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ドジっ子な悪役令嬢は、今日も色々と空回り中。  作者: 心音瑠璃
第2章 切なる願いを魔法に秘め
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1.新学期と続編の予感

2章、スタートです! 追加キャラ、イケメンに書けるよう頑張ります!

宜しくお願い致します^^

 ……誰かが、泣いている。




(……誰……?)




 辺りは暗闇で、何も見えない。




 だけど、泣いている方に近寄って目を凝らしてみれば、小さな人影が蹲っていた。




「大丈夫?」





 そう声をかけると、小さい影は一瞬震え……――








 ☆






「……めさま、朝ですよー」

「んっ……」



 暖かい陽の光が窓から降り注ぐようにして室内を明るく照らす。



 その横で、カーテンを開けながらにっこりと笑う私の侍女の姿があった。




「おはよう、ルナ。 今日も良い天気ね」

「おはようございます、クラリス様。

 はい! とっても良い天気です! 今日からいよいよ、新学期ですね!」



 私の言葉に対し、ルナは元気よくそう答える。

「ふふっ、クレイグに会えるわね」

「なっ……ひ、姫様だって、アルベルト様に会えるじゃないですか!」

 からかわないでください! と顔を真っ赤にして怒るルナに、可愛いな、と思いながらアルベルト様という言葉に反応する。

(アルは、元気かしら)



 そうはいうけれど、それまでかなりの頻度で会っていて、それこそアルのお城でお泊まりもしたし、それからまだあまり日が経っていないというのにそんなことを考えてしまう。




(……アルに会ったら、たくさんお話ししたい。 ……それに、アルにまた、ギュッてしてもらいたいわ)

 そう思ってハッとする。

(わ、私ったら、破廉恥だわ……!)

 慌てて頭を振る。

 姫様? というルナの声が聞こえた気がしたけど、頭に入ってこない。

(……これも、“恋の魔法”と言うのかしら)




 なんて考えていると、今度こそルナが私の目の前で「姫様」と少し怒ったような声でルナが言った。

「浮かれるのも分かりますが、遅刻しますよー」

「!? え、えぇ、そうね。 もう仕度をしなくてわね」

 ルナの“浮かれる”という言葉に、私は返す言葉もなく苦笑いを浮かべてそう答える。




 そしてルナに髪を結んでもらいながら、私はさっきの夢のことを考えていた。




(……あの夢は、何だったんだろう)




 暗くてよく見えなかった。 けれど、人影は小さくて、泣き声も高かった気がするから、幼い子供だとは思う。



(……でも、やけに現実感がある夢だったわ。 ……記憶か、それとも……)





「……ねぇ、ルナ。 悪魔のことなんだけど……」

 その言葉にルナは手を止めて私を見る。




「……もしかしたらね、その……記憶はないのだけれど、私の前世のゲームの“続編”が今日から始まるのではないかと思うの」

「……えっ、姫様、ま、まさか悪役令嬢に逆戻りですか……!?」



 ルナの絶句した顔に、私は「た、多分違うと思うわ」と慌てて否定した。

「クラリス・ランドルは、本来ならこの前のゲーム……―恋の魔法にかけられて―上で悪役令嬢としてアルに婚約破棄をされ、断罪される……はずだった」



 この世界で、ゲーム上のエンドであった“表彰式”の後、私は―恋の魔法にかけられて―の全ての内容を思い出した。

 それは、誰の、どのルートでも、クラリス・ランドルは表彰式で、ミリアさんへの嫌がらせについて断罪され、末路は全てアルからの婚約破棄を言い渡されていた。

  (まあ、当然よね……)

 又、ミリア・オルセンのバッドエンドは存在せず(ミリアさんだけバッドエンドが無いのは、いくら良い子だからといってちょっと不公平だとは思った)、攻略対象1人につき『友情』と『恋愛』の2ルート(4人いるから8ルート)のみであることも分かった。

 ……そして。



「……本来、ゲーム上ではクラリス・ランドルがやることになっていた“最後のいじめ”……ミリアさんの花を燃やすことを、この世界での私がやらず、そんな私の代わりにやったのは、私の手助けと称して侯爵令嬢に取り憑いた“悪魔”……」

「……つまり、その“悪魔”が現れ、姫様の手助けとしていじめに加担したことで、姫様もまた、ゲームの続編に巻き込まれていると……?」



 ルナは、そうおそるおそる私に聞いた。

 私は、ハァッと溜め息をつきながら力なく頷く。



「まあ、そうなるわよね。

 私も、“続編”については存在した、としか思い出せていないから、定かではないけれど、ただ、私が悪役令嬢としてあまりうまく動かなかったのが原因か、―恋の魔法にかけられて―のゲーム内のストーリーも、かなり変わってしまっているみたいだったし……」

「ふふ、姫様らしいですね」

「……ちょっと、どういう意味よ?」

 私はじとっと視線をルナに向けると、ルナは「そのままの意味ですよ」と悪びれる様子もなく丁寧に私の髪を結んでいく。





「……後、いくつか気になることがあるのよねぇ」

「? 何ですか?」

 ルナの疑問の答えを私は言おうとして、口を閉じる。





(……さっきの“夢”のことと、これは私の勝手な憶測だけれど、アルに説明された“私の魔力が暴走した理由”には、まだ秘密あるんじゃないか、という2つが続編に関わってくるかもと思ったのだけど……。

