表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドジっ子な悪役令嬢は、今日も色々と空回り中。  作者: 心音瑠璃
第1章 恋の魔法にかけられて
31/113

30.小説の中の騎士様よりも *ルナ視点

「クレイグ、釣り合わないだなんて言わないで」



 私の言葉に、クレイグは「でも、俺は……」と唇を噛みしめる。



「……アルベルト様どころか、爵位を持っていない」

「そんなの、私も一緒よ」

「……アルベルト様みたいに、格好良くない」

「あら、何を言っているの。 貴方は十分素敵よ。 立派な騎士様じゃない」

「……俺は、」

「って、そうじゃないのよ!!」




 私の大声に、ビクッとなるクレイグ。

「……急に、大声を出してしまって、ごめんなさい。 クレイグが十分かっこよくて、頼りになって、人一倍頑張って短期間で騎士になって……それをひっくるめて、今のクレイグがいるの。

 ……だから、そうやって自分を卑下するような言い方はしないで」

 お願い、というと、クレイグは少し顔を赤くしながら口ごもる。

 そして、黙って頷いたクレイグを見て、私は今度は笑ってみせる。




「クレイグは、私には釣り合わないくらい素敵な人。

 出会った時は仏頂面で、何だこいつ! って言いたくなるくらい酷い顔して私を見るものだから、思わず殴りそうになったけど」

「……ごめん」

 落ち込むクレイグ。

「あ、ち、違うのよ。 言いたいのはそこじゃなくて……、私は、貴方を放って置けなかった。

 危なっかしくて、でもとても繊細で……どこか私と、似たものを感じたの。 姫様に拾われる前の私と」

 黙って私の話をじっと聞くクレイグ。




「だからね、その……今まで恥ずかしくて言えなかったけれど……私はきっと、貴方と出会ってからすぐに恋に落ちていたんだわ」

「え……」

 それって、とクレイグが言う前に、私は「ここで一つ、クイズね」と人差し指を出して立てる。



「私が、一番物語の中で好きなキャラクターは何でしょう?」

「……え、王子様じゃないのか?」

「ぶー!! 全然違うわ! ……ま、いっか」



 何だ突然、という顔のクレイグに、私は構わず、「あ、さっきと同じポーズして、敬礼っぽいの」と私は一歩クレイグから離れると、クレイグは訳がわからないと言った顔をしたものの、さっきと同じく拳を作って自分の胸に当てる。




 私はそっと自分のスカートをつまむと、いつもクラリス様がしているようなポーズをして、私もお辞儀をする。




「私、ランドル王国クラリス様付き侍女、ルナは、シュワード王国のアルベルト様の護衛騎士……そして、愛するクレイグに、生涯共にいることを、ここに誓います。

 ……あ、生涯共には、絶対よ? 私を置いて、死ぬなんて許さないんだから!

 ……ゔっ、ゔん。えーっと……。



 ……姫ではないけれど、私の夢……貴方が私を、私が貴方を愛することを、お許し頂けますか?」



 ポカンとするクレイグ。



(……や、やっぱり無理があった!?)




「ご、ごごごめんなさい! 私、クレイグがあまりにも小説の中で、私が憧れていた騎士様と、同じく……い、いえ、それ以上にかっこ良いから、そのっ、私もその中のお姫様みたいにっ……って、きゃ!?」



 クレイグは、私の腰を持つと、クレイグの顔より高いところに持ち上げて、グルグルと回る。




「ちょ、く、クレイグ!? 私はもう、子供じゃないのよ!?」

 いくら昔はやっていたとはいえ、今は成長した私達の体でこれをやるのはどうかと思う。

 ……でもクレイグが、軽々と私を持ち上げてもビクともしないところを見て、又格好良くてキュンとするのも事実で。




「ごめん、でも嬉しくて」

 ついはしゃいだ、とクレイグは私をゆっくりと下ろすと、今度はギュッと私を強く抱きしめた。

 ……決して痛くない、私のことを考えて抱きしめてくれているんだと、そう感じる心地よい体温に身を預けると、速い鼓動が伝わってくる。




「……ふふ、鼓動の速さは、お揃いだね」

 なんて少しふざけたように言えば、クイッと顎を指で持たれ、上を向かされる。




 絡まる視線。





 熱を帯びた瞳は、とても甘くて。







「ク、レイグ……」



「改めて言う。 ……好きだ、ルナ。




 俺と、付き合ってくれないか……?」




「駄目」





 そう言えば、えっ、と驚いたクレイグの顔。






「……ふふっ、違うわよ? そういう“駄目”ではなくて、“生涯私を守ってくれる”って、さっき言ってくれたでしょ?」


「っ、それって……」



「……私が、言っていいの?


 結婚を前提に、私と付き合って……下さい」




 途中ですごい上からだと気付いた私は、慌てて敬語を付ける。

 唖然とした顔のクレイグと、どちらからともなくぷっと吹き出して笑いあう。





「……あぁ。 約束する。

 俺は一生、ルナを愛し抜く。 ……命は絶対に落とさない。

 だから……、覚悟して置けよ? 俺だけの、お姫様」

「! ……ふふっ、望むところよ」








 なかなか格好がつかない私達。



 その方が私達らしいのかもね、なんて。




 今ならそう思えるわ、クレイグ。








「……私もよ、クレイグ。 貴方のことが……大好き」






その言葉に、溢れんばかりの笑顔を浮かべるクレイグ。 私も、つられて笑顔を浮かべる。





 そして見つめ合うと、私達はお城の庭の片隅で青空に見守られ、ゆっくりと、口付けを交わしたのだった。





 ☆




(クラリス視点)



「……はぁぁぁぁああ!」

「しっ、クラリス。 もう行こう」



 その告白を、こっそりと見ていた私達。




「漸く、あの子たちもくっついたわね……! 本当に嬉しいわ!」

「あぁ、そうだな。 クレイグも、あそこまでキザだとは思わなかったけど」

「あら、格好良かったじゃない」



 その言葉に、アルが私をジト目で見てきたことに気づいて、慌てて付け足す。

「それよりも、私のお付きの侍女の方が、ずっと可愛いわよ!」

 えっへん、と胸を張ると、「いや、どうしてそこで胸を張るの」と呆れたような目をするアル。

「だって、私は幼い時、あの子に会って……あれ、やっぱり思い出せないわ。 嫌ね、私。 忘れっぽいんだわ」

「……」

 私は、んーと考えてみたけど、やっぱり思い出せなくて、そのまま話を変えることにした。




 そんな私を、アルがじっと、何か言いたげな顔で見ていたことには、私は気づくよしもなかった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