第17話 誕生日会
その後、パルポロムや他の商人たちに株式のシステムを説明したところすぐに大盛り上がりとなった。
様々な株式が発行されたが、最終的にはこの街の4つのクランが人気を取り合った形になる。
1つめが"ライリー冒険団"5人構成のバランスの取れたクランで能力自体にばらつきもなく、過去の実績やレベルも高かった。
2つめが"ビーグ一派"こちらは7人と、この街でも最多人数のクランである。こちらも安定した実績を積んでいた。ライリー冒険団に比べて、女性の比率が4名と少し多くなっていた。
3つめが"ザ・ガーデン"こちらは4人構成のクランで守備力の高さが売りとなっていた。
最後に4つめとなる"Nマイスター"こちらは3人しかいない少ない人数であったが、人柄がよく、説明がうまかったため実力以上に投資金額を引き上げる事に成功したクランであった。
正式に迷宮攻略を各クランが開始し配当などを配り始めたら、前世の株式市場のように株価や利回りの数値などを纏めて表示できるようにしようと思う。
また、株式の直接売買なども進んでくると思うので、そちらの整理やチャートなどのシステム面も充実させていこう。
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そして、月日は経ち今日は私の9歳の誕生日である。
そもそもこの世界では誕生日に祝う習慣はなかった。しかし、今年はそれを少し変え前世のようなパーティー形式の誕生日会を開く事にしていた。
「ラフィアット様 誕生日おめでとうございます!」
パチパチパチ
邸宅の食堂に拍手が鳴り響く。
「ラフィアットよ 領内での目まぐるしい活躍見事である。まだ子供ながらすでに領主を交代した方がいいのではないかと思っておる」
「父上、よしてください。私にはまだまだ学ぶことが多すぎます」
その光景を回りで皆が微笑んで眺めている。
参加しているのは、私からお願いし、アルティア、ジェイグ、シュウ、ゲン、ノワール、サイキ、シホ、ナラタ、父と私の10名であった。
「ラフィアットが9歳か…。俺は自分が何歳かも分からねえし、いつが誕生日かも分からないが、さすがに俺の方が年上だよな?」
「あたりまえじゃない。あなたは多分20歳くらいよ」
「なんだって!じゃあお前も20歳くらいになるじゃねえか」
「私はまだ10歳くらいよ」
シュウとゲンが揉め始めたので止めるためにも、父に進行をお願いする。
「ハハハ、それでは父上お願いします」
「うむ。シュウ、ゲン、ノワール、サイキ、シホ、ナラタ。聞けばそなたら6人は自分の誕生日を知らないというではないか。それでは今後不便になってくる。そこで提案だがラフィアットと同じ日。つまり今日を誕生日とするのはどうだろうか?」
「わぁ~!それは素敵な案だと思います!」
アルティアは自分の事の様に嬉しそうに喜んだ。
「それはありがたい話だけどよ、年齢はどうするんだ?それもラフィアットと同じにするのか?」
「それなら大丈夫。私のギフトで全員の年齢は把握しているからね」
本当は、誕生日も把握しているのだがあんまり野暮ったい事を言うのはよしておく。
「という事で、誕生日なんだから全員へプレゼントを用意したよ。まずはシュウから13歳の誕生日おめでとう!」
そう言いながら、新しい槍を渡す。
「いつも槍の持ち運びが不便そうに感じていたから、折り畳み式の槍を用意したんだ」
そう伝えながら、元の世界の三節棍の知識を応用し、職人に作ってもらった。言うなれば三節槍
シュウは不思議そうに折りたたまれた槍を組みたて、片手で器用に槍へ変形させた。
「凄い!こんな高そうなものいいのかしら?」
「うん、最近少しづつ領地も外貨を獲得し豊かになってきているし、父上からの褒美でもあるからね」
「ありがとう、大切に使わせてもらうわ」
「続いて、ゲンも13歳の誕生日おめでとう!」
「よかった!まだ13歳だったか。やっぱりお前と同い年じゃねえか」
「あら?まだ13歳だったのね、老けてるだけかもしれないわね」
「なんだって!?お前だって無駄に胸ばっかりでかくなってるだけじゃねえか」
また揉め始めたので、すぐプレゼントを渡す。
「はい、これがプレゼントだよ。ゲンにはやっぱりシンプルな大剣が良いと思ったから」
そう言いながら、黒っぽい大剣を渡した。
「凄いなこの剣。丈夫そうなのに軽いぞ」
「うん、黒曜石で作られた剣らしいよ」
「ありがとな!大事に使わせてもらうぜ」
「続いてノワール!8歳の誕生日おめでとう!はい これ!」