 今は言わなくても大丈夫かな……特別、ゲームに関わるという証拠もないし……)





「……やっぱり、何でもないわ。 もし、前世のゲームのことで何か分かったら話すわね」

「はい! 分かりました! 姫様には悪いですけど、ワクワクします!」

 そう嬉々として返事をするルナに、相変わらず空想の世界が好きなのね、と苦笑する。




(……でもこれは、単なる“空想の世界”なんかじゃない。 同時に、現実世界でもある。

 現に私が転生して、こうして過ごしているんだもの。

 ……用心しないと)




 そう私は、少し楽しそうに私の髪に髪飾りをつけて満足そうに頷くルナを見て、絶対に守る、と心に決めたのだった。





 ☆




 ゲームの続編が始まっているかもしれないとはいえ、悪役令嬢を演じることもなくなった私は、軽い足取りでルナと廊下を歩いていた。




 そして、曲がり角に差し掛かろうとしたその時、ドンッと誰かにぶつかったと思ったら、腰を抱き寄せられる。




「わっと……えへへ、やっぱりクラリスだ」

 なんて子犬のような顔をして言うアルに、私はその近さと腰に回った腕に顔に熱が込み上げる。

(わ、私の願ってたことが、こんなに早く現実に……ってそうじゃない!!)



「も、もう大丈夫だから離して!」

 皆見てる! と周りを見回せば、ちらほらと人がいて、揃いも揃って皆私達を微笑ましそうに見ていた。

(……えっ、なにこの空気)

「あはは、皆羨ましいんじゃない。 僕達が、イチャイチャしてるか……い''!?」



 ? 何をしたかって?

 アルの油断してる足を踏んでやったのよ。 不可抗力よ、不可抗力。

 私はアルが怯んだ隙にアルの腕から逃げて言った。



「っ、人前ではやめて。 それに……そうやって、他の女の子にぶつかった時も、簡単に抱き寄せて助けるの……?」

 私は、小さく聞いたつもりだった。

 なのに、アルは聞こえたらしく、見る見るうちに何故か顔を紅潮させ、あろうことか私をギュッと抱きしめた。




「あーーーもう、クラリス可愛い!! 可愛すぎて、このまま……お持ち帰りして食べちゃいたいくらい」

「!?!?」

 お持ち帰りして食べちゃいたいくらい、というところを妙に強調して艶かしく、私の耳元でしか聞こえない程甘く、吐息交じりに囁くアル。

 驚きと羞恥で身悶えていると。



「はーい、お二人さん他所でやってね〜ここは公共の場!!」

 グイッと、そう言って、無遠慮にアルを引き剥がしたのは、幼馴染の王子様の姿で。



「ろ、ローレンス、おはよう。

 ……有難う、引き剥がしてくれなかったら、危うく窒息して死ぬところだったわ」

「え!? じゃあその時は、僕が人工こきゅ」

「はい、アルは黙ってよーねー」



 ……気のせいかしら。 ローレンスが止めたアルの口から、何か変態発言が飛び出したような気がしたけど……まあ、いいわ。

 突っ込んだら負けよ、ええ。 (これ以上突っ込んだら本当にやられかねないわ)




 ローレンスを恨みがましく睨むアル。

 貴方が悪いのよ、と私はジト目でアルを見ていると、ローレンスの後ろからひょこっと現れたのは、クリーム色の髪に翠色の目が印象的な、前世のゲーム上のヒロインで、最近お友達になった女の子だった。



「ごきげんよう、ミリアさん」

「ごきげんよう、クラリス様」

 私達は淑女の礼をして、微笑み合う。




(……そう、今日からこの子とはお友達になったんだものね。

 続編のこともあるけれど、こんな良い子、悪い人の餌食にされてしまったらいけないわ。

 用心しなきゃ)

 なんて考えていると、ローレンスがなにやら「ミリアの隣ポジションをクラリスに取られそうなんだけど」とか言っている声が聞こえたけど、そんなこと言ってないで頑張りなさいよ、と心の中で呟く。



 そしてそんなローレンスを見て、少し悪役令嬢っぽいちょっとした悪戯心が芽生えた私は、心の中でニヤッと笑いながら二人に笑いかける。




「ミリアさん、ルナ、行きましょう。

 私達は2年の教室だからこちらで失礼するわ。 ごきげんよう」

 そう言って、ミリアさんの背中を押してローレンスを見てニヤッと笑えば、ローレンスは苦笑いしたように「頼んだよ」なんて口パクで伝えてくるものだから、私は思わず小さくそれに突っ込んでしまう。





「……“俺のだ”くらい言ったらどうなのよ」

「? クラリス様、何か仰いましたか?」

 私より小さい慎重で、少し私を見上げながら小首を傾げるミリアさん。

(ほ、本当に可愛いわ……!)

 なんて思いながら、私は「いえ、何でもないわ」と笑みを浮かべて言うと、ミリアさんも笑顔になる。



 その表情を見て、やっぱり仲良くなりたいな、と感じた私は、ミリアさんにこう告げた。

「改めて、今日から宜しくね、ミリアさん」

「こちらこそ! 宜しくお願い致します、クラリス様」






 こうして始まった私達の2学期。

 続編があろうと、これからは平和で幸せな日々……になる予定だったのだが。

 嵐は突然やってくる。




たくさんの評価やブクマ、感想本当に嬉しいです…!

有難うございます!!これからも頑張ります〜!

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