という名の食事が行われる場所なのだが……机の上に所狭しと並べられた料理を前に、中華帝国の客人たちはやりたい放題だった。
ちなみに発言は順に、
《七神将》第一位、《武神》藤堂暁。
大日本帝国最高位、帝。
《七神将》第五位、本郷正好。
今回の行軍の際に連れて来た、暁の部下たち。
《七神将》第二位、《剣聖》神道木枯、の順番である。
大日本帝国の軍人たちはそれぞれ正好の言葉に戸惑っているだけだが、それを見守っている中華帝国の者たちは唖然としている。慣れた者たちは苦笑を漏らすだけだが。
どんどん騒がしくなっていく食堂内。それを、とある人物の一喝が黙らせた。
「いい加減にせんかこの馬鹿共!! 遊びに来ているのではない!! 目的を間違えるな!!」
声を上げたのは木枯だった。彼女は背負っていた日本刀を床に突き刺し、騒ぎまくっている同僚たちへと一喝を飛ばす。それに対し、小首を傾げたのはあろうことか帝だった。
「えっ? 遊びに来ているのではなかったのですか?」
「大将。今すぐ帝の尻をひっぱたいて教育する許可を頂きたいのですが」
「木枯が怖いです! アキちゃん助けてください!」
「帝。今のはあなたが悪い」
一瞬で暁の背後へと回る帝。その頭を撫でながら、優しく暁は言った。
「――ここへは、中華料理を食べに来たんです」
「成程。すみません木枯。間違えていました。私の落ち度です」
「…………もういい。二人共ちょっとそこに正座しろ」
木枯の声が低くなり、ゆっくりと床に突き刺した日本刀を抜き出した。その目は本気だ。敬語もなくなっていることから、相当キていることがわかる。
これはマズい。ふざけ過ぎた――帝と暁はアイコンタクトでそんな会話を交わすが、時すでに遅し。二人は黙ってその場に正座する。そこへ、正好が笑いながら言葉を紡いだ。
「まま、いいじゃないッスか。木枯さん。非公式なんですし、別に体面気にしても仕方ないでしょ? それで飯を不味く食う方が勿体ないッスよ」
「黙れ正好。貴様も正座だ。非公式だからこそ、その品性が問われる。貴様も一緒に教育してやるから、こっちへ来い」
「いやぁ、ははは……ってあれ、うさぎちゃんは?」
「む?」
逃れるものは何かないのか……そう思って正好が周囲に視線を巡らせると、そこにとある人物の姿がないことに気が付いた。
《七神将》第四位、水尭彼恋。
一部の兵からは『うさぎちゃん』と呼称される、《七神将》における最年少の少女だ。正好の言うように、そこに彼女の姿がない。
「あれ? 彼恋なら、あそこで中華帝国の男性陣にナンパされてますよ?」
「「なんだと!?」」
木枯と正好が同時に帝の言葉に声を張り上げる。二人が視線を巡らせると、確かに彼恋は中華帝国の若い男たちに囲まれているところだった。
「あ、あの、えっ、えっと……」
「可愛らしい方ですね。どうです、この後の舞踏会で私と共に踊りませんか?」
「え、えうっ、そ、そのっ……」
「私とも是非」
「あ、あうっ、わ、わたしっ……」
「私とならば如何ですか?」
これは非公式な訪問ではあるが、大日本帝国はどちらかというとそういう訪問の方が多く、重要な話はそこで進めることも多い。その際に舞踏会などが行われるのもよくあることだ。
彼恋は対人スキルこそ壊滅的だが、その背負っているものは強大だ。その小動物のような仕草も可愛いものであるし、言いよる理由はいくらでもある。普通に可愛い子でもあるのだから。
ふう、という息を吐く音が響いた。木枯と正好が、ゆっくりと刀を構える。
「我が国の将に用があるのなら、私を通してからにしてもらおうか?」
「誰に断ってウチのアイドルに手ェ出そうとしてんだテメェら。ぶちのめすぞコラ?」
鬼×2。中華帝国の男たちが尻込みする。だが、ここは会談の席だ。まさか刃傷沙汰は起こさないだろう――そんな打算が男たちの逃走に歯止めをかける。
――しかし。
「逃げないとはいい度胸だ。敬意を表して一人ずつ丁寧に殺してやろう」
「どうせあれだ。非公式だしな。ぶち殺してもいいんじゃね?」
「帝、許可を」
「陛下ー。うさぎちゃん守るために許可くれませんー?」
「許可します。私の彼恋に手を出すのを放置はできません」
「いや止めましょうそこは」
「許可が出た。さあ、殺ろうか」
「ぶっ殺すぞコラァッ!!」
