元サラリーマン、イタリア空母を検討する
私の名は市ヶ谷岩雄、かつてはただのしがないアラフォーサラリーマンをしていたが、今は違う。
今はその生涯に幕を閉じ、転生後の新たな人生を歩むための一歩を踏み出している。
その一歩とはつまり、転生後の異世界に連れて行く現代空母を選ぶ事だ。
とはいえ考慮の末にアメリカ海軍のワスプ級強襲揚陸艦がベストではないか? との結論にいたったが、まだ結論を早急に出す時ではない。
アメリカ以外の空母も検討すべきであろう。
そんなわけで今回はイタリア空母を検討してみようと思う。
まぁ、とはいえ毎度の事ながら選択肢はあまり多くはないのだが、これは仕方がない事だ。
そもそも複数の空母を保有し運用しているアメリカがおかしいのだ。
と、それはさておきイタリア空母だが……
まぁ、各国それぞれの事情というものがある。
そもそもイタリアの空母の歴史は古いようで浅い。
というのも、イタリアには1937年に制定した空軍法というものがあり、この法律によって例え海上での航空機による作戦が必要になっても、空軍以外の固定翼機の運用を認められなくなった。
つまりは海軍は海上において固定翼機の使用が禁止されてしまったのだ。
とはいえ、当時はそれでも問題はなかった
何せイタリア海軍の想定する活動範囲は地中海、つまりはイタリア本土から航空機を飛ばして十分にカバーできる範囲の活動圏なのだ。
しかし、イタリア空軍の海上での作戦行動はとても十分だったとはいえず、海軍は十分な航空支援を受けられないまま、多くの艦隊に被害を出した。
結局のところ、イタリア空軍は地中海においては海軍が背中を預けるには無能すぎたのだ。
さらには第二次エチオピア紛争以後もイギリス空母が地中海に展開を続けた。
この事態にイタリア海軍は地中海上での航空支援を自前で補うため、何よりイギリス空母に対抗するため空母の建造を急いだのだ。
しかし悲しいかな、イタリアはワシントン会議において空母保有枠60000トンを認められていたものの、空母を新造するだけの予算と時間がなかった。
何せ、この時イタリア海軍は新造の戦艦の建造を重視していたからだ。
そこで目を付けたのが客船ローマとアウグストゥス。
この2隻を空母へと改造し、1から建造する手間を省こうとしたのだ。
こうして客船ローマはアイランド式艦橋を持つ空母アキラに、アウグストゥスは最前部に艦橋を配する簡易の空母スパルヴィエロへと改装される事となったが結論を言えばどちらも完成しなかった。
結局のところ、空母への改造に着手したのが遅すぎたのだ。
改装を開始した1942年末ごろにはすでにイタリアは枢軸国の中でも劣勢であった。
1943年にはイタリア軍は北アフリカから敗走し、この時点で空母を建造する意味はなくなってしまった。
結果、アキラとスパルヴィエロの空母改装は中止される事になる。
翌1944年にはイタリアは連合国に降伏し、直後侵攻してきたドイツによって占領され傀儡政権が誕生するがアキラとスパルヴィエロはドイツ軍に接収される。
ドイツ軍のもと、アキラに関しては空母の艤装工事が再開されるが、スパルヴィエロは連合軍のジェノヴァ港侵入を防ぐために閉塞船として沈められた。
一方のアキラは連合軍の空襲によって大破、これによってもう空母への改装工事の続行は不可能と判断され、閉塞船として沈められる事が決まるが、それを阻止すべく降伏し連合軍側についたイタリア軍の人間魚雷によってアキラは大破してしまう。
こうなっては閉塞船としても使えないため、アキラはその場で自沈処分となった。
こうしてイタリア初の空母は完成する事なく海に沈んだのだ。
戦後、イタリアはパリ条約によって軍備を制限される。
しかし冷戦が過熱するとNATOの一員としての役目を果たすため、軍の再編が許された。
