表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドジっ子な悪役令嬢は、今日も色々と空回り中。  作者: 心音瑠璃
第1章 恋の魔法にかけられて
39/113

番外編SS-シュワード王国①

番外編SS、夏休みシュワード国編です!

「アル〜!!」





 私は海に向かって全速力で走ると、後ろにいたアルを大声で呼ぶ。





「あはは、クラリス。 凄い生き生きしてるね」

「それはそうよ! だって、私海大好きだもの! こんなに綺麗なのよ? 眺めるだけでは勿体ないじゃない!」






 ここは、アルのお父様が治めている国・水の国のシュワード王国。

 私達は約束通り、私が課題を終えたらシュワード王国でアルとデートをする、ということを今果たしている。



 ……ここに行き着くまでには、随分と私のお父様を説得するのに時間がかかったのだけれど。

 それはなぜかと言うと、今回はただのデートじゃない。

 ……そう、アルのお城でお泊りなのよ!!





 昔はよく2人でだったり、そこにローレンスが加わって3人でお泊りしていたりもした。

 ただ大人になるにつれて、流石に王家の風紀上良くないだろう、ということもあって遊ぶのはいつも護衛付き、しかもお泊りは言語道断。

 ……いいじゃない別に! 一緒に寝なければいいだけの問題でしょ!

 って言った私にお父様は頭を抑え、アルは苦笑い。 ……何故かしら。

 まあいいわ。




 最後は、アルがお父様に呼び出されて何か約束? を色々取り付けられたらしく、アルは教えてはくれないし、同伴していた王であるお兄様にその内容を聞いてみたけど、苦笑いで返された。

(何故こうも男性陣は、秘密にしたがるのかしら……良く分からないわ)



 お母様にも、“節度ある行動を”と言われたし……まるで私が信用されてないみたいじゃないの。

 そう怒ったら、今度はお姉様が「いや、どっちかといえばアルベルトの方にじゃないか」とか言って笑ってたけど。

 そんなこんなで、勿論アルベルトのお父様は私には優しい(笑)から、すぐに温かく迎えてくれて、現在に至る。





 シュワード王国は前にも言った通り、海も湖も川もあって、とても綺麗な水資源豊かな国。

 そして港もあり、遠くの国と繋がっていたりもするらしい。

 私には難しい事は分からなかったけれど、この海の先には他の国があるんだと知った時は、凄いとただ只管思っていたのを覚えている。 今もそうだけれどね。




 そして、話を戻すと、ここはアルのお城が所有している砂浜らしい。

 “プライベートビーチ”とアルは言っていたっけ。

 私の国には勿論海はなく、アルの国から流れている川が横切っているくらい。 お城自体はアルの国に近いから、いつでも海を見に行けたりするんだけど。

「でもいいわね〜…この広い海をいつでもお城から見られるんだもの。 勿論、私は自分の国も好きだけど、自然に溢れてるっていう感じはしないし…」

「でも、僕はクラリスの国も好きだよ。

 だって、いつでも活気に溢れていて、お祭りはしょっちゅうやってて楽しいし、花火は見られるし、何より人々が生き生きとしてるもの」





 私の国は火の国だから、いつも熱気に溢れている国。 この時期になると、お祭りはアルのいうように1週間に1回は開かれているし、工業が盛ん。

 火を使って作るガラス工業や花火工業など、伝統的なものも多い。





「確かに私の国はお祭りもたくさんあって、工業が盛んだから工場が多いけれど、自然豊かなアルの国にも住んでみたいわ」

 私の言葉に、アルは「ふふっ、じゃあ今すぐ結婚する?」なんて冗談っぽく軽く言うから私は少し怒って言う。




「……そんな簡単に言うものではないわ。

 ……嬉しいけど」

「え? 何……ってわっ!」

 私の言葉が聞こえてないようだったけど、恥ずかしくなってアルに向かって水を飛ばす。

「ちょ、クラリス、冷たい!」

「ふふっ、アルびしょ濡れ〜」

「じゃ、お返し」

「ちょっと! 水の魔法でだなんて卑怯よ!!」





 と、暫く水の掛け合いになって遊んでいると、向こう側から怖い顔でこちらを見ているルナとクレイグと目が合う。

「ね、ねえアル。 ルナとクレイグがこちらを見てるわ」

「……は、はは、ちょっと遊びすぎたかもね」

「えー? 何で……わっ!?」

「!? クラリス、危ない!」



 アルに訳を尋ねるために近づこうとしたら、前のめりに体が倒れる。

(わーーー!? また私お得意の、何処でも転ぶドジ体質が……!)



 水の中にダイブすると思った私は、思わず目を瞑ったけど何も怒らない。

「……?」

 恐る恐る目を開けると、視界が反転して、アルの顔が目の前に……って、アルの顔?



