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律儀で失言多きもの

なにやら部室には静寂や沈黙の対義語にあたる単語が似合うように騒がしい。

まぁ、入ってみると案の定ろくでもないやつがいた。

また雑言が飛び交うのか…と失望していると僕が

願っているさっきの静寂と沈黙が似合うような一時が訪れた。

ん?ところで…あんた誰!?

部室。

その前に今、僕は立っている。

なぜ、入らないか。それは…


ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ


…というように、


どこかで聞き覚えのある耳障りな忌々しい音が部屋の中からしている。


一体、中で何が起こっているんだ!?


よし、覚悟を決めよう。


…と思ったけど、やっぱり無理!


だって、男の子だもん!

涙が出ちゃう!

てか、不気味。不気味すぎる。

もう帰ろうかな…帰っていいかな?


…はいはい。入りますよ。入ればいいんでしょ!?


そーと、手を学生服の袖から出した。

恐る恐る、戸に手をかけた。

ゆっくりと戸を開き、右目だけをその部屋に覗かせた。

するとそこには二人の女性が座っているのが見えた。


二人の真ん中にはその中心を遮るように表面だけが淡い緑色をしたデカいテーブルがあった。


その下からジャラジャラジャラジャラと何かと何かがぶつかり合うような音がしている。

それがとにかくうるせぇ。


そのデカい机に二人は対面上になるように座っていた。


「お、真谷村来たか!」

「お、ぼっちはお帰りください!」


うん。僕の人脈の無さを揶揄しているやつは無視して気にせずに話を進めよう。


「なにしてるんですか?角松先生、学校で麻雀って、なんかリンシャン何とかが得意な女子生徒とかが出てきそうなのでやめてもらえます?」


「大丈夫、大丈夫、あんなアニメの麻雀が現実に起こるわけない。だいたい嶺上開花(りんしゃんかいほう)という役が出る確率は約0.28%ほどだ。あんなの偶然の産物にすぎん。」


「ちょっと!ちょっとちょっと!夢を壊さないでくださいよ!」


「私は、当たり前のことを言ったまでだ!そして何?お前はどっかの双子芸人か?」


少しくらい夢見させてあげましょう。ね?そしてあの双子芸人を馬鹿にするんじゃない。幽体離脱~とか超面白いじゃん。


「全くこれだから脳みそが凝り固まった三十路は…」


次の瞬間、先生の禍々しいデーモンハンドのような手が天使のように汚れのない僕の手をつかみ、あらぬ方向に関節を曲げようとした。


「痛い!痛い!痛い!ちょっ…!マジ折れる!」


すると先生は素敵な笑顔を浮かべてこう言った。


「どれどれ、幽体離脱させてあげようか!」


まてまて、発想が本当に悪魔!

そして力つぇぇ!

ギシギシと骨が歪む音が脳を伝って聞こえてきた。

折れてまうやろ!とかびっくりしすぎて幽体離脱~!とかボケている場合ではない。今すぐに、謝ろう。骨がもたない。


「ゴメンナサイ。モウシマセン。ボウリョク、ダメ、ゼッタイ。」


言い慣れない言葉を藁にもすがるような気持ちで口に出した。

ちなみに、最後のやつは通学路にある警察署の前で見たポスターを思い出したから何となく使ってみた。


「分かればよろしい。」


するとゆっくりと悪魔の手は解かれた。

しかし、なんであんな笑顔であらぬ方向に関節を曲げられるんだ。竹○直人の「笑いながら怒る人」並みに難しいぞ。

ヤッパリ先生ってすっごーい。


「ん?」


先生によく分からん関心をしていると制服の袖の部分を「くいっくいっ」と引っ張ってくるやつがいた。


「ちょっとー、私が置いてけぼりなんですけどー。」


「あのな、ぼっちはコミュニケーションに慣れていないから、周りが見るのが得意ではないんだよ!それくらい分かれよ!」


「あーはいはい。なるほど、木を見て森を見れずってやつね。全くこれだからぼっちは!」

四季は腕を組んで「よしよし」と言わんばかりにこっちを優越感に浸った顔で見下ろしてきた。


くっそ腹立つなこの女。


かまってちゃんかよ!僕がそんなに興味深いですか!?Interestingですか!?

