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ドジっ子な悪役令嬢は、今日も色々と空回り中。  作者: 心音瑠璃
第2章 切なる願いを魔法に秘め
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22.守りたい気持ち

(熱い……!! でも、耐えなきゃ、私……!)



 ワンピースの裾が焦げるのも構わず、私は熱風に意識を失いかけるけれど踏ん張る。



 あそこまでアルに手出しをされたら耐えられるわけがない。

 こんな痛みよりずっと、それを見ている心の痛みの方が、耐えられない。

(アルはあの時、人攫いにあった被害者で、何も悪いことをしていないのに)



 私がこの魔法を持ってしまったことで、アルを傷付けてしまっている。

 私には耐えられなかった。

 なら、この魔法でリアムを少しでも思いしらすことが出来れば、危害を加えたりはしないと、そう私は思った。





 今森の状態がどんなになっているか、アルが何処にいるのかすら分からない。

 それくらい、私の周りに立ち上っている火柱は激しく燃えている。



 すると、遠くでリアムの高笑いが聞こえる。





「あははは!! どんどん燃やせばいい。

 この国ごと、全て、君の大切なものを全部燃やし尽くせばいいんだ……!!」

 そこで初めて、この私の魔法でリアムは、国ごと破壊することが狙いだったんだと気付く。



 でも気付いたところでもう遅い。

 私の周りの魔力は消えることなく、どんどん体内から魔法が放出されていくのが分かる。

(っ、昔より格段に、力が強まってる……!)



 もう、自分自身でコントロールすることは不可能で。

 私は足に力が抜けてその場に座り込む。

 顔を不意に触った時、耳に何かが触れた。

(……そうだ、ピアス!!)






 私はなるべく、力を使わないように意識をしながら、ピアスに魔力を入れて叫ぶ。






『助けて、アルーーー!!!!』







 そう叫ぶのが限界で、私は力なく横たわる。

 その間にも、周りから火が消えることはない。 そう思っていたら、パァッと、私の指から淡い光が放たれる。



「!?」





 驚いて見れば、それは、アルから貰った婚約指輪から放たれていた。




 驚いて指輪を見る私の視界の隅で、少しだけ、火の力が収まったかと思うと、人が飛び込んできた。




 その姿を見て心の中で叫ぶ。





(……っ、ア、ル……!)







 力がなくて叫べずに心の中で叫ぶと、とめどなく涙が溢れ、浮かんでは零れ落ちる。




 アルは「約束したでしょう?」とにっこりと笑って言った。






「何が起きても、君を守るって」









 その言葉と同時にアルが私の指の婚約指輪に口付けを落とす。

 そして今度は私を抱き抱えると、そっと唇を重ねた。











 パァッと当たりが開ける。







 私の魔力に混ざるように、冷たいアルの魔法が、体の芯を冷やしていく……。








 アルの体温と唇の感触にまた一つ涙を零すと、そっと瞼を閉じた。









 ☆





(アルベルト視点)



 クラリスからそっと唇を離して見れば、クラリスは深く眠っていた。

 ……魔法が体に負荷を与えたのだろう。

 後ろには、ローレンスとシリル、それからいつの間にか助けに行っていたらしく、ミリア嬢の姿もあった。



 ミリア嬢に駆け寄ってクラリスを横たえると、ローレンスとミリア嬢を見て「頼んだ」と一言そう言って、リアムを見据える。

 リアムの目は……紫色だったもう片方の瞳も徐々に赤みを帯びていっていた。



「どうして……どうしてだっ!