「……前から思っていたんだが、木枯さんも大概人の話を聞かないな」
暁の呟きは届いたのか、それとも届いていながら無視しているのか……木枯と正好が特攻を仕掛け、それが無関係な者たちにも伝播することで状況はどんどんカオスになっていく。
後始末が面倒そうだな……などと呟く暁。その暁へ、背の低い一人の少年が声をかけた。
「大日本帝国の皆様は、いつも賑やかですね。羨ましいです」
「すみません、皇帝陛下。騒がしくして」
「良いのです。このような機会、中々ありませんから」
微笑む少年は、年の瀬は十かそこらといったところだ。しかし、その身に纏う豪奢な衣装は彼が相当な高位に立つ人間だということを示している。
中華帝国、皇帝。
十億人を数えるとされる、世界最大の人口を誇る大国、中華帝国。その頂点に立つのが、この少年なのだ。
「皇帝……この場合、ワンくんって呼んだ方がいいですか?」
「あ、あの、帝? 私の呼び方はそれで決定ですか?」
「ええ。可愛くありませんか?」
「う、うう……」
ズイッ、と顔を近づけながら言う帝に、ワンくんと呼ばれた皇帝は黙り込む。大日本帝国には逆らえないという中華帝国の立場もあるが、それ以上に少年の方が帝に精神的に負けているようだった。
皇帝をからかうようにして微笑む帝。暁がそれを止めようと思っていると、その前に別の人物が割って入った。
「陛下。そろそろ話を進めましょう」
「ん? あなたは……」
「お久し振りです、将軍閣下。凰凛姫です。覚えて頂けていましたか?」
「近衛隊二大エースの一人だろう? 郭利虎はいないのか?」
「彼は今、別件で出ております。……ご用がおありでしたか?」
「いや。いるならば挨拶をしようと思っただけだ」
暁は首を左右に振る。目の前の女性……凰凛姫は、皇帝直属の近衛隊に属する人間だ。暁は居住まいを正すと、隣の帝と共に改めて挨拶を行う。
「改めて、《七神将》筆頭、藤堂家当主。藤堂暁だ。今回は急な申し出に応じて頂き、感謝している」
「我々の無理な要求を聞いてくださり、ありがとうございます」
頭を下げることはしない。大日本帝国と中華帝国は、そういう関係ではないのだ。
対し、皇帝と凛姫は頭を下げる。
「大恩ある大日本帝国の行軍に協力こそすれ、拒否する理由は我が中華帝国にはありません」
「この程度で皇帝陛下と中華帝国を元老院から救っていただいた恩は返せないと思っていますが……少しでも力になれたなら幸いです」
これが、今の大日本帝国と中華帝国の関係。
大日本帝国自体は、他国を侵略するような意志はない。そういう次元で物事を捉えていないのだ。
――〝君臨すれども統治せず〟
大日本帝国の指針である。彼らは結論から言えば他国へと口出しできるだけの力と実績を誇っているわけだが、それとは別の観点で行動するのが大日本帝国だ。彼らはただただ君臨するのみ。他国の行いに口を出すことはしないし、必要ない。
「とりあえず、こちらの滞在期間は事前に伝えた通りだ」
「三週間、でしたね?」
「ああ。シベリア連邦に滞在している男からの連絡が来ない。連絡がないということは、順調であるということでもあるが……それはそれで問題だ。相手が相手である以上、こちらも細心の注意を払う必要がある」
暁は言う。今回の行軍の目的は、二年間も行方をくらましてくれているとある人物の見極めだ。だが、相手が相手である。相応の準備が必要だ。
「とりあえず、〝風林火山〟の調整と、俺たちの神将騎の調整に時間がかかる。相手は《女帝》。俺の祖父が『できれば二度と敵に回したくはない』とまで言う相手。……全力でいかなければ、こちらが喰われかねない」
言い切る。出木天音――《吉原最後の女帝》と呼ばれる天才……否、天災。
底辺の底辺。親も知らず、出自も知らず、自身の正確な年齢さえも知らないという本当の意味で『何もない状態』から、囚われている者にすれば『この世の地獄』とまでいわれる『吉原』で頂点に立ち、同時にその身一つで大日本帝国と渡り合ってきた怪物だ。
《史上最高の天才》と謳われ、ここ数代誰も襲名していなかった文字通りの『最強』の名である《武神》の名を十六の若さで襲名し、それを認めさせた暁でさえ、天音を前にした時には思ったのだ。
――どうすればいいかわからない。