そう言いながらノワールには黄色い魔導書を渡した。
「え…受け取れない…こんな高いの…」
「いいんだよ、そんなの気にしないで。前に雷の魔法を使ってみたいと言っていたから、商人に頼んで仕入れてもらったんだ」
「でも…ラフィアットにまだ何もしてあげられてない…」
「ノワール!もらえるものは、もらっとけって、この前もお前がいなければ危なかったんだ。もし自分が何もしてないって思うなら、魔法を使って今度から助けられるようになればいいんだって」
と渋っているノワールに対してゲンがフォローした。
「今度パルポロムさんにお願いして、魔法を使える人に一緒に教わりに行こう!」
「うん…ありがとう…グス」
本当にうれしかったのか、ノワールは泣き出してしまった。
「よかったわね、ノワール」
シュウが優しく微笑みかける。
(本当に良い兄弟姉妹だと思う…なんだか感動して自分も泣きそうになってくる)
「次にサイキ!8歳の誕生日おめでとう!はい!」
「サイキ様も8歳だったのか!まだまだ強くなれるってことだな。俺も大剣だったりするのかな?っておい、なんだこれは!」
「いつも料理頑張ってるからね、エプロンと包丁だよ」
「お、おう。サンキューな…。いや、嬉しいけどなんかちょっと複雑だ。俺にもなんか戦える武器をくれよ!」
「ハハハ、冗談だよ。もちろん包丁とエプロンもプレゼントだけど、サイキは器用だからこれを渡すよ」
「お?なんだこれギザギザが付いてるな。あぶねぇ!回り全部刃物じゃねえか」
「それは、手裏剣という投擲武器だよ。投げて敵を攻撃するんだ。ギフトで敵の武器の出どころが分かるし器用なサイキにはぴったりと思ってね」
「まじかよ…!シュリンケンか!かっこいい!」
(手裏剣なんだけど、まあいいか訂正しなくても、本人は喜んでるし)
「次に、シホ!6歳の誕生日おめでとう!シホには弓と矢筒だよ」
「はーい!ありがとう~。わぁ軽い!」
「うん、命中率を不安視していたから、なるべく精度が高くなる弓を用意したよ!」
「サイキ~、これ頭に乗っけて、壁際に立って~」
「わかった。なんだこれ?果物か?」
「えいっ!」
パシュッ!
「ギャアアア!」
予備動作も躊躇もなく、シホはいきなりサイキが頭に乗せた果物に向かって矢を放ち命中させた。
「あぶねえだろ!チビリそうになったぜ…」
「ふふふ~ありがとう~ラフィ~君!」
「ハハハ…。次から人に向ける時は気を付けてね…」
「はい、次にナラタ!ノワールからナラタも魔法が使いたいと聞いていたから…」
そう伝えながら、緑色の魔導書を渡した。
(ナラタからは、何の魔法を使ってみたいとヒアリングできていなかったので、イメージから風の魔導書を選んだんだけど…)
「ZZZ…」
渡した本を寝ながら器用に受け取り、ナラタはコクリと頭を下げた。
(相変わらず寝てる……って寝ながらお辞儀してるのか?)
「最後にティアに!もう誕生日は過ぎちゃってるけど、受け取って欲しい」
そう話しながら、指輪を渡した。その瞬間周りが予想外の反応を示す。
「おいおい、なんだよ、もう結婚するのか?」
「えっ?違うよ!!」
そう言いつつ、顔が真っ赤になる。ティアも真っ赤になったまま固まっている。
「あら、まだ9歳になったばかりなのにおませさんなのね」
「違うんだって!この指輪にはそういう意味はないんだよ!これは所持者に守りの加護を与えるためのものであって…」
話せば話すほど恥ずかしくなってくる。こっちの世界でも指輪はそういう意味もあるものなんだと初めて知った。
「ありがとう。ラフィ。出会った時から助けてもらって、食べるものにも困ってたあのころからすると毎日が幸せ過ぎて…。これも全部ラフィのおかげだよ。これから何があっても私はラフィの味方だし、いつでも助けに来るから何でも頼ってほしい…」
「うん、ありがとうティア。これからも頼りにさせてもらう」
パチパチパチ
どこからともなく拍手が流れ、全員で祝福するムードとなった。
そんな中、
「はははは!このサイキ様が結婚祝いのケーキを作ってやるぜ!」
サイキがふざけてさっき渡したエプロンを身に着けてきた。
ゴスンッ!
恥ずかしがったティアの容赦のないボディーブローが直撃し、サイキは無言で崩れ落ちた。
そして、この日から毎年全員が同時に年を重ねていき、本当の家族の様に接する事ができるようになるのであった。
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