 どうやら、アルが私が海にダイブする寸前で私のお腹に腕を回して支えてくれたらしい。

 で、その後私を反転させて、アルの顔を見上げる形で私が支えられていると。




「あ、有難う、助かったわ、アル……アル?」

 お礼を言ってるのに、アルは何か口をパクパクしながら真っ赤になっている。

「……? アル?」

 再度呼びかけると、ハッとしたような顔をしたアルは真っ赤な顔のまま、今度は何故か私を立たせると、自分の着ていた上着を私の肩からかける。




「く、クラリス、その……えっと、濡れてるから目のやり場に困る、というか……」

 私は下を見れば、自分の着ていた薄めのドレスが、ピタッと体の線に沿うようにくっついていることに気付く。

「……!? ちょ、アル! 水気飛ばして!!」

「そ、そっか! その方が早いか!!」

 なんてアルは私を見て顔を赤くさせながら、慌ててパチンと指を鳴らして私とアルの濡れていた服の水気を飛ばす。

 元どおりになった服を見て、私は「やっぱりすごいわ、アルの魔法」と思わず呟く。

 まだ顔を赤くさせて頰を抑えて目を泳がせているアルに、私はふふっと笑うと「有難う、アル」と言って、頰にキスをした。





「!? 〜〜〜っ、く、クラリス、絶対わざとでしょう!?」

「ふふっ、何のこと? 私はいつもアルが私にするようなことをしているだけよ♪」

 なんて言っていると、何故だか刺すような視線を感じてそちらを見れば、ルナとクレイグがこちらに怖い顔で歩いてくるのが分かる。




「……あは、これは仲良くお説教コース、かしら……」

 そう呟いた私の横で、アルも私の視線を辿ると嫌そうな顔をする。

「……チッ」

「え、今アル舌打ちしたわよね?」

 ……というか、何で怒られるのかしら……?

(アルもこの様子からすると、何でか分かっているようだし……やっぱりお父様と交わした“約束”のことかしら?)

 いくら考えてもわからないので、後で聞いてみることにしましょう。





(……その前に、本当に私のこの“前世の自分”から持ってるドジ体質、どうにかならないものかしら……)

 なんて、これから行われるであろうお説教と、クラリスとして生きている自分に課せられたドジ体質を嘆き、小さくため息をついたのだった。






 ☆





「アルベルト様、お願いですから“約束”は守って下さい!」

「……守っていたら何も出来ないじゃないか」

 クレイグの言葉に、アルは頬杖をついてつまらなそうにそう答える。 そんなアルの態度にクレイグは頭を抑える。

「どうしましょう、アルベルト様が約束を守って下さらないと、俺達四六時中監視してなくてはいけない……」

「光栄なことだろう。 そもそも、お前達の仕事はそういうものなのじゃないのか」

(く、クレイグ大変ね……)



「姫様も姫様です! どうしてそんなにお転婆なんですか! アルベルト様に向かって水を掛け始めるわ、転んだと思ったらイチャイチャし始めるわ……」

 ルナのオーラがどんどん黒くなっていくのが分かる。

「は、はは……ごめんなさい」

 確かに、羽目を外しすぎたわよね……。



「ほら、クラリス様を見習って下さい。 どうしていつもいつも、反省して下さらないのですか!!」

「あんな約束取り付けられたら、何も出来ないって言ってるだろう。 小さい頃に遊んでたこともできやしない」

「小さい頃と今とでは別問題です! というか今も十分近いでしょう!!」

 クレイグとアルの口論についていけず、私はルナに小声で聞く。



「ねぇ、約束とは何なの? お父様と約束したものなのでしょう?」

「はぁ……あまり言うなとは言われておりますが、簡単に言えばアルベルト様と適度な距離を保つように、という感じですよ。 アルベルト様的には、この国に来てもらってからクラリス様を甘やかす気満々だったらしいんですけど」

「……そ、それは、お父様に感謝、ね……これ以上は心臓に悪いもの……」



 ……約束を取り付けなかったとしたら、アルが私を甘やかし続けた、ということかしら。

 ……そして、その甘やかしというのは、アルなりの愛情表現(重め)……ちょ、ちょっとまだ早いと思うわ。




「……クレイグ、良いことを教えてあげるわ」

「……クラリス、何を言うつもり?」

 私の言葉を聞き、今まで口論を繰り広げていたクレイグとアルが、こちらに視線を向ける。

 そして、アルは私のにっこりとした笑みに何かを感じ取ったらしい。



「まだクレイグは知らないのね。

 アルの弱点は「く、クラリス!? 本当にやめて!!」あら、“約束”を破らなければ、これ以上は言わないでおいてあげるわ。

 ……どうしましょうか? 婚約者様?」



 私の言おうとしていた言葉に気付いて止めたアルに向かって、黙っていてあげる条件をつける。

 その言葉にがっくりと、アルは簡単に折れ、一言、「分かった」と私とクレイグを恨みがましく見ながら言った。

(よし、これでここにいる間の私の心臓は、安寧を保たれるわね……!)

 そう心の中で私はガッツポーズをした。






 その後、クレイグにそのことについて何度か質問されたが、黙っていてあげようと思う。








 ……あ、勿論“約束”を破ったら、即私が彼の方……アルのお父様に直々にお話しに行きましょう(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