第三話 正解のない選択
家に帰り、さっそく本を読み始めた悠真は、その内容に引き込まれていった。
「人は常に選択を迫られる。どんなに些細なことでも、すべてが未来を形作る。
選択を誤れば、望まぬ結果が待っている。
しかし、"正しい選択"が何かを知ることは、誰にもできない」
「……でも、俺にはわかるんだよな」
悠真は、与えられた力を思い出す。
選択肢を見て、結果を事前に知ることができる。
つまり、正解を選び続けることができるのだ。
その時、部屋のドアをノックする音がした。
「悠真、ご飯よ」
母の声だった。
───【選択肢】───
すぐに食卓へ行く
もう少し本を読み進める
今日は食事を抜くことにする
────────────────
「こんな些細なことまで選択肢が出るのか……?」
試しに、各選択の未来を確認してみる。
1を選んだ場合 → 何事もなく食事を済ませる
2を選んだ場合 → 本を最後まで読み切り、新たな気づきを得る
3を選んだ場合 → 空腹で夜中に目が覚め、深夜にコンビニへ出かける。
その途中で、不審な男と遭遇する
「……3は、やめたほうがいいな」
初めて、自分の選択肢が"危険"をはらんでいることを知る。
「選択って、こんなに怖いものなのか?」
今までは何気なく決めていたことが、全て未来へとつながっている。
たった一つの決断で、大きく運命が変わる可能性があるのだ。
慎重に、悠真は**「2. もう少し本を読み進める」**を選んだ。
この決断が、彼にとって大きな意味を持つことを、この時の悠真はまだ知らない。