第二話 選択の重み
「この本が、俺の人生を変える……?」
書店の棚で手に取ったのは、一見すると何の変哲もない自己啓発書だった。
タイトルは**『選択が未来を決める』。著者は藤堂響**という人物で、
その名に聞き覚えはなかった。
ページをめくると、最初の一文が目に飛び込んできた。
「人生は選択の連続である。そして、どんな小さな選択も未来に影響を与える」
その言葉に、悠真の心がざわついた。
───【選択肢】───
本を購入し、じっくり読んでみる
立ち読みだけして書店を出る
何となく棚に戻し、別の本を探す
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画面は相変わらず目の前に浮かんでいる。
「……試してみるか」
慎重に、1. 「本を購入し、じっくり読んでみる」 を選ぶ。
すると、すぐに未来の結果が表示された。
本を購入した場合 → 著者の藤堂響と直接出会い、人生観が大きく変わる
立ち読みだけした場合 → 記憶には残るが、それ以上の影響はない
棚に戻した場合 → その後、この本の存在すら忘れる
「これって、もしかして……すごいことなんじゃ?」
自分の行動が、どんな未来につながるのかが明確にわかる。
もし間違った選択をしても、事前に回避できる。
これさえあれば、自分の人生を完璧にできるのではないか
――悠真はそんな期待を抱いた。
しかし、この時の彼はまだ知らなかった。
選択には、必ず“代償”が伴うということを。