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メモリーズ・ルナ 〜Fragment of memory〜  作者: ミゼン
第2章「アステール都編」
20/24

第19話「マルゲリータと転げる写真家」

アステール都の関所をくぐり、

街の中に入っていく私達。

そういえば鞄は背負うタイプの

もので、ユースの鞄に魔杖が

取り付けられてあるな、と

個人的にふと思いながら

その街の景色を見るとそこには、

丘を走っていたバスの中から

見た壮大な都市の景色が、

今私の目の前に堂々と現れていた。

自身の十数倍以上の高さの建造物が

大通りの外側に沿って何軒も建っており、

大通りの道の真ん中には

整備された川路があり、

その川路に沿って様々な

簡易的な店が開かれていた。

更に、バード村で見た

「自分の身長よりも3倍以上長い鉄の棒が

立てられその一番上の先端部分にも

このような光り輝くキューブ状の物が

入れられた正八面体のガラスの箱が

付けられている物」に、

更に装飾性やデザイン性を追加して

高級感を出し、その棒……いや、

街灯が川路に沿って一定間隔、

かつ沢山立てられていた。


(なにこれ……すごい……)


私はその圧倒的な景色に息を呑み、

数々の建造物に視線を当てたりしていた。

まるで異世界に入り込んだような

気分だった。そうして色々な建造物に

目線を当てていると、何処かから

美味しそうな匂いがしてきた。


……その瞬間。


「「……あっ」」


突然、私とユースの腹の虫が鳴った。

そういえば、朝起きてから何も食べてない。


「……ん?二人ともお腹空いてるのか?」

「あっ……は、はい……」


二人とも、と言ったものの視線は

完全に私の方に向けられていた為、

物凄く恥ずかしくなり返答をする

前に頰が熱くなるのを感じた。


「じゃあ、そこのピザ屋で

朝ご飯でも食べてから行こうか」


そう言うとアランさんは

匂いのする方角に指を指す。

その指された方角に視線を当てると、

そこにはアランさんが言った「ピザ屋」

というレストランがあった。

ドアの前の看板には「Open」と書かれてあり、

中を覗くと客もそこそこいるようだ。


私達はそこで朝ご飯を食べる事になった。

とは言え、実際朝ご飯を食べるのは

私とユースだけで、アランさん達は

単純にドリンクだけ頼んでいた。

注文を頼み(とは言っても私は

ピザというのが分からなかった為

ユースにこの店のお勧めのピザを

頼んでもらった)十数分待った後、

頼んだピザが机の上に運ばれてきた。


「お待たせしました、

マルゲリータです」


焼かれた丸い生地の上に、

トマトとチーズ、オリーブが

生地の上に乗っている食べ物。

よく見ると、食べやすいように

8等分に切られていた。


「さ、食べて。僕が奢るから」

「えっ、でも……」


奢ってくれると言うアランさんと

とんでもない、と遠慮するユース。

数十秒のその攻防、その結末は

ユースが「じゃあ、お言葉に甘えて……」

と言った瞬間にアランさんが勝利した。


「いただきます……


……!美味しい……!」


私はそのピザの一切れを口の中に

持っていく。口の中に広がる酸味と

チーズとオリーブの風味が、

パン生地とマッチしている。


「ここの店で一番人気のピザだからね。

というか、この店の看板メニュー

といっても過言じゃないかな」


そう言うとユースも口の中に

ピザを持っていった。


……


そして、朝ご飯を済ませた私達は店を出る。

相変わらず、物凄い圧倒的な景色が

私の視界から逃れない。私はその景色を

見るたびに息を呑んでしまう。

歩いていくと、街はどんどんと賑わっていき、

人集りも先程よりも増えていった。

何故か私達……いや、アランさんの方に

視線を向けている人達が沢山いて、

「アラン様」とキャーキャー

言っている人達もいた。

アランさんはその人達に

笑顔で会釈したりしていた。


(う、うるさい……)


