第七話 運命の分かれ道
翌日、悠真は一日中そわそわしていた。
「本当に行くべきなのか……?」
夜9時、知らない誰かが指定した場所へ行く。
そこには、自分と同じ"選択の力"を持つ者たちがいるという。
しかし、それが本当かどうかはわからない。
もしかしたら、罠かもしれないし、危険な目に遭う可能性もある。
放課後、友人の中村と話していても上の空だった。
「お前、今日なんか変じゃね?」
「……そうか?」
「まぁいいけどさ。今日、またカラオケ行くんだけど、お前も来る?」
───【選択肢】───
カラオケに行く(誘いを受ける)
予定があると言って断る
はぐらかして後で考える
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悠真は、慎重に未来の分岐を確認した。
1を選んだ場合 → いつも通りの楽しい時間を過ごし、指定の場所には行かない。
選択の力について深く関わることなく、普通の生活を続けることになる。
2を選んだ場合 → 夜9時、指定の場所へ向かうことができる。
そこで"選択者"たちと出会い、物語が大きく動く。
3を選んだ場合 → 何も決めないまま時間が過ぎ、
結局どちらの選択も曖昧なまま終わる。
「……普通の生活を続けるのも、悪くないのかもしれない」
一瞬、1の選択肢を選びそうになった。
しかし、もしこのまま"選択の力"を使わずに生きたら、後悔するのではないか?
この力を得た意味は?
今しかできない選択を逃してしまったら——。
悠真は決断した。
「悪い、中村。今日は予定がある」
「おお、そうか。じゃあまた今度な!」
笑顔で手を振る中村を見送り、悠真は静かに息をついた。
「……行くしかない」