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ドジっ子な悪役令嬢は、今日も色々と空回り中。  作者: 心音瑠璃
第2章 切なる願いを魔法に秘め
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27.飛び立つ鳥と悪魔祓い①

シリル視点に途中切り替わります。

 リアムが涙を流す姿を見て、私はふふっと笑う。



「貴方も意固地よね。 絶対に私と昔会ったことがあるって、言わないんだもの。

 ……“必ず見つけて会いに行く”。 そう置き手紙に書いて約束までしておいて、私を待たせておくなんて」

「え……」

 私は驚くリアムから視線を外して、何が起きているのか分かっていない王家の方々に再度、礼をする。




「お願いです、私にこの子に取り憑いた悪魔の“悪魔祓い”をやらせて頂けませんか。

 ……必ず、成功させてみせますから」

 その言葉に再度、どよめきが広がる。

(……反対意見多数、ってところかしら)




 でもこれ以上、時間がない。

 ……もう、リアムの体は限界に近いはずだから。

 私はリアムに視線を戻し、静かに口を開く。




「リアム、最後にもう一度聞くわ。

 貴方は、どうしたいの?」

「っ……僕を、助けてくれるの……?」

「ふふっ、どうかしら。 ……まあ私は、昔貴方を助けた“あの時”と同じ気持ちで、今こうして向き合っているのだけれどね」

 ……私は、だけど。



 リアムは目を見開いた後、ふっと力を抜いて私に頭を下げた。




「……ごめんなさい。 もう一度、許されるなら、僕は……」

 それ以上は言葉にならなかった。

 私は頷くと、「あとは私達に任せなさい」と言ってシリルの名を呼んだ。



 私とリアムの足元が青白い光に包まれるのを見て、王家の方々にどよめきが広がる。

 ただ視線の先にいたお兄様とお父様と、アルとローレンスのお父様は……少し涙ぐみながら、笑っていた。




(……ごめんなさい、自分勝手で。 でも私、これだけは譲れないの)





 ……私の手で必ず、悪魔祓いを成功させて見せるから、どうか、信じてください……。







 そう心の中で祈ると、リアムの肩にそっと手を置いたのだった。








 ☆






(シリル視点)


 二人を送り届けると、王家の方々の視線が突き刺さる。

「……シリル・ダンヴィル! お前は何をしたのか分かっているのか!!」

「はい、分かっております」



 元々こうなることは百も承知だった。

 父上には申し訳ないが、ローレンス様やアルベルト様、それからクラリス様のお力になれるのだったら、自分のした事に悔いはない。

(……ようやく、クラリス様の“時”も動き出したんだから)




 彼女の過去を一部始終私は知っていた。

 ローレンス様とエドガー様の中継役に、私はいつもお伴としてお側にいさせてもらっていたから。



 彼女を苦しめた過去をエドガー様が全て消し去った事も、間近で見ていたものとして、それから月日が流れた今、クラリス様は負った心の傷を自ら背負って生きていこうと、そうご決断されたのだから、俺はその背中を少しでも押せたらと思った。



(だからどんな処罰が待っていても、怖くない。 俺は、彼らの役に立てたのだから)

 いつもは面倒くさいと思う魔法も、今はあって良かったと、そう心から思える。




 甘んじて処罰を受けよう、そう心に決めたその時。

「お待ち下さい」



 凛とした声。 聞き慣れた声だが、絶対にこの場にいるはずのなに声がして、俺は呆然とする。

 俺の後ろにそう言って現れたのは。





「エドガー様……!?」





 何故、彼がここに……。

「で、出て来てはいけませんっ! 何故貴方がここにいるのです!?」

 誰だ誰だと王家の方々が口々と声を上げ、さざなみのようにどよめきが広がっていく。

 流石にこれには、国王様方もとても驚いている。

 その国王様方の表情を見て、俺は愕然とする。




(こ、この方は、国家秘密だというのに、誰にも何も相談せずに出て来たのか……!?)

 流石、ローレンス様の兄上だけあって無茶なことをする、なんて呑気に考えてる場合ではない。




 俺は驚いて目を見開いていると、エドガー様はふふっと悪戯っぽく笑って言う。

「驚いた? ごめん、驚かせて」

「そ、そそそんなことより! 出て来て良いんですか!?」

「んー……まあ、大丈夫でしょう」

(何故そんなに軽いのです!?)



