いやいや、最強ってのはゲームの話であって、今モテてもどうせ夢なんでしょっ
野原だ、見渡す限りの草原。
『……これは、一体……』
掠れた声は『ゆーうしゃ様ぁあ!!!』と叫ぶ化け物(豚っぽい二足歩行の生物)に書き消される。
いや、勇者じゃないよ?人違いだよ?そもそも初対面でどうして勇者だなんて確定するポイントがあった?
そう弁解しようとした俺の腰にブタがタックルをかまし、俺は捕獲された。
『ステータスを見れば、わたくしめにもわかりますぅうううううう』
は?
『桁違いのレベル!麗しきお姿!あなた様が世界のメシアですうぅうう』
不審者を見る目付きの俺を、豚はあの手この手で丸め込もうとする。まずはステータスを見ろ、と。
軽く念じればA3縦くらいの半透明な文字の羅列が登場した。
おぉ、近未来SFっぽい…。
『私のも出すので比較してごらんなさいませ、勇者様!』
ルーカス(神官level103)
力32
魔80
知100
技10
運100
スキル『神の加護』『ラッキーピッグ』『棚からぼたもち』『予知夢』『変態』
ふむふむ、豚は神官なのか。
飛べない豚さんはただの豚じゃなくて職を見つけたわけね。
で、俺は……
え?
俺(勇者level999)
力11
魔999
知999
技999
運3
スキル『認識追加スキル機能搭載』
『ね!!!!!!』
ね、じゃねえよ。
しかしこの世界に住み、俺よりはこの世界を知っていてる便利なブーブーを俺は離さない方が良いと判断し、にっこり微笑んだ。
『私は勇者の御使いです。勇者ではありません。』
【スキル 『詐称』を会得しました。
スキル『詐称』は抵抗されました。失敗しました。】
え?なに、今の。
頭に流れるアナウンスにキョロキョロしてしまう俺。
ずーっと俺にすがっている豚骨が上目遣いで喚いている。
『勇者様!それは嘘です!嘘です!わかります!ステータスに新しいスキルが出てます!詐称です!!!!』
親愛が低い相手に嘘を信じこませるスキルですぞ、私は勇者様への親愛はMAX!効きませぬ!!
うぜぇ。
俺はステータスを念じて消す。
他人が見れないようにブロックしとけよ、個人情報でしょーがぁ。
【スキル『個人情報保護』を会得しました。
任意で公開、非公開を選択出来ます。
非公開を選択しますか?】
なんでもありねホントっ!!




