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鬼人の恋  作者: 渡邉 幻月
人ノ部 其之壱 神々の黄昏を先導する神の子
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終. 建国神話

 片目と片腕が潰された男がいた。醜く生まれ付いた男は、両親や兄弟に疎まれ幼子のうちに川に流されたという。川を流れ、いよいよ海に流されるというところで近くの里の老夫婦に拾われた。

 心優しい老夫婦は怪我をしたその幼子を哀れに思い、親も見当たらないことから自分たちの子として育てることにした。その老夫婦の下で幼子はすくすくと育ち、折れた腕は時間はかかったが元のように治った。人見知りだったその男は、老夫婦の下から離れることなく成長したが、ある日、老い衰えた夫婦は帰らぬ人となた。

 幾日もの間嘆き悲しんだ男は、涙も枯れる頃、もう一度老夫婦に会うために黄泉の国へ行こうと決心した。

 長い長い道のりを、たった一人黙々と歩く。草原を超え、森を超え、生者の国と死者の国を隔てる川を渡り、深い森の中で不思議な老人と出会った。老人は様々なことを男に教えてくれたが、老夫婦に会うことは止められた。男はとても悲しく思ったが、老人の話を聞くうちに自分の使命に気付いたのだ。

 老人が言うにはこの世界は邪神に支配されているのだそうだ。邪神が君臨する限り、人は幸せにはなれないのだという。いつも悲しみが支配しているのは、それが邪神の力になるからだと言う。

男は決心して旅立った。途中立ち寄った、邪神の支配から逃れるように寄り添い生きる名もなき集落で、自分には邪神の呪いがかかっていたのだと男は知った。名もなき集落の人々の協力や、さらに立ち寄った里の人々の助言などで男は力を付けていく。ついに、とある里を支配していた邪神の一柱を倒し、不思議な力を宿した剣を手に入れた。それによって一騎当千の力を得た男は、一気に邪神たちの巣窟へと乗り込んだ。

戦いは熾烈を極めたが、最後は男が勝利した。邪神の全てを討伐したのだ。すると、何ということだろうか、邪神の呪いが解けた男の目は元通り見えるようになり、醜いと思われていた容姿も逞しくも美しく変わっていった。

実は、男は邪神の呪いによって力を封じ込められた神の子であったのだ。しかし、男は邪神によって荒らされた世界の姿に心を痛めていたこともあり、その力を使い切る覚悟で世界を人々が住みやすいように癒すことにした。

そうして、また醜い姿に戻った男だったが、人々は世界を救った彼をとても慕っていた。男の言葉をよく聞き、ばらばらだった里をまとめ、一つの大きな国とした。それがこのアマハラ王国である。初代国王は、満場一致で男が就くことになった。そうして男は、何者でもなかった時に親切にしてくれた、名もなき集落の人々などから優れたものを側近として召し抱えることにした。

邪神を討った英雄、ヒルコの治世はより良くより平和でより豊かなものとなった。邪神を討った不思議な剣はトツカノツルギと名付けられ、国宝として祀られ、同時に国を護った。


 神としての力を失った神の子ヒルコの血統は末永く国を治めた。その統治下で人々は幸せに暮らしている。


 以上、これがアマハラ王国の建国神話である。

勝てば官軍。


人ノ部三部 其之壱 神々の黄昏を先導する神の子 はこちらで完了です。

お付き合いいただきありがとうございます。

其之弐 最初の聖女は二周目で復讐を遂げる は、29日から更新開始予定です。

引き続きよろしくお願いいたします。

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