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4 花と妖精の秘密
J) 「リリアンがここに来るまで、住処であるこの森を好きになれなかったんだ。ここは静かで、あまり妖精同士の交流も少ない。ところが、リリアンの話を聞くと、全て輝いて見えるんだ。シダの植物、コケ、古くなって黒ずんだ木の皮まで…。彼女を通して見ていると、輝いていたあの遠い昔を思い出す。」
A) 「“輝いていたあの遠い昔”?」
L) 「ジェイクが町にいた頃よ。」
A) 「ええ!町にいたことあるんだね。」
J) 「…」
A) 「リリアンのことも、さっき後で話すって言ったままだよね?..聞いてもいい?」
L) 「ふふ。そうね。いいわよ。少し長くなるけど。」
A) 「お願い!」
L) 「…私がこのおはなに生まれ変わってから、咲くまでにいろいろなことがあったわ…。まず花として生きていく覚悟を決めて、声が出せないことに驚いて。でも心の声が届くピクシーに出逢って。この森から追い出されることがなくてよかったわ。」
A) 「生まれ変わった、って言った?」
L) 「ええ。」
J) 「リリアンは元々君と同じ人間さ。」