第4章 灰色の波動
轟音。
空が裂け、灰の大地が震えた。
エコーズがわらわらと集まってきていた。
「チッ、こいつに反応してやがる」
ジャックは何発目かの発射で、尽きた弾丸を充填させながら、言う。
腰のβが、やたらと熱い。
慧吾は青ざめた顔で、それでもエコーズを斬り伏せていた。だがその消耗は激しかった。
最後の一匹を倒したその時、慧吾の胸の光が爆ぜる。光とも闇ともつかない波動が、周囲を飲み込んでいく。地面の亀裂が広がり、黒い影がそこから噴き上がる。
「……慧吾!」
ジャックの叫びも届かない。慧吾の瞳は焦点を失い、足元が崩れる。
「……抑えきれない」
慧吾が呻く。
膝をつき、地に手をつく。掌の下から、まるで血のように黒い光が滲み出す。
「おい、聞こえてんだろ!」
ジャックが駆け寄る。
慧吾は歯を食いしばり、顔を上げた。
「……来るな……っ!」
「知ってるよ」
ジャックが吐き捨てるように言った。
そのまま慧吾の肩を掴み、無理やり引き寄せた。
「てめぇの“ひとりで大丈夫”なんて言葉、
もう聞き飽きたんだよ」
慧吾の体が震える。胸の奥で光が暴れ、ジャックの腕にも焼けるような痛みが走る。
それでも、離さなかった。
「離せ……お前を巻き込む」
「巻き込まれてやるって言ってんだ!」
ジャックが怒鳴る。
「……誰もいねぇ場所で、また消えさせるもんか」
風が吠える。灰が舞う。
慧吾の手が、わずかにジャックの腕を掴む。
それは拒絶ではなく、支えを求める“人間の手”だった。
「……また、失うのが怖いのか」
慧吾がかすかに問う。
ジャックは笑った。
「怖ぇよ。
お前の、自分ひとり消えるならって顔が、いちばん怖ぇ」
風が強く吹いた。とたん、光が収まり、静寂が戻った。
慧吾の肩が落ちる。ジャックはまだ腕を離さない。
「……バカが」
慧吾の声が微かに震えた。
「お前が言うな」
ジャックが笑った。
風が通り抜け、空の隙間から一筋の光が差した。