これによってイタリア海軍は航空兵力を擁した艦隊の建設に着手する。
しかし、敗戦後の艦隊の再編には多くの予算を要する。
財政面でのやりくりは相当に厳しく、また今だ戦前から残る空軍法によって空母の取得は夢のまた夢であった。
しかし、そんな中でもヘリコプター巡洋艦ヴィットリオ・ヴェネトが登場する。
そして、これの2番艦イタリアは建造が財政面の都合で中止となるが、おかげでイタリア海軍はついに念願の空母を手にする事となる。
それがイタリアの代わりに建造された全通飛行甲板を持つヘリ空母ジュゼッペ・ガリバルディである。
空軍法の影響で就役当時はヘリ空母であったが、設計時から軽空母として運用する事を想定しており、実際1985年に就役してからはイタリア初の空母として活動している。
カタパルトは装備していないため艦首には角度6.5度のスキージャンプ勾配が設置されており、戦闘機の発艦はスキージャンプ式である。
艦載している戦闘機はAV-8B ハリアー IIが16機ほど、この他ヘリも18機ほど載せられ、格納庫と露天係止を含めればそれなりに航空機を積める事が可能だ。
空母ジュゼッペ・ガリバルディは長らくイタリア海軍の顔であり続けたが、後継艦の空母カヴールが就役すると、一線からは退き改修工事に入る。
そしてヘリコプター揚陸艦に改装されるが、2016年には退役が決まっていた。
しかし、ヘリコプター揚陸艦の後継艦である強襲揚陸艦トリエステの建造が決まると退役は撤回、次は衛星打ち上げのためのプラットフォームへと改装されるという。
イタリア初の空母はまだまだイタリアのために働くというわけだ。
そんな空母ジュゼッペ・ガリバルディの後継空母として、現在もイタリア海軍の顔となっているのがイタリア最新の空母カヴールだ。
個人的には大本命と言えるかもしれない。
空母カヴールは強襲揚陸艦としての役割も与えられたため、艦内の居住スペースに海兵隊の用のスペースも用意されている他、LCVP4隻も搭載可能で水陸両用車なども多数搭載できる。
ウィルドッグは要していないため、LCVPや水陸両用車の迅速な展開はできないだろうが、それを補えるだけの航空戦力がある。
空母カヴールの艦載戦闘機はジュゼッペ・ガリバルディと同じくAV-8B ハリアー IIが12機ほどであるが、2019年にF-35Bへと艦載機を変更し、これの運用を可能とするための改装工事に入り、2020年完了している。
そして現在、カヴールはF-35Bを格納庫に10機、露天係止で6機搭載している。
うむ、いいのではないか?カヴール!
強襲揚陸艦としても十分に機能し、空母としてF-35Bも運用できる!
まさに理想の形だ!
しかし、強襲揚陸艦という意味ではカヴールよりもむしろ、この後控えているイタリア最新の艦艇がいいかもしれない……
そう、それこそ先程ちらっと触れた強襲揚陸艦トリエステだ!
2022年頃就役予定のイタリア史上最大規模の大きさの艦艇となる予定であり、規模はアメリカの強襲揚陸艦ワスプに迫る勢いだ。
全通飛行甲板でスキージャンプ台も配備しF-35Bの運用も想定している。
艦橋はクイーン・エリザベス級空母と同じくアイランド式艦橋が2つだ。
そして何よりウィルドッグを装備しておりLCM、LCV共に4隻収容、運用可能だという。
またアスター艦対空ミサイルを発射するためのVLSを計16セル備えているなど、強襲揚陸艦の個艦防御にしては重武装だ。
むむむ……なんだかトリエステのほうがカヴールよりいいような気がしてきたぞ?
とはいえ強襲揚陸艦トリエステはまだ就役していない。
実際のところは運用を開始してみないとわからないだろう……
とりあえずカヴールもトリエステも保留だ。
まだまだ他国の空母の検証が必要だろう。
特にオチもない短い連載作品になるかと思いますが、気が向いたら☆評価なりブクマなり感想ください