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鬼人の恋  作者: 渡邉 幻月
人ノ部 其之弐 最初の聖女は二周目で復讐を遂げる
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十. ホデリ打倒のために

「なるほどな。」

将軍とヨリコから未来の説明を受け、魔王ハヅキは頷く。少し考えこんで、

「協力はやぶさかではないが… お前たちはおれを魔王だというのだろう? 良いのか?」

「バレなければ良いのでは?」

ハヅキの問いにヨリコは真顔で切り返した。その言葉にハヅキは吹き出す。一頻り笑った後に、ハヅキは力を貸そうと答えた。そうして、

「ただし、条件もあるし、確認しておくべきこともある。それで良ければだが。」

と、まっすぐにヨリコたちを見据えて問いかける。一同が頷くのを見て、ハヅキは続けた。

「条件は未来のおれがホオリとやらに出したものと同じだ。」

「それって… どうしてもなの?」

「いつか終わらせなければならないことだ。彼女には無理をさせたと思っている。もう十分長い間この世に留めてしまった。いつか必ず死ぬのが定めなら、潮時は過ぎているんだ。」

どこか諦念を秘めた目で、寂し気な笑みを浮かべているハヅキに、ヨリコはそれ以上何も言えなくなる。誰かの命と引き換えと言うのはどうしても気持ちのいいものでは無い。それでも、避けられないのだとハヅキの表情が物語っている。


「確認して欲しいことだが、一つはお前たちの見てきた未来のように、力を譲ることだ。直接手を貸すよりは腹を探られずに済むだろう。」

そう言ってハヅキは、確認事項を数え上げる。

「もう一つは、力の使いようによっては時空が捻じれる可能性があるということだ。」

「時空が捻じれる… ですか。」

「そのホデリという者の目論見を暴かず倒してしまえば、十中八九内乱になるのではないか?」

「そう… かもしれません。ホデリ様を支持する派閥もあるのは事実です。」

ハヅキに指摘され、苦虫を噛み潰したような顔で将軍が答える。

「未来のホデリの謀略を詳らかにし、討つのが良かろうが、それは起こらぬ方が良い未来なのだろう? その謀略が実行された状態と防がれた状態が同時に起こりうる、要は時空を捻じれさせるのだが、その状態が固定されてしまうかもしれないということだ。」

「良く分かりません!」

ハヅキの説明にヨリコははっきりと言い切る。

「む、そうか… そうだな。最も強く影響が出るのはホオリとホデリとやらの二人だろう。起こるはずだった未来と二重写しのようになると言えば分かるだろうか。未来でおれの力を受け継いだホオリは、人族のままのホオリと魔王のホオリが同時に存在するような状態になるということだ。他の者たちは次第に落ち着くだろう。それによってホデリとやらの謀略は明らかになるので倒しやすくはなるだろうが…」

「そうか、ホオリさんが魔王になったってバレちゃうのか。」

ヨリコの言葉に一同が息を呑む。

「私が個人的にホデリを討てたらいいのになあ。」

ヨリコはそう呟いて溜息を吐いた。

「…まあ、難しいだろうな。」

そう、ハヅキは静かに言った。


 会話だけなら遠隔でもできると、ハヅキは言った。ホオリが魔王になる未来を、時空の捻じれによって明らかにしていいものかと悩む一同を見て、ハヅキが一考してからのことだ。一度どうするのか話し合うと言いと、ハヅキは遠隔での会話の準備を始める。

「…魔王って何でもできるのね?」

「ただ、長く生き過ぎただけだ。」

ヨリコの言葉に、寂し気に微笑んだハヅキが答える。

「次第に感情を失っていく***を喜ばせたくて色々考えた結果だ。この遠隔での会話の術も、水鏡の術も。」

微笑み返してくれるのは一瞬だ。それでもハヅキはその瞬間に想いを募らせ、慈しみ、二

「お前たちの役に立つならそれはそれで良いことなのだろう。」


 ハヅキの術で、遠隔地にいるホオリたちとの会話が成った。

「…トヨタマの死が回避できるならそれでもかまわん。それに魔王に成った経緯も同時に知れ渡るなら問題は無いのではないか? 国を襲うつもりは無いのだから。」

ヨリコや将軍の心配をよそに、ホオリ自身はどこかあっけらかんとした調子で答えた。

「いいんだ…」

「むしろ、兄の謀略の証拠固めの手間が省けてよいと思う。」

ヨリコは脱力するが、声だけでは伝わらなかったのかホオリは気にした様子もなくそう続けた。

「では、おれの力をお前たちで分け、時空の捻じれを作ればよい。」

ハヅキはそう言うと、その捻じれの作り方を説明する。

「ではな、ホオリとやら。こやつらはそちらへ帰すから準備を整えておくと良い。

一通りの説明が終わると、ハヅキはホオリにそう告げて遠隔の会話の術を終わらせる。


「分かっているな。」

と言う顔で一同を見るハヅキ。頷くしかないヨリコたちに、

「お前たちが気に病む必要はない。」

と、気休めにもならないと知りつつ声をかける。


 魔王と呼ばれるまでになった力を、分割させヨリコたちに与えたハヅキは***を傍に呼んだ。そうして、

「武運を祈っている。さようなら、だ。」

と***を抱き寄せヨリコたちに別れを告げた。」


「ホヅミ」

ヨリコが名を呼ぶ。ほぼ同時に、ハヅキとホヅミの体が水と成り果てた。これで良かったのかは分からない、とヨリコは思う。本人が願ったことだけれど。

 少しの時間、彼らのために祈りを捧げて、そうしてホデリを討つために王都への帰途についた。

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