この二年で暁は相当な力をつけたし、多くの物事を見たことでその器の深さと広さは莫大になっているが、天音はそういう類の存在ではない。
ただただ、見えない。
器そのものが見えない。まるで陽炎のように、見えているのにそこにいないような、そんな感覚を叩き込んでくるのだ。
故に藤堂暁は――天才と呼ばれる彼は、天災を正しく強大と位置付ける。
「勝てないとは言わないが、勝てるとも言えない。そういう相手だ。……協力、感謝する」
「天音は危険です。私は天音が大好きですが、それ以上に大日本帝国の皆が大好きです。その脅威となるならば、殺すことさえも躊躇いません」
それについての論議は、すでに終わっている。
必要ならば、出木天音の首を落とすことも躊躇わないと。
その二人の言葉を聞き、皇帝が頷いた。
「我が中華帝国は、大日本帝国への協力を惜しみません」
「感謝する」
「いえ。……ただ、一つだけいいでしょうか」
皇帝が、帝へと視線を送った。帝が首を傾げる。
「どうされました?」
「何故、最前線に大日本帝国の帝が来られているのです……?」
皇帝としてみれば、戦略的な意味が何かあるのかを聞きたかったのだろう。帝という大日本帝国にしてみれば命とも呼べる存在が前線に出る利益とはなんなのか……一国の長として、知っておきたいと思ったに違いない。
「…………」
故に、暁は何も言えない。
気まぐれなどとは――口が裂けても言えなかった。
◇ ◇ ◇
風を切る音が響く。鋭い音。VIPのために用意された宿舎の中庭で、一人の青年が日本刀を振るっていた。暁だ。
結局、あの会食は木枯によって吹っ飛ばされた男が帝に直撃。ブチ切れた帝が片っ端から色んなものをぶっ壊したので、舞踏会もなしになった。暁個人としては舞踏会はどうでも良かったが。
刀を振る。振るい続ける。
鍛錬は嘘を吐かない。戦いというのは、それが起こるまでに何をするかで勝負が決まる。だが、それは戦術、戦略的な話だ。実際の殺し合いで頼りになるのは、やはり己の肉体。
鍛錬によって鍛え上げ、研ぎ澄ませた肉体。信じられるのは、それだけだ。
軍隊の指揮についても学んではいる。だが、やはり肌に合わないのだ。自分にできること、やり遂げられること……それは、やはりこの手で敵を斬ることのみ。
「――――!!」
振り抜く。音はなかった。
それほどに――鋭利な斬撃だった。
パチパチパチ……
拍手の音が響く。そちらを見れば、帝がこちらへと歩いてきていた。帝は笑みを浮かべたまま、流石です、と頷く。
「色んな人を見てきましたが……やっぱり、アキちゃんの剣筋は最高ですね」
「陛下に褒められると、悪い気はしませんね。……気持ちは落ち着きましたか?」
「あ、あれは違います!」
帝が慌てて否定する。暁は笑いながら、大体、と言葉を紡いだ。
「あなたの力は俺よりも上なんですから、無闇に暴れないでください」
「いやだって、その……っていうより、二人きりなんです! 敬語駄目です!」
「……誤魔化したな。まあ、別にいいが」
チン、という金属音を響かせ、暁は日本刀を鞘へと収める。そのまま、帝へと向き直った。
「……久し振りだな。こうして二人で話をするのは」
「そうですね……。アキちゃんが《武神》を襲名してからは、初めてです」
「あれから、《七神将》になるために色々と学んで、忙しかったからな」
苦笑しながら暁は言い、そして、目の前の少女を見据える。
「ようやく、ここまで来れたよ。みなも」
みなも、と暁は目の前の少女の名を呼んだ。
大日本帝国最高位、帝。そこに固有の名など必要ない。それは象徴であり、存在するだけでいいからだ。
しかし――二人きりでいる時は、互いに互いの立場を忘れる。そういう約束だった。
「あの時から、随分と時間がかかったが……ようやく、ここまで辿り着けた」
「……はい。信じていました」
「だが、これからだ。これから、俺はあの日の約束を果たしに行く」
ずっと昔に、二人は約束を交わした。
小さな、とても小さな約束。
――しかし。
多くの人々の頂点に立つ二人の約束は、今やたった二人だけのものではない。
「この世界を壊させはしない。出木天音が、この世界における『方程式』であるなら、俺は容赦をしない。必ず、この手でお前との約束を果たしてみせる」
「……天音は、あなたにとっては恩人でしょう?」
「恩人だ。多くのことを教わった」
