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ドジっ子な悪役令嬢は、今日も色々と空回り中。  作者: 心音瑠璃
第1章 恋の魔法にかけられて
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18.予期せぬ4つ目

途中からルナ視点に変わります。

 その日から更に1週間。







 謹慎が解け、学校生活を普通に送る毎日が続いていた。




(怖いくらい、私の身の回りは何も起きないのね……)

 それも王女だからかなぁ、なんてぼんやり考えながら日差しが差して明るい廊下を歩いていると、ふと隅のゴミ箱に目をやって、うわぁと私は顔を(しか)めた。





「……これ又、酷いですねぇ」

「……同感だわ」




 ゴミ箱の中に無残に捨てられた教科書。




 軽く払ってその名前の欄を見れば、まあ予想していた人物の名前だ。





「……ミリア・オルセン……あの子に今度、鍵付きの棚をプレゼントしようかしら」

 良く物を盗まれるなぁ、なんて考えながらどうしようかと思案する。

「……風紀上、いくらあまり人通りの少ない廊下だからといって、ここに教科書を捨てておくのは良くないわ。 ……でも、ミリア・オルセンと書いてある教科書を持ち歩くのも、前科のある私にはもう言い逃れは出来ないわよねぇ……」

 証拠隠滅……その一択に絞られ、私は、あぁ、と良い案を思いつく。





「この場で燃やしましょう」

「!? 姫様、それでは証拠隠滅は出来ませんよ!?」

「何言ってるのよ、ルナ。

 私を誰だと思って? 火の国の魔法使いよ」




 私はにっこり笑うとヒュッと手のひらに火を出し、一瞬で教科書を消してしまう。

 私が出した今出した火は、灰や煙が残らないようになっているから、跡形もなく消すことが出来る魔法。

(ちなみに、最近ようやく習得出来た魔法である)




「……おぉ」

 パチパチと拍手するルナ。

「これで何とかなるわね。 じゃあルナ、貴女に頼みが……!?」






 私は、はたとルナの背後を見て凍りつく。







 それは相手も同じで。










「……み、ミリアさん……」




 私の呟きに、「ご、ごめんなさい!」と何故か、彼女が謝って走って行ってしまう。





「……もう悪役令嬢なんて、こりごりよ……」





 私はそう呟くと、心配するルナに向かって次の指示を出したのだった。







 ☆








(ルナ視点)



(何で姫様ばかり、こんな目に……!)





 私は走って、クラリス様の言われる通りに新しい教科書を抱えて全力で廊下を走っていた。

「も、もう、辛いけど……頑張らなきゃ!」

 全ては、姫様のため! と、長い長い廊下を走って、(ようや)く誰もいないいつもの教室に入る。




 そして、クラリス様の指示通り、ミリア様の机の上に新しい教科書を置こうとしたところで、私は止まった。








「え……?」






 ミリアさんの机の上には、既に教科書が置いてあった。



 ……それは、さっき姫様が燃やしたはずの、教科書で。







「え……!?」







 慌てて裏面の名前の欄を見る。 ……そこには、しっかりと、彼女の字で“ミリア・オルセン”と書かれていた。

 しかもその教科書は使われていたものそのもので、誰かが新しい物をもってきた、というわけでもなさそうだった。







「……ど、どうなっているの……?」









 私は呆然と、その場で立ち尽くしてしまうのだった。







 ☆









 そのことを姫様に言える筈もなく、ただ「仕事が終わりました」と言うと、姫様は力なく、有難うと笑みを浮かべて言われたのだった。








 その夜。



 姫様が寝たのを確認し、自室に戻っても尚、さっきのことが頭から離れない。




(……どうして燃やしたはずの教科書があそこに……?)





 ……最早怪奇現象である。





「こ、怖っ」



 考えるのはやめよう、そう思ってベッドに入ったのは良いが、やはりなかなか寝付けない。



「……たしかにあの時は、クレイグに助けを求めて、ネックレスのことは言ったよ? 言ったけど……他にも協力者がいるってこと……?」






 ……でも、一体誰が……











 私は悶々とそんなことばかり考えていた。








 考えて考えて、気が付いた時には朝だった。




「おはよう、ルナ。 ……あら、目の下に隈が出来てるわよ?」

 大丈夫? と心配そうに言って下さるクラリス様に申し訳ないと思いつつ、「本を読んでたら寝るの忘れちゃって」と言い訳をした。

「あら、体に良くないから、夜はちゃんと寝てね?」

 と念押しされ、「はい」と返事をすると、「そうは言っても、貴女は昔から本が大好きだから読んじゃうのよね」と笑って言った。




(うぅっ、姫様に嘘をつくのは嫌だなぁ……)

 悶々と考えすぎた結果、一日夜を明かすと言う、お付きの侍女としてはあまりよろしくない行動をとってしまった。

 そのことに猛省するしかないけど、でも不可抗力だと思う。




(……協力者がもしいるのだとしたら、今すぐお目にかかりたいわ)

 チラッと、馬車の窓の外を見て「今日もお花が綺麗ね」と楽しそうに言う姫様。

(この姫様の笑顔を絶やすものは、私が根絶したいの)

 そのためなら、手段は選びたくない。

 そして、一つの結論に至る。






(こうなったら、私自らその人を探すしかないわ!)





「えいえいおー!」

「え、急にどうしたの、ルナ?」

 驚いて、窓の外から視線を外して私を見つめるクラリス様。

「あ、えと、いえ、何でもないんです! ちょっと、決意しただけですので、姫様はお気になさらず!!」

「? 決意……まあ、いいわ。 今度何か教えてね」

 と笑顔で言って、また視線を馬車の外に移すクラリス様に、アルベルト様がいない間は絶対に私が守ります、と心に誓ったのだった。








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