 私のそんな叫びに目もくれず、彼はいつもより声を張って、凛とした声で礼を取った。




「お初にお目にかかります、王家の皆様。

 私は、エドガー・ディズリーと申します。

 ディズリー王国第一王子であり、私の特質魔法は……“記憶操作”です」

「!?」




 その言葉に、更にどよめきは広がった。

 それはそうだ、今まで隠されて来た存在にそんな秘密があったとは、誰も思わないだろう。 しかも包み隠さず、今まで秘密とされてきたことをはっきりと、言い切ったのだから。




 エドガー様はそんなどよめきを諸共せず、ぐるりと会場中を見回し、その瞳はやがて、ランドル国王の姿を捉えた。




「……急に出て来てしまい、申し訳ありません。

 ですが私は、“記憶”を司る者として、今回の事件に関わる過去を、全てお話しようと思ってこの場に立ちました。

 ……あの子達の行動に感化された、というのもありますが。 いつまでも、守られてばかりの“籠の鳥”では、一国の王子として面目が立ちませんから」

「……そうか」




 エドガー様の言葉に、ニコラス様はあまり驚きもせず、納得した様に頷いた。

 その姿を見て、少しホッとした様な表情をした後、再度エドガー様は口を開いた。






「……今から、この事件の全てをお話しする許可を頂けますか」

 エドガー様がそう問うと、ニコラス様はしっかりと、何も言わずに頷いた。





 ☆




「クラリスっ!!」




 着いた瞬間、温かいぬくもりに包まれる。

 それは紛れもなく、アルの腕の中で。



「……アル、ごめんなさい、迷惑ばかりかけて……」

「クラリスが気にすることじゃない。 それに僕が、それだけクラリスに頼りにされてるってことだし」

「も、もうアル……」

「ちょっと、お願いだから俺達を置いてけぼりにしないで」




 ローレンスの言葉にハッと周りを見れば、苦笑いで私達を見つめる、ローレンスとミリアさん、それからリアムの姿が。

 私は慌ててアルの腕から離れると、チェッと舌打ちでもしそうな顔をするアルに、今度は私が苦笑いすれば、ローレンスが口を開く。




「さ、そろそろ始めないと、間に合わなくなる」

 私はリアムの瞳を見れば、徐々にもう片方の紫色の瞳に、深紅が混ざっていく様に見えた。

 私は慌ててリアムの前にしゃがむと、手錠を鍵を使って外した。



「ごめんなさい、鍵をお兄様からもらっていたのを忘れていたわ。

 ……これから、貴方には少し辛い思いをさせてしまうかもしれないけれど、私達を信じて。

 なんて、私が言えた義理ではないのだけど」

 私はそう言うと、リアムは首を振って、今度は笑ってみせた。



「いや、僕はあの時も、君に救われた。

 ……終わったら、話したいことが沢山あるんだ。 聞いてくれる?」

「えぇ、勿論。 ……ってアル、そんな顔しないの」

 面白くなさそうに分かり易く不貞腐れているアルを見てそう言ってから、リアムに向き直って手を差し出す。



 リアムはその手を取ると、私はエスコートする様にリアムを誘導し……私の隣にアル、その隣がミリアさん、その隣にローレンスが囲う様にリアムを真ん中に座らせる。

「リアム、目を瞑って」

 私がそう言うと、リアムはゆっくりと目を閉じる。








 それを確認して、4人で頷くと、私はふっと息をついて目を閉じる。

(……大丈夫、流れは覚えてる。

 後は私が悪魔をはらって、リアムを救うだけよ)







 ゆっくりと目を開ければ、皆が私を見て頷いていた。

 私も一人一人を見て頷き返すと、口を開く。








「ランドル王国第二王女、クラリス・ランドル。

 火を司る者として、悪魔の魂を封印致します」



「オルセン伯爵家、ミリア・オルセン。

 浄化の魔法を司る者として、悪魔を浄化致します」



「シュワード王国第一王子、アルベルト・シュワード。

 水を司る者として、火を司る者の補佐を務めます」



「ディズリー王国第二王子、ローレンス・ディズリー。

 時を司る者として、この悪魔祓いの記録を残します」





 これで、舞台は揃った。 ……この4人で、悪魔祓いを行うための、舞台が。






 ……さぁ、始めましょう。






(……リアムを、“悪魔憑き”を助けるために)





 私はゆっくりと口を開く。







「これより、悪魔祓いを開始する……!!」







私が言い終わるのと同時、パァッと眩いばかりの金色の魔法陣が、リアムを中心として私達の足元に現れたのだった。

更新が遅くなってしまいすみません…><

楽しみにしてくださっている方々、お読み下さっている方々、本当に申し訳ないです泣

本日は2話、更新させて頂きます。

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