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第二部 ティーザー予告

魔王城、それは魔族社会の最高権力者である魔王の居城である。

そんな魔王城の中でも一際広いスペースを有する玉座の間。そこには今、魔王軍すべての幹部が勢揃いしていた。


そんな玉座の間に1人の高齢の魔族が慌てて入ってくる。

そして片膝をついて敬服の姿勢を見せると玉座の間でふんぞり返っている魔王に告げた。


「魔王様、世界の危機です!我らが民が、土地が嘆き苦しんでいます。今すぐ手を打たねば!」


高齢の魔族の訴えに魔王は小さく頷く。


「報告は受けている。何でも例の勇者による仕業のようだな?」

「はい、あの憎き勇者が世界中に放った世にも奇妙な鉄の巨船が各地で猛威を振るっています!」

「噂では小島が移動しているという話もあるが、船というのは確かなのだな?」

「は!小生この目でしかと見てまいりました。間違いないかと」


高齢の魔族の言葉に玉座の間にいる魔王軍の幹部たちがざわつきだす。


「ふむ……鉄の巨船、か。で?その鉄の巨船は具体的に何をしている?」

「鉄の巨船にはまったく意思を感じられない鉄の怪鳥が無数に乗せられています。それらが巨船から飛び立ち、耳をつんざくような爆音を撒き散らしながら我らの土地を荒らし回っているのです!誰も手を出せない上空から誰も追いつけない速さで飛来し、我らの土地を民を一方的に焼き払い、栄誉と誇りを踏みにじっています!あんなもの見ていて耐えられない!悔しい!!勇者には血も涙もないのか!命への尊厳は持ち合わせていないのか!!小生はあの悪逆非道の限りを尽くす勇者が憎くて憎くてたまらない!!」


そう怨嗟の言葉を述べる高齢の魔族の言葉を聞いて魔王は考え込む。


「鉄の怪鳥、勇者の眷属か……」


そんな魔王に高齢の魔族は再度訴える。


「魔王様!すぐに手をうたなければ、このままでは世界が滅ぶ!」


そんな高齢の魔族に魔王は問う。


「勇者が世界中に放った鉄の巨船だが、元凶が船だというなら沈めればいいだけではないか?水棲モンスターや水辺の部族……海の民は何をしている?」


魔王のその疑問に玉座の間にいる魔王軍幹部の一部、水棲生物の部族や水軍の関係者らが気まずそうな顔をした。

答えずらそうな彼らに代わり、軍師の魔族が答える。


「魔王様、どうにも海辺の魔物や部族はあの鉄の巨船に近づくのを嫌がっているようです」

「ほう?何故?」

「何でも、あの鉄の巨船からは奇妙な音が常時放たれているようで、それが不快で気分が悪くなると誰も近づかないのです。我慢して近づいても、船の甲板からこちらに向かって爆弾を正確に放り投げてくるとか……だから近づこうにも近づけないのです」