…はい。痛い勘違いはこれくらいにしておこう。


それより、この目の前に置いてあるジャラジャラうるさいテーブルについて聞きたいのだが。

「そんなことより先生、このくそうるせぇ麻雀卓はなんなんですか?」


先生は少し疑問に思ったように首を傾げてこういった。


「あれ?言ってなかったか?ここは元麻雀部の部室でな。お前たちが一年生位の時に部員が少なくて活動休止したんだ。そこをサポート部がハイエナし………ゴホンゴホン、貸していただいているんだ。」


なるほど、今のでこの部活は死肉を喰らうハイエナのような存在価値しかないということが分かった。

「なるほど、端的に言いますとこの部活はゴミと、そういうことですね?」

「まぁそうだな、こんな部活にぼっちが入ってこれば、ゴミにもなるな。」

「えっ!?僕のせい?僕のせいなの!?」

えっ!そんな僕ゴミみたいに汚れてる!?ちゃんと毎日歯磨きして、お風呂に入ってるよ!?


「そんなことより、麻雀しましょう先生!まーじゃん!」

唐突に僕の右隣で女子中学生が初老のおっさんみたいなことを言い出した。

「おう、そうだな四季!」

うん。左隣には安定の三十路がいる。

二人は再び麻雀卓に座り込み、二人でできる麻雀のルール十七歩をやっていた。


三人いれば通常のルールでできるのにな。


…しかたねぇ。やるか、麻雀。


べ、別に入りたくて入ろうとしてる訳じゃないんだからね!


ふぅ…所で、なんて言えば入れてもらえるんだっけ?

まてまて、落ち着いて考えろ。

小学生がよく言う簡単な言葉でいいんだ!

おお!浮かんできた、ありがとう!小学校時代、おにごっこに混ぜてくれた鈴木君!

よし。


「いーれーて!」


「ちょっと、真谷村うるさい。静かにして。」


唐突に四季に静粛を求められた。


「えっ?あっ、はい。すいません。」


「うーん、ここは字牌を捨てるべきか…」

「どうだろうな?四季。勝負の時だぞ?どうする!?」


っておい!おれも麻雀に混ざるんじゃなかったのかよ!

今の流れ的に一緒に麻雀やって、あいつらボコボコにする予定だったのに!てか、おれの話聞いてる?


「ちょっと、僕の話聞いてますか?」

麻雀卓に座っている四季の後ろから問いかけた。


「もう、なに?さっきからひとりでぶつくさ言ってるけどなんかあった?」


てっきりからかって無視してるのかと思ったけど、これは素できづかれてなかったんだ。

うん…シンプルに傷つく☆


もうそろそろ心が折れそう。

落ち着いて分かりやすく表現すると、SUN値ピンチ。うーにゃーうーにゃーになってきた。

ダメだ、一ミリも全然落ち着けてない!


「ヒトリゴトダヨ。ナンデモナイヨ。」

もういいや、うん。


「なにそれ?独り言?かまちょなの?全くこれだからぼっちは」


また四季は「うんうん」と言わんばかりに頷いている。


うん、腹立つわ。


「もう、あんたら。おれの、おれの、おれの話をき…」


「いやです。」

「右に同じ。」


角松先生と四季は「ぺっ」とガムを吐き捨てるように答え、すぐさま麻雀卓にもどった。


いや、せめて最後まで言わせてよ!


もういい心折れた!ぼく、おうちかえりゅ!


そう思い、鞄に手を伸ばしたくらいだろうか。こんな廃れた教室の戸がガラガラと音を立てて開いた。


当然、僕らの視線は戸の方に向けられた。


教室の戸を添えるように握っているその手は人差し指が長く明らかに女性的な手だった。

その軽やかな印象を持たせる手の持ち主は清楚なイメージを持たせるような肩にフワッとかかる程の長さのロングヘアーだった。


顔立ちは比較的整っていて、彼女の顔面偏差値は非常に高い。

おそらくこの学校の誰に聞いても彼女の容姿のことを悪く言うやつは絶対にいない。

わかりやすく言えば街中で彼女を見て振り返る男性は十人中十人といえる。しかし、四季とはまた違ったものがある。

かわいいではなくて、美人という表現のほうが適性かもしれない。


こんな使われてない部室に見た目が良い女子が二人もいたらリア充なアニメ展開になった気もするが、教室の空気は一向にラブコメみたいにはならない。あれれ?おかしいぞ~?


