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第9話 企みの発覚

 倉庫を孤児たちの家に改良を行い、数か月が経過した。


 ゲンとシュウは、即戦力として領兵となり毎日ジェイグに訓練をつけてもらっていた。


 他の4人も訓練に参加したり、時には視察の協力をお願いしている状況である。


 触れ合う人数が増え、賑やかになった生活に慣れてきたある日の事だった。


 【市場調査】

 Q:この部屋の中に居る人間の魔力量は?

 A:ERROR


 「うーん、だめか…」


 この日の剣の訓練で改めて自分の才能の無さを思い知った。


 ゲンやシュウはもちろんの事、年齢が1つ下のサイキや3つ下のシホにも模擬戦では歯が立たなかった。


 ノワールとナラタには良い勝負ができていたが、そもそも二人とも体を動かす事が得意ではないらしく、座学の方に力を入れているようであった。


 剣の才能はないが、魔法の才能はあるかもしれないと1つの可能性を考えて自分の魔力量を測ろうと思ったのだが、【市場調査】には大きな欠点があった。


 それは、自分自身を調査できないことだ。


 範囲内に自分しかいない状況を作り出しても、ERRORとしてウィンドウに表示されてしまう。


 「ハァ…。まぁでも魔法適正が無いと決まった訳ではないのだから、気を取り直そう」


 この世界で魔法を使うには、自分自身に内蔵する魔力と魔導書という媒体が必要との事だった。

 

 魔力が少なければ魔法を使えないし、魔導書を持っていなければ魔法は発動できない。


 生前にやってたファンタジーゲームのように唱えるだけで発動する魔法とは違って、あまり使い勝手の良い代物とは言えなかった。


 もちろん無限に使える訳でもない。魔法を使えば体内保有の魔力が減るし、魔導書の文字も少しづつ擦り減る。


 そもそもまともに扱える人間自体少ないらしいが、元々いた世界には存在しないものだったので、憧れ自体は強かった。


 「フゥー…」


 深呼吸をしてから気持ちを切り替え、日課の情報収集を行う。


 丁度魔法の事を考えていたので、魔法について調べ始める。


 【市場調査】

 Q:この館の中で魔法適正がある人数は?

 A:3人

  

 「おぉ…3人もいるんだ。誰だろう?父上?ジェイグは使えないって前に言ってたっけ」

 

 50人に1人程度しか使えないという話を聞いていたので、驚きのあまり独り言が出てしまう。


 【市場調査】

 Q:この館の中で魔法適正上位3人の名前は?

 A:1位 火の絶傑リッシー、2位 ナラタ、3位 ノワール


 「すごい!ナラタとノワールは魔法適正が高いんだ!」


 同じくあまり剣の才能が無さそうな、二人に魔法適正があるという事は単純に嬉しかったし、自分にも適正があるかもしれないと思わずに入られなかったため自然と独り言の声量が上がる。


 「しかし、この1位の名前は…??? 誰だろうこれは…?」


 確かに館内の人間に限定したはずなのに、聞いたことの無い名前がウィンドウに表示されたため気味が悪かった。


 こんな人間、この館には居ないはずだ。生まれてからずっと同じ屋敷で暮らしているため、流石に全員の名前は把握している。


 「偽名…だったりするのか?何のため?」


 嫌な予感がする。

 

 これが誰の事なのか調査するためのアンケートについて、頭をフル回転させて考えるが中々思いつかない。


 【市場調査】

 Q:火の絶傑リッシーは誰?

 A:火の絶傑リッシー

 

 アンケートって難しいな…。


 良い案が思いつかなかったので、ふと頭に浮かんだ人間の名前を調査することにする。


 【市場調査】

 Q:バカーンの本名は?

 A:火の絶傑リッシー

 

 「…ッッ!」


 一発目に引き当てることができ、絶句する。


 その後、なぜ偽名を語っているのか?を皮切りに、目的や能力など【市場調査】を使って調べ上げていった。


 調査の結果、バカーンは出身がゴルギロムであり、この領地に対して明確に悪意を持って行動している事が明らかになった。


 一番の目的はこの領地を日照りの後、干ばつを起こす事である。


 干ばつには、冒険者地区で見つかった装置を使用している事、部下が4人いる事。


 能力としては、名前の通り火の魔法が得意である事などが分かった。

 

 なぜ干ばつを起こそうとしているのかは、本人自体も知らないようであった。


 どうやらギロムという領主の命令により行動しているようである。

 

 ギロムが何を企んでいるのかは、現状では分からないが、まずはバカーンをどうにかしないといけない。

 

 すぐに父上とジェイグに相談してから、問い詰めようかと思ったが、父上とジェイグは信じたとしても今はギフト以外の証拠が無い。


 装置とバカーンの繋がりや、証拠がない時点で王都側への報告に信ぴょう性がなくなってしまう。


 運よくバカーンを何とかできたとしても、4人の部下には逃げられてしまうだろう。その場合は黒幕のギロムがいる以上根本的な解決には至らないし、最悪私の知らない能力などで逃げられるかもしれない。


 それに、魔法適正が高いという事はバカーン自身が戦闘力を有する事を示す。そうなるとみんなを危険に晒すかもしれない。


 こういう時こそ慎重に動こう。


 パルポロムさんが装置の事を調べているので、いずれ干ばつと装置の関係が公けになる。


 そうなれば、バカーン達が事態の収拾のため行動に移すだろう。


 「それまでは、色んなパターンに対応できるよう策を練っておこう…」

 

 結果が分かっているのに、待たなければいけないジレンマを感じながらも、私は機をうかがうことにした。


本作をお読み頂きありがとうございます。


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