その報告を聞いて魔王は舌打ちをすると玉座の間に集まった幹部達を睨が、誰もが気まずそうに目を逸した。


「ではどうする?鉄の巨船を沈める手段はあるのか?」


魔王の問いに誰もが言葉に詰まる。

そんな中、軍師の魔族が答える。


「あの鉄の巨船は奇妙な音だけでなく油も海上に撒き散らしており海洋汚染は深刻です。ゆえに海の民はみな、あれに怯えているのです。彼らはあてにならんでしょう」


それを聞いた魔王はドン!と椅子の取っ手を叩く怒鳴りだ。


「なら手段がないではないか!鉄の巨船がいるのは海上だぞ!海の民が使えず手がだせんのではただ指をくわえて見ていることしかできんぞ!?」


そんな魔王に対して、魔王軍幹部の1人、強力な魔力を有するアンデットのリッチがある提案をした。


「ならば魔王様、我らも呼びましょう。あれに対抗できる者を」

「何?どういう事だ?」

「勇者の鉄の巨船に対抗できる者を召喚するのです。われの魔力と魔王様の魔力があれば可能かと存じます」


リッチの提案に魔王を含めたこの場にいる誰もが食いついた。


「確かに通常の召喚でなく禁呪の法で世界に穴を開ければ、そこからあの鉄の巨船に対抗できる者をこちらの世界に引き込むことができるかもしれないぞ!」

「禁呪の法は莫大な魔力を消費するが、リッチと魔王様の二人がかりなら確かにいけるかも!」


ざわつきだす幹部達を見て魔王も頷くと。


「いいだろう、すぐに取りかかるぞ!」


そう告げた。


「仰せのままに」


リッチを始め、玉座の間にいる誰もが禁呪の法の準備に取りかかる。


そして、魔王軍によって1人のアラフォーサラリーマンが異世界に召喚された。




「な、なんだ?ここは一体?俺はついさっきまで横須賀にいたはずでは?まさか、空母を撮影しようと米軍基地の敷地ギリギリまで接近したから連行されたのか?バカな!!まだ俺は敷地を跨いでなかったぞ!?俺は無実だ!!外務省の職員を呼べ!!」


状況が理解できず、混乱する30代後半のその男の名は北雲工治。

空母をこよなく愛するただのミリオタである。


そんなアラフォーサラリーマンに魔王は問う。


「余は魔王、この大陸を統べる者だ。貴様に質問だ。あれは一体何だ?どうすればあれを沈められる?」

「はい?」


突然の事に理解が追いつかない北雲工治であったが、儀式の間に集まった者たちからの証言や鉄の巨船を描いたという絵を見てすぐに確信する。


「これは……まさか、空母」


驚く北雲工治の言葉に魔王は口元を歪ませる。


「ほう……『くうぼ』、それが鉄の巨船の名か」

「あぁ、正確には航空母艦だけどな……しかし、なんでこんなものが異世界に?」

「それは勇者が世界中に放ったものだ」

「勇者?」

「あぁ、我ら魔族の天敵だ。で、話を戻そう。その『くうぼ』とやらをどうやったら沈められる?何か手はないか?」


魔王の問いに北雲工治はしばし考え込んだ後、ニヤリと笑うとこう答えた。


「そりゃ簡単ですよ。手段はいくらでもある。潜水艦や空母キラー……中距離弾道ミサイルや超音速対艦巡航ミサイルが最も効率的ですけど……でもやっぱり海戦ロマンを取るならこちらも勇者に対抗して空母をぶつければいい」

「何だと?」

「えっと……魔王さま、いや陛下と呼んだほうがいいのかな?巨船を建造できる造船所はありますか?技術はなくても俺の頭の中にある情報を投影して魔法で建造とか、異世界の魔王だったら簡単でしょ?それくらい容易いのでは?」


北雲工治のその言葉に魔王は一瞬呆気に取られたが、すぐに腹を抱えて大笑いすると。


「貴様、余に対して物怖じしないその態度気に入ったぞ!いいだろう、リッチ!手伝ってやれ!!」



こうして北雲工治の脳内データを元に魔族の造船所で空母の建造が始まった。

突貫工事とはいえ、魔王とリッチの魔力で建造工程がまるでソシャゲのようにスキップされ、わずか1週間で一気に4隻の空母ができあがった。


とはいえ、魔王とリッチという魔王軍の中でも最大の魔力を誇る2人の力を持ってしても建造できる空母のレベルは第2次世界大戦までのものが限界であった。

物足りなさは感じるものの、今はそれで構わない。


魔族の水兵たちにはまず空母の運用に慣れてもらわなければならないのだ。

ならば練習空母としては申し分ないだろう。

それに、だたの第2次大戦の空母でなない!魔王の闇の魔力を常に帯びた邪悪な雰囲気を纏う外見の空母が出来上がったのだ!

これはもう地球史が知る空母ではないだろう。


こうして魔王軍に就役した空母は以下の通り。


鳳翔・闇。

ダーク・ハーミーズ。

ブラック・ラングレー。

ベアルン・ノワール。


黎明期の空母にして日英米仏の最初期の空母たちがベースとなった魔王の闇の魔力を纏った空母たちだ。

これでまずは訓練し、魔王軍に空母機動部隊を設立する!