正直煩くて仕方無い。


……でもまぁ、アランさんがそこまで

人気がある、ということなんだろう。


「もうすぐ広場に着くから、

そこからは魔晶車で本部の所に行こう」


そう言うと、私達は黄色い視線や声援の嵐

(主にアランさんへ)の中を歩いていった。


………


広場に着いた私達。地面は石煉瓦で

敷き詰められた道だが、広場に入る

前の道路部分に『第一広場』と

彫られてある石のタイルが敷かれていた。

かなり大きな広場で、ど真ん中で

大きな噴水が水を噴射させている。

私達が通って来た道を含め、

4本の道がこの広場から続いている。

私のすぐ近くにはまだ空いていない

酒場らしき店もあり、他には

地下カジノ付きの大きな宿屋などがあった。

人集りも一層増え、噴水の前で球に乗って

その上でお手玉のような物を投げている

ピエロの仮面を被った人や、その近くで

地面に布を引き、その上で何かを

売っている旅商人、様々な人達が

この広場に集まっていた。


『むかーしむかし、とある王国で

一人の王女様が居りました。

王女様は家族と仲良く……』


噴水の前で子供達の前で何か

紙芝居をしている白髭を生やした

お爺さんの横を通りすぎる。


「……っと」


少し、人集りが多すぎて

歩きずらくなってきた。

たまに知らない人に当たりそうになる。


「魔晶車の停車駅は

あっちだから……じゃ、行こうか」


そう言うとアランさんと他の魔導師が

先導してその場所に向かう。

私達もその場所に向かおうとした。


その時だった。


『……あいたっ!』


突然、私のすぐ横で足を少し

出っ張った石煉瓦につまづかせて

勢いよく紅緋色のショートへアーの

髪の女性が転んでいた。

その瞬間、女性は手に持っていたと

見られる小型撮影機を落としてしまう。


「だ、大丈夫ですか……!?」


私は『いたた……』と起き上がるその女性に

手を伸ばす。ユースやアランさん達も

少し驚いた様子だった。


……しかし。


『あ、あたしの写真機……

……!よ、よかった、無事で……!』


女性は自身の怪我の心配なんて

知ったことない、というような感じで

私達に気づかず自分で立ち上がり、

元々持っていただろう小型撮影機……

いや、写真機を焦るように手に取り、

所々を確認した後、試しに写真を一枚撮り

その瞬間ホッ、と安心した溜息をつく。


「……あれ、アーシャちゃん?」


そう言うと、アランさんが「アーシャ」と

呼びかけた女性の方に視線を当てる。

その瞬間、その女性……アーシャさんも

アランさんに視線を当てる。

「……あ、あれ!?アランさん!?」


そう言うと、

ええっ、と驚き後ろにたじろいだ。


「やっぱりそうだ。久しぶり」

「お、お久しぶりです!い、いきなり

出会うなんてびっくりしたぁ……」


「……この人、誰?」

私は二人が話している間に

ユースに耳元で囁くように言う。

「『ラフィー・アーシャ』さん。

写真の世界なら知らない人は居ない

有名な写真家だよ。リスラル大陸を

あちこち飛び回ったりして、

色んな景色を撮ったりしてる人」


「景色だけじゃないよ!」


こそこそ話だったはずが、

突然アーシャさんが話に介入してきた。


「雑誌に載せる用の色んな有名人の

写真撮影とか、未探索のダンジョンの

探索の時の写真記録とか、写真関連の

事ならなんでもしてるよ!例えば

フォス国の団長のジャンヌさんも、

副業でモデルやってるからよく写真

撮ったりして、雑誌に載ったり

してるんだよ、こんな感じに!」


そう饒舌に語り出すアーシャさん。

肩から腰に下げていた取り出した鞄から

一冊の雑誌を取り出した。


そこには、鎧と布で構成された、

騎士の装備なのかドレスなのか、

両方の要素を合体させたような、

防御性とファッション性を

兼ね揃え、胸元やお臍が堂々と

見えてしまっている鎧を

身につけ、光り輝く金色の髪、

まるでモデルのような美しい、

かつ可愛らしい顔立ちと

身体のスタイルが感じられ。

容姿端麗、眉目秀麗で、

美しくも可愛らしいような姿の、

団長……いや、ジャンヌさんが

表紙にどんっ、と載り出されていた。


タイトルには

「アステール・ファッション誌 第226号」

と書かれていた。


「か、かわいい……」


私は思わず声に感嘆の情を表してしまう。

しかしそれでも、この美しさと可愛さは

異常だった。出迎えの時にジャンヌさん、

という人物名がアランさんの言葉の中に

あった気がしたが、ここまで美しくて

可愛らしい人だったとは。


「そうでしょ!それにね、えっと……あっ!

ごめん、あたしばっかり喋っちゃって……

はは、よくやっちゃうんだよね、あたし」


そう言うと反省したかのような、

恥ずかしいかのような表情で

私達の方に視線を当てた。


「貴女達の名前って、まだ聞いてなかったっけ」

「ええ……ルナ、って言います。

ちょっと色々あって記憶が無くて……」

「ユース・アフェクトです。

しがないAランク団員です」


「なるほど……ん?ユース君ってどこかで

聞いたことが……まぁいいや、一応

自己紹介しとくね。あたしはラフィー・アーシャ。

リスラル大陸一の、写真家兼魔道士だよ!」


そう言うとビシッと写真機を構え、

かっこいいポーズを決める。


「リスラル大陸一は自称だろ?」

「ち、ちょっと!」


かっこよくポーズを決めたアーシャさんが

アランさんが飛ばしたツッコミを喰らう。

私とユースは苦笑いを浮かべていた。


「あ、そうだ。今からルナちゃんの

魔道士の登録の手続きをするんだけど、

その時に写真がいるんだ。もし時間が

空いてるなら手伝っ」


「もちろんですよ!写真の仕事なら

あたしに任せてください!」


アランさんが最後まで言い切る前に

喜んでその頼みを承諾するアーシャさん。

その反応に少しばかり驚くアランさん。


「あ、ありがとう。じゃあとりあえず

本部の方まで魔晶車で向かおうか」


そう言うと、私達はもう既に魔晶車が

停まっている向こう側へと向かい始めた。


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