 何故お前には、黒魔法が効かない!?」

 僕はその言葉に不敵に笑ってみせる。

「効いてるさ。 肩に痛みだってある。

 ……だけど、僕には守りたいものがあるんだ。

 だからお前には負けない。 絶対に……!!」

 僕の体からふわっと魔法が浮かび上がる。




 水滴から氷になると、無数の氷はリアムめがけて飛ばす。

 それを軽々と交わすリアム。




「はは、何処狙ってんの!? そんなんじゃ僕には全然効かないよ……!」

 リアムの余裕の笑みに僕はニヤッと笑う。

「へぇ、まあ、これで余裕なのは当たり前だから、別に大したことはないな。

 ……じゃあ、これはどうかな?」



 僕は手を頭上にかざす。

 そして、手から大量の水を放出して氷に変えると、それをリアムの頭上に落とす。




 リアムは「こんなの、簡単に壊せるよ」とそう笑って粉々にした。

「……ふふ、引っかかった」

 僕は小さくそう言うと、粉々になってリアムの周りに落ちた氷をその場で液状にして四角い箱型にする。

 リアムの体は、その箱型の液状の中に収まった。




「なっ……!?」

 リアムは驚いて僕を凝視する。

 僕は「ふふ、驚いた?」と笑ってみせると、今度はポケットから魔法石を取り出して、箱型の液状の中に入れ込む。



「これはね、僕特製の“水牢”。

 王様……僕の父に教わったんだ。 代々伝わるシュワード国の魔法でね、僕は少しそれにアレンジを加えた。

 水ではなく、液状にして持ち運びしよう!ってね。

 まあ、引っかかってくれて嬉しいよ」

「は!? ふざけんな!! 僕を実験台にしたってことか!?

 ……それに、何故黒魔法が使えない……!」

「あぁ、それは流石に僕の魔法じゃないよ。

 その魔法石に魔法封じを込めてもらった」




 僕は入れた魔法石を指差して笑う。

 すると、リアムは唇を噛み締めて何とか出ようともがくけど、出られるわけがない。

「水牢は強固なんだ。 僕でも出られないくらいだからね。

 ……あぁ、一応伝えておくけど、僕、魔法封じはあまり効かない体質だから。

 王位継承者は、鍛えられてるからあまり効かないと思うよ。 覚えといて」

 そうにっこり笑えば、今度こそリアムはがっくりと膝をついた。




 僕はそのリアムの前に片膝をつくと、リアムに疑問に思っていたことを投げかける。

「……ねぇ、リアム。 ……君は本当に、クラリスを傷付けるために、クラリスを誘拐したの?」

「……!?」

 驚いて目を見張るリアム。

 ただ、僕を見てふいっと横を向くと一言、「教えない」と呟いた。





 僕はそれを見て、案外こいつ可愛いのかも、なんて思っていると、後ろからローレンスが走ってくるのが聞こえる。



「アル!! 捕まえたのか!?」

 水牢の中を見て、パァッと顔を輝かせるローレンス。

 僕は頷くと、「そういえば、火は……」と言いかけて止まる。

「……応援が来てるのか」

 ローレンスは頷くと、「すぐに消し止めたよ。 シュワード国の水使いがたくさん来てくれてね」と笑って言う。




 そして僕の肩を見て、「派手に怪我をしたね」とまた笑う。

「……いや、何故そこで笑う」

「だって、まあ王子だから僕達はその程度だとあまり効かないなぁって思って。

 リアムには悪いけど」

 ローレンスの言葉に、リアムはこちらをギロッと睨んだ後「うるさい」と呟いた。



 その戦意喪失の顔を見て、僕はあぁ、やっぱりこいつはまだ子供だな、なんて思っていると、慌ただしい足音が聞こえてきた。




 その足音にローレンスと顔を見合わせ、はぁっと息を吐く。




「……ここからが大変になる。

 クラリスの心配もそうだけど、ミリアが治癒の力を使ってくれているから、昔よりは早く目がさめると思う。

 ……だから、その分これからのことに集中しないと」

 ローレンスがそう言ったのを聞いて、僕は「有難う」と礼を言ってから少し息を吐くと、呟いた。






「……まだ一番肝心の“悪魔祓い”が残っているからね……」









 水牢の中にいるリアムは、黙って、顔を俯かせながら座り込んだままだった。


リアムとの魔法対決はこれで終了です!

これからリアムの過去や謎を解きつつ、“悪魔祓い”へ足を踏み入れていきます!

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