表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/30

元サラリーマン、フランス空母を検討する(2)

 現在フランスが保持している唯一の空母シャルル・ド・ゴール。

 アメリカの空母以外では唯一の原子力空母であるこの空母はCATOBAR空母であり、この点も2021年時点でアメリカの空母以外ではフランスのみである。


 空母での戦闘機の離着艦方法には3つのやり方がある。

 それがCATOBAR方式とSTOBAR方式、そして軽空母や強襲揚陸艦での離着艦方法であるSTOVL方式だ。


 CATOBAR方式とはカタパルトを使用して戦闘機を発艦させ、戻ってきた戦闘機を着艦装置のアレスティング・ギアで受け止める方式だ。

 この方式の場合、空母の飛行甲板は真っ平らである。


 一方でSTOBAR方式は戻ってくる戦闘機をアレスティング・ギアで受け止めるのは同じだが戦闘機を発艦させる際、カタパルトを使用しない。

 そのため、戦闘機は自力で飛行甲板上を滑走して発艦しなければならず、これを補助するために飛行甲板の先端、艦首にスキージャンプ勾配が設けられており、スキージャンプ台を使って戦闘機は発艦するのだ。


 ただし、このやり方は発艦のために必要な滑走距離がCATOBAR方式よりも長く、尚且つ発艦をスムーズにするために戦闘機の重量を軽くする必要があり、結果燃料を多く注げない、重武装できないという欠点が生じてしまう。


 STOVL方式については今は触れないでおこう……


 そんなわけで空母を運用し100%の能力を引き出したいならCATOBAR方式でなければならないのだが、残念ながら技術的課題や財政面、メンテナンスの問題など、様々な理由でCATOBAR方式ではなくSTOBAR方式やSTOVL方式を選択する空母がほとんどだ。


 ここまで書けばシャルル・ド・ゴールの優位性というものがわかるだろう。


 そんなわけでシャルル・ド・ゴールは蒸気式カタパルトを2基装備しており、配置場所も艦首とアングルドデッキとアメリカ空母と同じ配置である。


 とはいえ、規模は米空母と同じとはいかない……艦載機数は40機ほどと米空母の半分しかないのだ。

これは仕方がない事だだろう。

 いくら原子力空母とはいえ、船体はクレマンソー級から大きくなりすぎないように設計されているからだ。


 これは空母を建造するドッグがそこまで大きな船体を収められないという問題があったからなのだが、それを補う形で飛行甲板の広さはクレマンソー級から増している。

 しかし、その結果船体バランスが歪になった事は否めない。


 またスクリュー軸にも問題があり、大西洋で航行の際、スクリューのブレードの1枚を紛失した事があった。

 こういった経緯から約2年改修を受けた経験もある。


 そんなわけで実際のフランス海軍の本音としては信頼性のある別の空母が欲しいのが実情だろう。

 現にシャルル・ド・ゴールを補佐する形での原子力空母ではなく通常動力の空母を建造する計画が何度か立ち上がっては消えている。


 ここまで述べるとシャルル・ド・ゴールは検討に値しないのではないか? と思うかもしれないが、そんな事はない。

 欠点はどの空母にもあるものだ。


 特に自前での自艦防衛システムはアスター15艦対空ミサイルを格納した8セルのシルヴァーVLSが4基。

 ミストラル短距離艦対空ミサイルを格納した6連装サドラル・ミサイルランチャーが2基と充実している。


 そして特筆すべきはその艦載機……ラファールM艦上戦闘機が搭載する兵装だろう。


 シャルル・ド・ゴールには当初艦上攻撃機のシュペルエタンダールが10機ほど艦載されていた。

 しかし、この攻撃機は1978年から運用が開始された、それなりに古い機体だ。


 一様はシュペルエタンダールMという近代化改修型があるにはあるが、シャルル・ド・ゴールでは採用させず、シュペルエタンダールは2016年に運用を終了している。

 結果、現在シャルル・ド・ゴールではラファールM艦上戦闘機が攻撃機の役割も担っているのだ。


 そして、そのラファールM艦上戦闘機なのだが、実はなんと核攻撃能力を有しているのである!

 そう、シャルル・ド・ゴールは現在、世界では唯一核攻撃能力を有した空母なのだ!


