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だって心が ひりひり するから。

作者: とと
掲載日:2026/02/13

リアム ⇒ ルル ⇒ リアム 視点で話が進みます。

読んでいただきありがとうございます。



リアム 視点



僕の婚約者、ルル・フテラム辺境伯令嬢は、チェリーブラウンのふわふわの髪に澄んだ青い瞳、色も白くて小さくて可憐。さらに声も澄み切って美しい。

第一印象はおしとやかで、控えめな淑女。


外見は妖精とまで言われているが……


完全に中身が見た目を裏切っている。


なにしろ正義感が強く、間違っていると感じたら正さずにはいられない。


この間も婚約者がいるのに、複数の令嬢に色目を使う伯爵令息に異を唱え、ペチャンコに打ち負かしていた。


正しい事は言っているが、真正面から切り込む先方に僕はいつも肝を冷やされる。


いくら、彼女が辺境伯令嬢で僕が公爵令息でも力が及ばないことがあるんだからな!


「ルル!また揉めごとに首突っ込んだのか~」


僕は裏庭の芝生でランチをすると先に向かって待っているルルに声をかけた。


チェックの広い敷物の上にちょこんと座る姿がかわいい。


「揉めごと?」


「ファロ伯爵令息の事だよ、かなりへこんでたよ」

僕もルルの隣に座り、籠からサンドイッチを取り出す。


「だってエマ様の事を考えたら!心が ひりひり するんだもの!エマ様に悪いところはひとつも無いのよ、なのにあっちにふらふら、こっちにふらふらと!

それに私は、今後起こる未来を説明して差し上げただけですわ」


ルルは中庭のベンチに座る二人を見ながら、サンドイッチをもぐもぐしている。

ハムスターみたいでかわいい。


「ルル何を見てるの?」


「次の作戦を考えてますの」


「作戦?  も も もしかしてあそこに見えるアーサー王子殿下!」


「それにしてもあの男爵令嬢どうやったらあんなにピンク色に生まれてくるのかしら」


「ルル~。僕たちが説得しなくてもさすがに大人が何とかすると思うんだけど……どうかな~」


「どうにかならないから私がするんですわ」


さすがに王子に意見するのはまずいよ。

止めても聞かないだろう我が婚約者をどうやって守ろうか……。僕もサンドイッチを食べながら思考を巡らせた。




✿ ✿ ✿



ルル 視点



私は次の日、作戦を決行することにした。


「ルル……いやよ私……」


「大丈夫よ、クレアはただ座って頷いてくれればいいの」

嫌がる親友のクレアを引きずり、毎日中庭で婚約者でもないピンク色の男爵令嬢とイチャコラしているアーサー様の元に向かう。


「まークレア!ちょうどいいところに座れる場所が開いているわ~とにかく今直ぐに私の話を聞いてほしいのよ~。ここに座って!」

クレアをアーサー様とホスホマ男爵令嬢のミア様の横に座らせた。


「ルルは座らないの?」


「ありがとう。クレア!でも私こんな気持ちで座ってお話しする事なんて出来そうにないの」

私は3人を前に演説を始める様に庭に置かれた石の上に上がった。


「ちょっと!他のベンチだって空いてるでしょ~なんで隣に座るのよ~」

ピンク色の人が何か言っているけど気にしない。

アーサー様はぽかんとしている。


「クレアあのね、私のおばさまが隣国に嫁いだのは知ってるわよね」


「ええ。ルナ王国のエレナ王妃殿下でしょ」


「そうそのエレナおばさまの息子の話なんだけどね!

息子って言っても、おばさまは正妃様で、問題の息子は側妃様からお産れになった王子なの」


「その王子殿下がどうしたの?」


私は勢いよく拳を突き上げ話し始めた。

「そうだ!その王子殿下より先に一言いいたいことがあったのよ!

大体ね。エレナおばさまは、子宝に恵まれて、ご結婚されて次の年には第一王子を出産。その後も次々にご懐妊されて、4人の王子と2人の王女を無事にお産みになったのよ!


なのに!側妃って何よ!世継ぎがいないわけでもないのに!そうだわ。納得がいかないわ!お父様に言ってこれから抗議した方がいいかしら」


「ルル!落ち着いて王子はどうしたのよ」

クレアに制される。



「そうだわ。ごめんなさい話がそれてしまったわね。

その王子がね、隣国の学院に通う17歳らしいの、その学院を卒業したら公約家に婿入りする予定なんですって。

婚約者である公爵令嬢のアイリス様は、凛としたまさにアイリスの様に美しく、成績は常に学年で女性のトツプ!公爵家の運営する事業にも携わられて成果を上げていらっしゃるの。素晴らしい方でしょ~」


「まあまるで、わが国で言うとフレア様のような素敵な令嬢ですのね!」

アーサー様の頬がピクリと動いた。

フレア様はアーサー様の婚約者だ。


「あら。エマ様」


「すみません。通りかかったら聞こえたもので、それでそのアイリス様がどうかされたんですか?」


「アイリス様にはなんの問題もないのです!

問題はそこに婿に入るはずのぼんくら第5王子ですわ!