恐らく原因は、社会のせいだろう。もうそろそろぼっち保護法とかできてもいいと思う。


ラブコメ展開にならないのを社会のせいにしていると、角松先生はなぜか「待ってたぞ」というように椅子に座り直して腕を組んでみせた。


彼女は角松先生の方へ向かってツカツカと歩き出した。

恐らくこの二人には何らかの形で面識があると見た。


僕が訪問者に質問を投げかけようか迷っている間に気づいた頃には四季が先に口を開いていた。


「あの、どちら様でしょうか?」


すると彼女は角松先生の方向から四季の方向に向かって歩み出し、しっかりと正面に向き合い、こう言った。


「突然申し訳ございません。私、神ノ木 好夏(かみのき こうな)と申します。」

見た目どうり律儀な挨拶だった。

「始めまして、四季 雪愛っていいます!」


「ああ!あの四季さんね!始めまして!」

四季は校内では有名だからだろうか?だからといってこんなに自己紹介がスムーズに進むことは初めて見た。

てか、おい四季!お前相手によって対応変わりすぎだろ!


「おいおい、僕と違ってずいぶん律儀な挨拶じゃないですか雪愛さん?」


僕は二人の間に歩み寄って、嫌みったらしく四季に問いかけると四季はごみを見るような目で睨みつけてきたが神ノ木と名乗っている少女は「ひょこっ」と覗き込むようにして、こちらを見てきた。


すると彼女は、きれいな手で顎に手を当てるようにしてシンキングポーズをとった。

チクタクチクタクと懐中時計の音が似合いそうな沈黙に思えた。

シンキングタイムが終わったのか、神ノ木はそのまま小首を傾げながら、上目遣いでこう言い放った。


「誰ですか、その印象の薄いぼっちみたいな人は?」


おい、めっちゃめちゃ、失礼だなこの女!?喧嘩売ってんのか!?

そしてなに、見た目とは正反対に言動が失礼なのは新手のツンデレなのか!?


「ああ、このぼっちは放っといてオールおっけい!」


いや、「どこがオールおっけい!」なんだよ。おれに人権ねーのかよ。


僕が機嫌を悪そうにしていると、それに気づいたのか神ノ木は口を開いた。


「あら、ごめんなさい。私、失言が多いので、分かってもらえると嬉しいです。」


なんか、四季と同じ種類の匂いがするのは気のせいだろうか。

まぁ、気のせいだろう。


いや、きっと気のせいだ。


そうであってくれ頼む。

そうじゃないとおれのウルトラ豆腐メンタルがウルトラ上手に破壊されるような気がする。


まぁ今はその話はいい。


「そんなことより、僕はこの教室に来たご用件が知りたいんですけどねぇ…」


僕がそう発すると、神ノ木の目が少し真剣なったような気がした。


僕の質問に答えはせず、今度は何かを決心したような真剣な眼差しを先生に向けた。


「角松先生、やっぱり私サポート部に入ります。」


一瞬、とんでもない言葉が聞こえたのは気のせいだろうか。


「うむ、思い直してくれてうれしく思う!歓迎するよ、神ノ木!」


おいおい…ちょっとまてよ…


「ちょ、ちょっと待ってください!いきなり新入部員ですか!?」


四季が驚いたように聞くのも無理はない。

だって、おれも驚いたもん。

先生は四季の質問に対して、「当たり前だ!」と言うようにこう答えた

「ああ、そうだ。もちろん今回も私のスカウトだ!」

スカウトとかかっこいい言い回ししてるけど集まってんのろくな人間じゃないぞ。

「先生、僕そのスカウト基準っていうのを前から気になっているんですけれども」

「ん?ああ、私の独断と偏見だ」

…やっぱり。

「ちょっと、先生?よく分かんない人が選ぶ人なんてよく分かんない人の集まりになるに決まってるじゃないですか!?」

「なに!?私はよく分かんなくないぞ!?猿にも理解できるくらい分かりやすいぞ!」


いや…猿に理解される時点でもうそれはよく分からんのだが…


「ちょっと、それだと私までよく分からない人間みたいに聞こえてくるんですけど!?」

あーほらほら、角松先生よりよく分からん人間が会話に入ってきたぞ。四季さんがオンラインになりました。っていう通知が右上に出たぞ。

「四季、お前は一番よく分かんねぇ人間だからな!?未だにお前の思考回路はよく分からん!」


「はぁ!?あなたより友達がたくさんいる点において私は周りから理解されてると思いますけどぉぉ?」

本当に人をイラつかせるのがうまい人間だな。

流石ゲームで煽りまくってるだけある。

「はぁ!?別におれは人に理解されなくていいんだよ。なぜかって?天才は死んでから初めて理解されるんだよ!だからおれは友達が少ない。イコール周りから理解されていない。そう、つまりおれは天才だぁ!」

