序. 中興の祖
王国歴千年頃に、アマハラ王国は滅亡しかかったことがあった。立て直した当時の国王は後に中興の祖として始祖と共に永く名を残すことになる。王国の立て直しと共に、遷都されることになったアマハラ王国は以後、より一層栄えることになった。
これは、そのアマハラ王国中興の祖の話である。
歴史書を紐解くと、奇妙な記述に突き当たることがある。それは決まって王国歴千年頃の史書や、その年代について記されている部分だった。中興の祖の名が二通りある。それだけであればどちらかが通称や俗称、二つ名、あるいは記載間違いなどではないかと予測し、研究するだけだろう。
だが、事態はそのように簡単ではなかった。中興の祖の名として挙がっているのは、ホデリとホオリ。歴史書には共通してホデリとホオリは兄弟であると記されている。そうして一方ではホデリがホオリを下して王位に就き、軍拡を行い武力でもって国を大きくし魔王討伐という功績をあげたと記されている。その一方で、ホデリを討ち取ったホオリが即位し技術や産業の発達に力を注ぎ国を豊かにした、という記述もある。
ほぼ同時期に「ホデリがホオリを」、「ホオリがホデリを」討ち取り即位する、など到底不可能な話だ。歴史家はこの中興の祖の時代に関して、揃って頭を抱えている。精査すればするほど、ただの名前の記述間違いなどではないという結論になる。ホデリとホオリの性格も、政の方針も、功績も、なにもかも違うのだ。
いったい何が真実なのか。王族と歴史家、学者や教師たちは今も頭を悩ませている。詩人たちがそれこそが歴史の浪漫だと、思い思いに詩を歌い上げる傍らで。




