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おばちゃん、神様に乗って異世界を縦断する  作者: 小日向 ななつ
第2章

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19:見違えるほどのビフォーアフター 中編

 本日のご飯を作るために私は水を用意していた。だが、キナコにイタズラされたシロブタが火加減を間違い、平原は火の海となる。私は泉の主からもらった水を使い、どうにか燃え上がる炎を沈静化させた。


 だが、消火活動に全ての水を使ってしまったために料理を作ることができない。ということで私はみんなと一緒に〈白麗(しろうるわし)の泉〉へ移動することとなる。

 シロブタが何かしそうなので心配だ。大丈夫だろうか?



「あらぁ、綺麗な泉じゃない」

「こりゃすげー。水が輝いているぜ」


 泉につくと主達はとても驚いた表情を浮かべていた。まあ、当然のことだろう。ここはこの地方で一番の浄化力を持つ泉で、下手したらシロブタが完全に存在をなくすほど強力なのだからな。

 ほら、シロブタの顔が青ざめている。あまりにも大きな力の前に恐れおののいているのだろう。


「あら、どうしたのシロブタちゃん。もしかしてお腹ピーピー?」

『あ、ああ。その、気分が悪いことには違いねー』

「それはいけないわね。じゃあおばちゃんがおかゆを作ってあげるわ。神様ぁぁ、お水汲んでちょうだーいッッッ!」

『その水を使うのだけはやめてくれぇぇ!!!』


 どうやらシロブタは今晩のご飯はないようだ。かわいそうに。

 ひとまず水を汲むとしようか。料理を作るにしても他の用途で使うにしても必要になるしな。

 私は恨めしそうにしているシロブタを無視して水を汲みに向かう。またここに来たことを泉の主に知らせないといけないな、と考えつつ移動していると何やら妙な喧騒が聞こえてくる。視線を向けると悲鳴を上げている聖剣の姿があった。


『触るなって言ってるだろ! お前が触ると力が抜けるんだよっ!』

『えへへ、気持ちよくてだね。そうだね、エクスちゃん。えへへへへへっ』

『気味悪いんだけど! そのネットリ笑いやめろー!』


 何やら仲良くケンカをしているようだ。まあ、どんな風にスキンシップを取っているのかわからないが、苦労はしているようだ。にしても激しい痴話ゲンカをしているな。聖剣、本気で怒っているし。


「おいおい、またケンカしてるのか?」


 様子を見ているとライオがやってきた。彼は聖剣のお守り役を任されており、おそらく主が料理に使うからやってきたのだろう。


「ったく、もう少し仲良くしたらどうだ? まだ旅は長いし」

『嫌だよ! こいつずっと気味悪いんだよ。私の触って欲しくないところを触ってくるし、変な笑い方だし、ネチネチしてるし。ホント最悪なんだよ!』

『そんなこと言わないでよ、エクスちゃーん。ぼ、ぼく、努力するからさぁ』

『どさくさに紛れてまた触って! もうヤダ!』

「カリバーン、お前はもっと遠慮しろ。というか気を遣え」


 嫌がっている聖剣に、もっと仲良くなりたい鞘。そんな二体に挟まれひたすら愚痴を聞かされるライオはとても疲れた表情を浮かべる。

 お守り役は大変なものだな、と私は見て感じた。


「ま、ケンカはそこまでだ。おばちゃんが呼んでるから来てくれ」

『はーい』

『やだぁー! エクスちゃん行かないでー!』

『あのね、これ仕事なんだよ? アンタのワガママでほっぽり出せないことなの!』


『やだやだやだー! もっと一緒にいてよー!』

『ええい、しつこい! しつこい奴は大嫌いなんだからっ!』


 聖剣の怒りを買った鞘は、大きなショックを受けていた。そのまま聖剣が勢いよく飛び出すと鞘は泉のほうへ転がっていく。まるで手を振り払われた子どもみたいだ。

 しかし、勢いが良すぎたのか鞘はそのまま泉へ落ちた。かわいそうだが仕方ないことかもしれないな、これは。


『行こ、ライオ!』

「助けなくていいのか?」

『あんな奴、放っておいていいよ。気持ち悪いし、ブサイクだし、根暗だし』


 ライオは言われ、聖剣と一緒に主の元へ向かう。私は泉へ近寄り、落ちてしまった鞘を探した。しかし、水よりも重たいためか沈んでしまい、どこにいるのかわからない。

 もしかしたらこのままお別れかもしれないな、と考えていると唐突に泉が輝いた。


『あ、契約者! また来てくださったのですね!』

『いろいろとトラブルがあってな。それより、ここに落ちた鞘を知らないか? 一応、私の仲間なんだ』

『あ、そうなんですか。なんかとても泣いていたので使徒が話を聞いておりますよ。呼んできましょうか?』

『頼む』


 彼女は泉の中へ戻っていく。どうやら彼は無事のようだが、話を聞いた限り聖剣にフラれたことに大きなショックを受けている。まあ、今後のこともあるから一応注意をしておこうか。


『う、う、神様ぁぁ』


 私は呼ばれて振り返ると、そこには美しい輝きを放っている鞘の姿があった。汚れはすっかり落ちており、よく見ると呪いの刻印が消えている。さらによくよく見ると鞘のデザインも変わっており、もはや私が知る彼の姿はなかった。

 いや、そもそも前とは別物じゃね?


『えっと、誰だ?』

『カリバーンですよ、神様! ぼくの顔を忘れたんですか?』

『すまん、君の顔はわからない。ただデザインが前と違うな』

『そうなんですよ! ここに落ちちゃったら元に戻っちゃって。せっかくいい感じに気持ち悪くなってたのにー!』


 何の意味があって変身してたんだ? いや、そもそもどうして気持ち悪くなる必要がある?

 私は思い浮かんだ疑問で頭が混乱した。するとそんな私に気づいたのか鞘は理由を話し始める。


 次回に続く!


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