決まった!この勝負おれの勝ちだ…

「ふーん、そうですか!じゃあ一回死んでみる?」

四季が素敵な笑顔を浮かべてそう言い放った瞬間、僕の体の脊髄反射機能が働いた。

「あ、すいません。僕が間違っていました。お許しください。」

「あら、意外と素直なのね?」

…こいつに拳でのコミュニケーションをとるのは避けた方がよい。


なぜかって?男が女に手をあげるのは男として最低だから…とかモラル的な話ではなく。

風の噂で聞いた話だが、確か他校の有名なヤンキーに絡まれた時に周りのやつらを一瞬にして蹴散らした伝説がこの四季 雪愛にはある。

もう、聞いただけで膝が震える。

「お前受験生なんだし、問題おこすなよ?」

四季を深刻に心配すると無邪気にこう帰ってきた。

「バレなきゃ問題じゃないんですよ!」

「はぁ…、やめとけバカたれ…」

僕はあきれたように溜め息をついた。

すると角松先生がこの場を収めるようにこういった。

「ってな感じでろくでもない奴らの集まりだがよろしくな!」


って、おい…


「このメンバー集めたの先生でしょ!」

「このメンバー集めたのあんたでしょ!」


「お前たちは本当に息ぴったりだな。阿吽の呼吸ってやつか?」


角松先生の一言に対して四季が僕に喧嘩を売ってきた。

「こんな、ぼっちと一緒にしないでもらえますか?」

「おい、おれはぼっちじゃない。友達をつくらないだけだ!」


「真谷村、それを世間ではぼっちというんだ。」

「角松先生それは言わないでおきましょう…ね?」


「ふふ、おもしろい人たちですね!」

神ノ木は興味深そうに僕たちを見つめて笑っていた。

全く、女子の笑顔は不思議だな。男はなんだかこう、引かれるものがある。

「だれ」とは言わないが中にはそれをうまく利用しようとするやつもいる。

女性の笑顔はチートすぎる。…ただし、かわいい子に限る。

「ほう、お前が興味を示すのは珍しいな、お前たち。仲良くしてやってくれ。彼女は私が直々にスカウトしてきた。多少失言はしたりするがとにかく優秀だ。ほれ、神ノ木。お前からしっかり挨拶しろ!」

すると、神ノ木は僕たちを興味深そうに見ていた目が少し真剣な眼差しになり、改まって真剣に口を開いた。


「改めまして、神ノ木 好夏です。これからはよろしく!」


まぁ…なんだ?この人のことよく分かんないけどなんか入部してきたみたいだ。


僕と四季は少しだけ顔を見合わせて四季が微笑んだ。


「うん!よろしく!」

「どうぞよろしく。」


まぁ、なんだ…?部員が増えるのは悪いことではない。

一応、自分は承諾してこの部活に入ったわけだから責務は全うしたいと思う。

その上で、彼女の特徴を知っておきたい。

「先生、彼女がどのような点において優れているか教えてもらってもよろしいでしょうか?」

この部活はよく分からん人しかいないから詳細が気になる。

「ん?ああ、彼女はだな中学二年生の時に…」

「学年一位をとっていたんですよね!?」

先生が答えを提示しようとした瞬間、間髪いれずに割り込んできたのは四季だった。

「その通りだ。ほら、お前たちも聞いたことがあるだろ。中学二年生の学年一位が不詳であることを。」

この学校の謎が一つ解き明かされた所で四季がそれを確かめるようにこう言葉を発した。

「やっぱり、あなただったのね!?」 

「その通りです、雪愛さん!」

しかし、よくそんなこと分かったな?

「おい、四季。お前どうやってそんなことわかったんだ?」

また、ろくでもない方法で探ったんだろうな…

開口一番、四季は自慢げに口を開いた。

「えっへん!君たち、夷を以て夷を制すってことわざをしっているかね?」

「ああ、おれは分かるぞ。」

「私も知っています。」

「イヲモッテイ…なにそれ?」

ちょ、先生…しっかりしてください。本当に教師ですか?

「分かりやすく言うと、相手の力を利用して自分が利益を得ることですよ。先生、しっかりしてください。」

僕がご丁寧に説明してあげると先生は「なるほど!」というように頷いていた。

本当に教師として心配になってきた。

「まぁ、私がやったことはそんなようなことで、上位三人の内、二人くらいをまぁ、ごっちゃにしてそれで答えが分かっちゃった的な感じですよ!」

多分自分の順位より下の数人を煽って、一位のやつを探すように仕向けたのだろう。

考え方自体は全く不合理ではなく、むしろ理にかなっている。

問題はそれを行動に移すことができる点において四季は優れている。

おい、四季さんマジパネェっす。

そんな初めて四季を有能に感じた出来事を踏みにじるように角松先生は口を開いた。

「なんだ、そんなことするくらいなら私に聞けばいつでも教えてやることなのに。」

いや、あの~、角松先生?当たり前のことのようにそんなこと口走ってますが、やってること大問題ですからね!?

