第二話 初仕事#7
社長室に戻った三人は、笑顔で出迎えてくれたレイジ社長に警告した。
「レイジさん! 今すぐ応援を頼んでください」
焦る雲雀に戸惑いながらも、レイジは至って冷静に言葉を返す。
「おいおい。何を言ってるんだい? フレイムボアは今しがた、君達が倒してくれたじゃないか」
両手を広げ、三人に感謝の意を示すレイジ。
しかし、三人はそれ所ではなかった。
「違うんです、レイジさん。あの…水水晶から水の加護が消えていて」
「えっ? それはつまり、私は欠陥品を買わされたという事ですか?」
「違うんです!」
先程より強い口調で憂は言った。
「水水晶に水の加護はあったんです。それがいきなり無くなって…急に割れだして…」
事の異常さを察したのか、レイジの顔を嫌な汗が流れる。
「そ、それは一体、どういう」
レイジがそこまで言った時、森の中で爆発が起こった。
噴煙が上がり、森が燃え、衝撃でガラス窓がガタガタと音を立てて揺れる。
「い、一体何が…」
ガラス窓の前で混乱するレイジ。
三人は次の行動をどう起こすべきか迷っていた。
(臨也達を呼ぶべきか。いや、ギルドにもいないだろうし、今どこにいるかも分からない。連絡もつかないだろう)
(どうしたら…他ギルドに連絡? 無理だわ。この近くに、ギルド何て無いもの。一体、どうすれば…)
(どうしよう。あの爆発、多分中級魔族。まだ戦ったことがない)
三人はお互いに混乱していた。
何も手立てが無く、誰にも助けに来てもらえない。自分でどうにかするしかないのだ。
しかし、自分一人の力では何にも出来やしない。
そんな状況がさらに三人を混乱に追い込んだ。
(どうすれば…どうすれば…)
極限まで追い込まれた六斗は、この依頼を引き受ける原因になった白ぎつねの手紙を思い出した。
【三人で行くこと】
六斗はこの言葉に、希望を生み出した。
(一人なら多分無理だ。でも、三人なら? 三人ならまだ勝てるかもしれない)
そう思い、六斗は冷静さを取り戻す。
ちょうどその時、雲雀も憂も冷静さを取り戻した。
三人とも、考えた事はお互いに一緒だったらしい。
三人で互いに向かい合い、互いの士気を高めた。
「やるしかないわね」
「そうだね。私達しかいない」
「やるだけの事はやるさ」
そう言い合うと、まず二人の少女が社長室を飛び出した。
六斗は部屋にいるレイジに声を掛け、この場から逃げるように説得する。
「私の庭が…」
炎に焼かれ、轟々と草原は燃える。
そんな光景を見て絶望するレイジに、六斗はこう言葉を掛けた。
「庭より、あなたの命がまず大事です。あなたさえいれば、もう一度やり直せます」
勝手な言葉だと思いながらも、六斗はそう言い切りレイジを社長室から連れ出した。
それと同時にガラス窓は破壊され、社長室は爆炎に包まれた。




