第25話 異世界保険設立
次の日、予定通りデビアスに魔法を習いに来ていた。
早速、今回も魔法を発動させる練習から開始する。
ノワールとナラタは、前回よりも素早い速度で質の良い火の玉を発動させていた。
私も二人に続き練習を開始する。昨日コツを掴んだ通り、体内に流れている漠然とした力のようなものを、指先の延長線上に流れるようイメージを行う。
すると少しづつ指がジリジリと熱を持つ感覚が生まれる。その指と魔導書の文字を合わせた瞬間…文字が光、ホログラフの様に空間に浮かび始める。
そして掴み取り、的に向かって解き放った。
ポンッ
少し小さめの火の球が現れ、的に命中した。
「やった!!成功した!」
パチパチパチ
「おめでとう。意外とコツを掴むの早かったじゃないか!よしそのまま続けな!」
練習の後、講義を受けてその日の授業は終了した。
講義内容としては、魔法使いたるもの残り回数は常に把握すること、日々の鍛錬で如何に素早く魔法を発動できるか努力を怠たらない事、魔導書の色と文字と合成方法により使える魔法の種類が変わる事等であった。
授業が終わった後、私は1人でパルポロムの元に向かっていた。
先日考案した保険事業の相談のためである。
まずはテスト的な運営のため、簡単な保険にする事にした。
①一般的な医療保険と死亡保険を兼ねた生命保険1種類のみにすること
②掛け捨て型にする事。
この2種類である。掛けた分は怪我や死亡しない限りは戻らないが、安い額で済むという事である。
「以上が今回提案する保険システムとなります」
「……」
パルポロムは説明を聞いて、考えこんでいた。理解できているのだろうか?
「ラフィアット様 黙ってしまい申し訳ございません。しかし、そのホケンというものですか?運営する側が損をするだけなのではないでしょうか?月々300銅貨払うだけで、怪我をすれば何枚も金貨を貰えるなんて…」
「そこは大丈夫ですよ。私のギフトでもサポートします。みんなで300銅貨づつ集めたお金を怪我した人に渡すというだけです。誰も得も損もしないですね」
「なるほど…」
パルポロムは、更に深く考え押し黙った。
「それで、この前お聞きした嘘を見抜くギフトの持ち主は今日会えるのでしょうか?」
保険は、嘘を申告されると破綻してしまう。そのため必ず嘘を見抜く必要がある。私のギフトでも対応できるのだが、保険は毎日膨大な数字を管理する必要があるので、運用は他人に任せようと思っていた。
「ええ、お待ちください。もうすぐ到着するはずです」
すると扉をノックする音が聞こえた。
「なんだろう…失礼してもいいですか?」
そう言いながら、1人の顎鬚を生やした男が入ってくる。
「ラフィアット様。この男が先日お話した嘘を見抜くギフトの持ち主、ニシユキです」
「嘘を嘘と見抜けない人は、難しいと思います」
「あっ、はい。初めましてラフィアットです…」
(なんか見た事がある気がするような…)
その後、パルポロムとニシユキ3人で保険の運用回りについて詰め、数日後には開始する運びとなった。
後日、保険の仕組みを視察の際に、居住区の住民に説明して回っていた。驚いていたが、サンブンの件もあったのですぐに見な乗り気になり加入する流れとなった。
するとアルティアの父親がこちらに話しかけてくる。
「うっ…。ラフィアット様…。この状態からでも入れるホケンってありますか…?」
何やらお腹と股間を押さえながら聞いてきたので
「ないです…」とキッパリ断ることにした。
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