まぁ生徒としては、そういう先生の方が色々と助かる部分の方が多いんだけど。

「神ノ木、お前からも特技とか紹介したらどうだ?」

神ノ木自身から特技を聞きたがっているのはどうやら先生も同じのようだ。

「う、う~ん。特技と申しましても…」

そう悩むのも無理はない。だいたい特技と言えばポンポン出てくる四季のような人間の方がおかしい。

「あ、総合格闘技を昔習ってました。一応全国までいったことはあります。」

…なになに、ここの部活って格闘部だったっけ?

下手したらその辺の男子空手部の5倍くらい戦闘力高いぞ。

「あと、英語、韓国語、中国語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語くらいなら喋れます。」

「はぁぁぁぁぁ!?」

「う、うん。ん?ん!!?」

…おいおい、ちょっと待てお前FBIとかKGBとかに所属してたの!?諜報員かよ!?

「よし、神ノ木。お前の凄さはよく分かった。次はなんで、この部に入ろうとしたのか聞きたい。」

「それはまぁ、ぶちゃけ先生のゲーム付き合いの延長線上ですよ!」

ほら!やっぱり先生のゲーム絡んでるよこの人、ってことは…

四季もこっちの目を見て疑問を問いかけてくる。

やっぱりこいつも気づいたか。

その目を四季と僕は神ノ木に向けると神ノ木は自慢げに口を開いた。

「そうです…私こそが!この神ノ木 好夏こそがFPSゲーマーの(KONA)なのです!」


「あーはい。」

「うん、そだね。」

もう、この展開なれた。

「えっ!あれっ?二人とも反応薄くないですか!?」

まぁ驚くのもわかるよ。

「「だって、ねぇ?」」

僕は四季と顔を見合わせて二人の言葉が共鳴した。

「あっ、どうも(あまがみ)です。」

僕のゲーマーという立場での自己紹介をすると、

「あっ、どうも(せつなん)です。」

それに四季が続くように自己紹介をした。

それを聞いて神ノ木は察したのかこの部室がよく分からん天才っぽい人の集まりであることに気づいた。

「えっ!?なにこの部活!?天才の集まりなの!?ゲーマーしかいないの!?」

神ノ木はいきなり取り乱すようにして声を荒げた。


すると角松先生はこの場を納めるようにこう言い放った。


「まあ、お前たちの仲が良さそうで何よりだよ。今日はもう遅い、お前たちは下校時間だろ?」


気づけば、時計の針は下校時刻を指していた。

「もうこんな時間か」

教室の机に反射する黄昏時にしか感じられないまさに妙趣というべき心地のよい暖色の光が学校のチャイムと共に差し込んできたような気がした。


「今日はこれにて解散、気をつけて帰るんだぞお前たち!」


角松先生がそう言ったあと、さっさと三人は部室を出て下駄箱に向かった。


下駄箱で靴を履くと最初に神ノ木が、


「すごいですね、あの部活…お二人とも、これからもよろしくお願いします!ではまた明日!」


「また明日~!」

「また明日。」


もう人が少なくなりつつある校門へ神ノ木は歩き出した。


四季はそれに少し遅れてついて行こうとして、下駄箱を出た辺りからだろうか、少しこちらに振り向いてなんだか照れくさそうな感じで、


「…また明日」


小さくではあるが、不器用に手を振っていた。


「お、おう。また明日」


四季は校門へ、走りだした。だんだんと小さくなっていく背中に心なしかさっきの雑言が多くありながらも明るい部室の感傷に浸っているような気がした。


この部活はろくでもない。

しかしどこか居心地がよい。僕はそんなよく分からない感情を心のどこかに抱きながら、向かい風だった風も追い風に変わりその心地よい風に背中を押されながら自転車のペダルを漕ぐのだった。

どうも犬村 ツヨシです!

だいぶ投稿が遅れてしまったことを深くお詫び申し上げますm(_ _)m

いろいろと勉強やら、なんやかんや色々と滞っておりました。

そのなんやかんやとあって、今沖縄にいるわけですが(笑)僕はクリスマスにリア充が騒いでいる間に僕は空の上にいました☆彡

皆さんはクリスマス楽しめましたか?

寒くなってきたので体調に気をつけるようにしましょう!

最後に沢山の小説の中からこの一作をみてくださって誠にありがとうございます!

沖縄より明るく陽気な仲間たちと共に、リゾートホテルの一角で綺麗な海を眺めつつ…

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