優秀なアイリス様がいらっしゃるのに、学院で知り合ったスプリンググリーンのふわふわ髪に、同じ色の瞳を持つ可愛いだけで、マナーも教養もない男爵令嬢に入れあげて、同じ学院に婚約者が居るのに隠す事も無く毎日一緒に過ごしているらしいの」


アーサー様が顔色を悪くして コホンと咳払いをし、立ち上がろうとした。


「なになに、そんな王子がいらっしゃいますの~」

立ち上がろうとしたアーサー様とミア様を数名の令嬢たちが囲んだ。


「なにも考えていませんのね~」

「婿に入るのでしょ~どんな神経していたらそんな事できるのかしら」

「信じられませんわ~」

「将来のことなど考えていないのかしら」

「学院だからと思っているのではなくて、ここは小さな社交界ですのに」

「そうですわ、学生の後ろには親がついています」

「お母さま方のお茶会でも話題になっているのではなくて?」

「もしかして親たちにはばれないと思ってますの?」

「脳みそがありませんの?」

「あったらそんな馬鹿なまねできませんわ~」

「それもそうですわね~。良識がある人間がする事ではありませんわ」


集まった令嬢達のおしゃべりが途切れたところでクレアが口を開いた。

「それでそのぼんくら王子はどうなりましたの?」


「よく聞いてくれましたわ クレア!

その毎日みんなに見えるような中庭で、愛を育んでいたぼんくら王子はね。もちろん子種を絶って王席を抜かれ学院も退学処分。今は何処にいるかもわからないそうですわ~」


アーサー様の顔色がなくなった。(アーサー様 口がぽかっと開いていますわ)


「ええ~。その愛を育んだ緑の男爵令嬢は助けてもくれませんの?」

エマ様が声を上げる。


「男爵令嬢と言いましても、学院に入る少し前に珍しい色味とかわいらしい

容姿に眼をつけた男爵が養女に迎えた子だったみたいで……

かわいそうにね~裕福な子爵家にでも嫁に行ければよかったのに

なんで王子様の隣なんて夢に見たのかしらね~」


「全く貴族社会がわかっていないのなら気の毒ね~」

「婿入りが決った王子なんて狙ってどうするのよ」

「婿に入らないまでも、公爵令嬢を蔑ろにした王子なんて屑に決まってるじゃない」

「貴族みんなに屑と知られたら立太子は無理でしょうね~」

「他に王位を継ぐ方は、いらっしゃいますものね」

どんどん令嬢たちが増えて話が盛り上がる。


クロエがいいタイミングで話を戻す。

「その緑の男爵令嬢はどうなりましたの?」


「ん~。それがもう生娘でもなかった様で、他家にも裕福な商家にも嫁ぐことが出来ず、身売りされてしまったそうよ」

ミア様の顔色もなくなる。


「もしかして、自分が王妃になんて思ったのかしらね」

「よくロマンス小説でありますものね」

「王妃になるなんて相当能力がなければできませんわ」

「国民のためいろいろな公務をこなすんですもの普通の人にはできないわ」

「毎日お茶して笑っているだけとでも思っているのかしら?」

令嬢の皆様が頷く。


「ところで、アイリス様が気になりますわ」

エマ様が私を見る。


「エマ様。安心してください

アイリス様はもともと、第4王子のことをお慕いしていましたの、それを側妃様が我が息子のためと国王に懇願し強引にぼんくらの婚約者にされていたのですわ」


「「「ルル様 それで それで?」」」


「第4王子もアイリス様への思いを内に秘めていらしたの♪

もちろん二人は結ばれました~」


「「「 きゃ~~~」」」

「まあ。素敵」

「正しき者は報われますわよね~」

「神様ちゃんと見てますわ」

「ぼんくらと結ばれなくてよかったですわ」

「ぼんくらなんて生まれ変わったらカメ虫になってしまえですわ」

「やだ~。でもアイリス様が幸せになれてよかった」

「そうねそうね」


「あら。みなさんお昼休みが終わりますわよ~」

「あらいけない」

「もどりましょ~」


にぎやかな令嬢達が立ち去った中庭には、アーサー様とミア様が抜け殻の様に座っていた。


その日の昼休みの惨劇は瞬く間に学院中に広がり、さらには社交界にアーサー様の昼休みの過ごし方も添えられて広がった。




✿ ✿ ✿




リアム 視点



僕はルルとランチをして、芝生にゴロンと寝転んで空を眺めた。

父の力を借り、ルルの作戦が失敗した時は圧力を加えられる様に準備していただが、杞憂だった。


さすがの王家も貴族中で悪い噂が立ったアーサー様を放置しておけず療養の理由で離宮に幽閉した。

そして男爵令嬢は北の修道院へ送られた。


「ルル。しかしすごかったね、あんなに令嬢達を仕込んでいたの?」


「いえ。連れて行ったのはクレアだけですわ」


「じゃあ。みんな、ルルの作戦に自ら進んで参加しに行ったんだね。何かあったら駆け付けようと、庭園の見える渡り廊下で見てたけどすごい迫力だったよ。学院中の男子生徒が震え上がったと思うよ」


「やましい事が無ければ、震える事なんて何もないですわリアム様。  なにか私に隠し事でも?」


「そんなこと無いよ、僕はルル一筋です」

かわいいルルをぎゅっと抱きしめる。


「もう私の心が ひりひり することが起きませんように」

そうルルがつぶやいた。



~ 終わり ~


ちなみに フレア様は晴れてお慕いしていた、侯爵令息と

結ばれました(#^^#)

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