言い切る暁。その彼が思い出すのは、出木天音が告げたたった一つの台詞だ。
〝もう無理だとか、もう限界だとか……そんなものは他に道がある者にのみ許される戯言ですよ、暁。あなたにはこの道以外の選択肢などありえない。ならば悩む意味もなければ、折れる意味もない。さあ、立ちなさい。足が折れた? 腕が折れた? それがどうしたというのです? 戦う理由は、心にあるもの。手足が千切れた程度で、人は抗うことを諦めはしませんよ〟
凄まじく厳しい言葉だった。実際に四肢は折られていなかったとはいえ、それに近い状態だった自分にそれほどの言葉を叩き付け、その上で天音は刀を振り下ろしてきた。
優しさではない。ある種の信頼だったのだろうと思う。
ここで死ぬような、安い存在ではないと。
……その後、本気で両足の骨を圧し折られたのはいい思い出だが。
「だが、俺にとってはみなもの方が大切だ。世界を守りたいとは思う。だが、それは約束よりも下だ。俺はそこまでの覚悟を決めた。出木天音も、顔も知らない誰かも俺にとっては等価だ。約束の下にある」
「アキちゃん……」
「約束のために、俺は多くの人を殺す。だから、みなも。お前が背負ったものがもうどうでもよくなって、全てが解決したなら。お前が名前を名乗れる日が来たなら」
暁は、言う。
「毎日を、笑って過ごしてくれ」
それが――約束。
世界最強と謳われる英雄の、たった一つの折れない誓い。
帝が、うん、と頷く。
「その時は、アキちゃんも一緒だよ?」
「当たり前だ」
当然のように頷く。世界という途方もない『全て』を背負い、その上で笑うために。
藤堂暁という天才は、ここまで歩んできた。
「……そろそろ戻る。大体、どうしてお前は浴衣なんて着てるんだ? 季節考えたほうがいいぞ」
「色っぽいですか?」
「ノーコメントだ」
「ケチですねー。……というか、アキちゃん」
帝は暁を呼び止め、彼がいた中庭へと視線を向ける。まるで、ゴミでも見るような目つきだった。
「そこに転がってるのって、何ですか?」
「ああ、それか」
頬についた紅の液体を拭い、暁がつまらなさそうに言う。
「俺たちを殺しに来た刺客だ。表の方では木枯さんが二十人ほど一人で始末したと聞いてる。正好さんは内部の見張りだ」
そこにあったのは、それこそギロチンで斬られたのかと思うくらいに綺麗な切断面で五体を斬り飛ばされた死体だった。
数は――首を数えれば三十といったところか。
「ワンちゃんですか? それだとオシオキしなくちゃいけませんけど」
「いや、皇帝じゃない。一人だけ生かしておいて、とりあえず手足切り飛ばして体に聞いたんだが、どうやらここから北西のところに元老院の残党がいるらしい。全て狩り尽くしたと思っていたが、残飯のような連中がいたようだな」
「成程成程。……それじゃあ、アキちゃんはこれからどうするつもりなんです?」
「丁度いい機会だ。俺の神将騎のチェックをしてくる。シベリアに入る前に実戦投入して確認できれば、それが一番だからな」
言って、暁は中庭にある柵へとかけていた軍服の上着を羽織った。彼が浴びた返り血によって朱に濡れるが、暁は欠片も気にしていない。
死体の山と血の池に、暁は背を向ける。その光景は、まるで彼が歩んできた道を示しているようだった。
――『覇』の、一文字。
その背に背負った誓いを携え、《武神》と呼ばれる男が戦場へと足を運ぶ。
「夜明けまでには終わらせてくる」
「うん。行ってらっしゃい」
一人で戦地へと赴こうとする暁。それを、何の躊躇もなく帝は送り出す。
それが信頼であり、彼の力に対する信用だ。
――夜明け前。
中華帝国北西部にある反抗勢力のアジトが、僅か数分で壊滅した。
本気で何しに来たのかわからない、一応世界最強国のトップであるはずの人たちです。
本気で無茶苦茶ですね……でも、あれが彼らの空気感。あそこに天音がいたというのだから、戦争時はもっとカオスだったことでしょう。
というわけで、帝の本名が出たりここにも『約束』を交わした二人が出たりと、シベリアの外でも物語は動いています。
そんな空気を感じ取っていただければ幸いですね。
ちなみに今回登場しました凰凛姫と郭利虎はアヴェンジャー先生に頂きました。
ありがとうございます!!
感想、ご意見お待ちしております。
ありがとうございました!!