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第0話『金貨を見ると吐くようになった』
冒険者ギルドの大広間は、久しぶりに活気があった。
報酬の配布があるとかで、冒険者たちが列を作っている。受付の台の上に袋が積まれている。硬貨の音がする。銅貨、銀貨——そして。
金貨が、見えた。
胃がひっくり返った。
黄色い光沢。積み重なった丸い金属。それだけで、呼吸が浅くなる。視界の端が滲む。喉の奥に苦いものが込み上げてくる。
冒険者ギルドの床にしゃがみ込んだ。
後ろの冒険者が驚いて道を開ける。列が乱れる。誰かが「おい大丈夫か」と言った。別の誰かが「金貨見て倒れた」と笑った。笑い声が遠い。
(……金が、だめだ)
三日前までは、平気だったのに。
銅貨も銀貨もある。
それでも、価値の中心は金だ。
金を見るだけで吐く人間がどう生きるのか。
答えは、まだない。
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