北雲工治はそう考えてこの4隻を指揮する提督として鳳翔・闇に乗り込み、練習海域へと向かった。


だが、しかし……




「提督!!レーダーに反応あり!!敵艦!!勇者の空母です!!」

「何だと!?」


魔王軍の練習海域に突如姿を見せた勇者の空母部隊、北雲工治は自ら偵察機に乗り込み上空からその姿を確認する。


「あれが勇者の空母機動部隊……おいおいふざけてるのか?」


北雲工治はその目を疑った。

現れた勇者の空母部隊は空母だけで編成された4隻、しかもその4隻とは。


「ひゅうが、馬羅島、海南、チャクリ・ナルエベトのアジアヘリ空母軍団じゃねーか!ヘリ空母とはふざけやがって!!偵察部隊かもしれないが、それで敵地深くに浸透とは舐めてるのか?いいぜ!返り討ちにしてやる!!ヘリごときに遅れをとるか!!」


しかし、現実は甘くはなかった。

ひゅうが、馬羅島、海南、チャクリ・ナルエベトの放つ攻撃ヘリの機動性能に魔王軍の艦載機はついていけず、次々と撃墜されていく。

そして……


「おいおい、嘘だろ?チャクリ・ナルエベトの飛行甲板で準備してるあれはハリアー……いや、AV-8S マタドールじゃねーか!!タイ海軍ではすでに退役してるはずだろ!?なんでそんなもんが!?」


チャクリ・ナルエベトの飛行甲板から発艦したAV-8S マタドールは次々と魔王軍の空母へと急襲していく。

結局、魔王軍の空母である鳳翔・闇、ダーク・ハーミーズ、ブラック・ラングレー、ベアルン・ノワールはすべて轟沈し、魔王軍最初の空母機動部隊は壊滅した。


この結果が北雲工治の闘志に火を付ける。


「くそ!最初は練習部隊なんて考えが甘かったんだ……こちらも全力でいかなければ!!」


そして、魔王軍に第2次大戦期の中でも最大規模を誇った2隻の空母が就役する。


信濃・闇。

ブラック・ミッドウェイ。


どちらも大和型戦艦、モンタナ級戦艦を前身とする、活躍したかどうかはさておき、第2次大戦時と戦後長らく世界最大規模だった巨大空母だ。

さらにその随伴としてダーク・インプラカブルと大鳳・闇という2隻の装甲空母をつけ、魔王軍最強の空母機動部隊が編成された。


「勇者め!今度こそ目に物みせてやる!!」


意気込む北雲工治は信濃・闇に乗り込み出航する。

目指すは勇者が艦隊の拠点としているといういう噂の無人島泊地。


しかし、そんな北雲工治の前に勇者が誇る最強の空母打撃群が立ち塞がる。


「提督!!レーダーに反応あり!!敵艦!!勇者の空母です!!」

「来たか勇者!!艦種の特定を急げ!!航空部隊は発艦の準備だ!!」

「提督!!敵空母を識別!!ジェラルド・R・フォードにアドミラル・クズネツォフ、シャルル・ド・ゴールの3隻です!!」

「何だと!?」


北雲工治の前に立ち塞がる現代最強の米仏露空母!!

その威圧感に、しかし北雲工治は怯まない!!


「上等だ!!いくぞお前ら!!」


信濃・闇、ブラック・ミッドウェイから飛び立つ無数の艦載機、同じくジェラルド・R・フォード、アドミラル・クズネツォフ、シャルル・ド・ゴールからも無数の艦載機が飛び立つ。

一瞬にして上空は空戦の渦に包まれた。


燃え落ちる艦載機!

甲板に降り注ぐ爆弾!!

煙を上げ、炎上する艦艇!!


「提督!!レーダーに妙な反応が!!」

「まさかP-700グラニート!!勇者め撃ちやがったか!!」


絶え間なく続く迎撃と撃墜の連鎖、もはやその海域に常人が入り込む余地はない。


「勇者……そこにいるのか?その艦にいるのか?」


「魔王に空母を提供した地球人、やはりあれに乗っているのか?」


「ならば……」

「で、あるならば……」


「「絶対にここで潰す!!」」


そして、ふたりは海戦の中でついに出会う!!


果たして勝つのは魔王からもらい受けた闇の魔力を宿した大戦期の空母か?

それとも現代最新鋭の空母か?


ふたりの空母好きアラフォーサラリーマンが異界の海で出会うとき、空前絶後、誰も見た事がない予測不能の異世界空母機動決戦の幕があがる!!


さぁ、轟沈するまで叩き合え!!

すべてを海の藻屑にするために!!



空母好き元アラフォーサラリーマン、異世界転生するってよ

第二部 異世界空母機動決戦編

乞うご期待!!

※なお本予告本文は現在開発中のプロットにつき、実際の本編は内容が変わっている可能性があります

あらかじめご了承ください

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