 とはいえ、冷戦時代はアメリカ海軍やその他の国も空母艦載機に核攻撃能力を与えていた。

 しかし冷戦終結後、アメリカ海軍やその他の国は空母から核攻撃能力を取り下げている。


 ところがフランスは自国の核戦略の一環として空母での核攻撃プレゼンスを維持し続けているのだ。


 これは仕方のない事で、アメリカとロシアは核戦略の3つ柱「核のトライアド」を有している。

 これはICBM(大陸間弾道ミサイル)にSLBM(原子力潜水艦発射弾道ミサイル)、戦略爆撃機の事であるが、一方でフランスは核のトライアドのうちICBMを有していないのだ。


 また戦略爆撃機に関しても超音速戦略爆撃機であるミラージュⅣが2005年に退役してからはこれを保有していない。

 結果、フランスの核戦略プレゼンスはSLBMのみとなっており、だからこそフランスは核による反撃能力の手段を多く確保するため、シャルル・ド・ゴール艦載の戦闘機ラファールMに核弾頭搭載型空中発射巡航ミサイルASMPを搭載しているのだ。


 このASMPは射程延伸型のASMP-Aの開発が進められており、2020年末に発射実験に成功している。

 まだまだフランスは空母から核を下ろさないという事だろう。


 ちなみにシャルル・ド・ゴールは艦載機のラファールMがASMPを搭載しているがために日本近海にやってきても、日本の非核三原則の観点から日本国内に寄港できないという問題がある。

 日本人としては日本国内でシャルル・ド・ゴールを拝みたいところだが、拝めないのだ……


 それはさて置き、ラファールM戦闘機が搭載するASMPは大いに期待できるところだが、自分は最初に異世界での核兵器の選択肢を排除している。

 その観点でいけば、シャルル・ド・ゴールを選んでもASMPは異世界に持って行けない。


 そうなると、問題はASMPなしのラファールM戦闘機をどう評価するかだが……

 心配する事はない、ラファールM戦闘機は傑作機だ!

 そう、何を隠そう私はラファール戦闘機が大好きだ!!


 ラファール戦闘機は現在のフランスの主力戦闘機である。


 アメリカも近年多国間での戦闘機開発をおこなっているがが、基本は国内の企業に受注し単独での戦闘機開発を行う。

 そしてソ連/ロシアもそうであり、最近では中国も同様で、あとはスウェーデンなどごく限られた国だけが自国で戦闘機を開発している。


 ではそれ以外の国はどうか?

 アメリカ、ロシアから航空機を購入する以外で自前で戦闘機を開発し調達するとなると資金面、技術面で当然ながら苦労する。

 そこで複数の国で協力して独自の戦闘機を作るのだ。


 そんなわけで1970年代からイギリス、ドイツでECAと呼ばれる欧州戦闘機計画がスタートし、後からスペインとイタリアも加わって傑作機ユーロファイター・タイフーン戦闘機が誕生したわけだが、これにはフランスも当初は参加していた。


 しかし、イギリスやドイツと違ってフランスは空母で運用する艦上戦闘機を欲したため、意見の食い違いからECAを脱退。

 結果、フランスは自国のダッソー社が1機種で制空戦闘に対地攻撃など多様な任務をこなせるマルチロールファイター、多用途戦闘機を完成させたのだ。


 それがラファール戦闘機。

 ラファールM戦闘機はその艦上機型である。

 エンジンも苦心した上での完成品のため非常に高性能であり、前方のカナードを有した無尾翼デルタ型という特徴が機動性を底上げしている。


 またRBE2パッシブ式フェーズドアレイレーダーを搭載した戦闘機でもあり、データリンクやセンサー・フュージョンもバッチリだ!


 コックピットはタッチパネル式の多機能ディスプレイを採用しており、ヘッドマウントディスプレイも使用できる。

 申し分ないだろう。

 何よりラファール戦闘機はデザインがカッコいい! ここは重要だ。


 と、このままではラファール贔屓になりかねない……

 ここは少しフランスの別の空母も検討してみよう。

特にオチもない短い連載作品になるかと思いますが、気が向いたら☆評価なりブクマなり感想ください

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