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次の季節に、お宅の品が崩れます

用済みと言われ、十二年の寝かせ竹を足すのをやめました。冬にお宅の籠が抜けます

作者: 久瀬 澪
掲載日:2026/08/12

背中で、次の代という声がした。睦実の指は、束から抜いた身竹の一枚を撫でたまま、止まらなかった。


 夕刻の冷えが土間へ下りていた。薄く割った竹を親指で押すと、しなった肉がゆっくり戻る。戻りきるまでのわずかな遅れを見て、睦実は十二年ぶんの札が並ぶ棚へその一枚を返した。


「次からは、まとめて入る竹に替えます。値も三分は下がる」


 篤臣は仲買を炉端へ座らせ、若い衆にも聞こえる声で言った。嶺牙が篤臣の肩越しに札を見て、口の端を上げる。


「けど、睦実さんが一本ずつ見てるんでしょう。伐った年だけじゃ足りないって」


「札など要らん。月数だけ書いておけ」


 篤臣は棚から一枚抜いた。墨の薄れた札には、伐った日、油を抜いた日、雨の続いた日、皮の浮いた場所まで睦実の字で残っていた。彼は裏返し、汚れた台へ置いた。


「竹は、伐ってくれば手に入ります」


 仲買が睦実の背を見た。篤臣は膝をひとつ前へ出し、その視線を遮った。


「寝かせる月数と、湯の加減。それだけ揃えば同じものが出せる。次の代には、誰が休んでも回るようにします」


 竹なんぞ、伐ってくれば編める——。


 篤臣は壁へ紙を貼った。油抜きの日数、乾かす場所、割る幅、編み目の数。睦実が若い衆の手を見ながら、その日の湿りに合わせて変えてきたものが、まっすぐな文字で一枚に収まっていた。


「これなら俺にも分かりますよ」


 嶺牙が紙の端を指で弾いた。篤臣の隣では、よく通る声だった。


 湯場の鍋から細い蒸気が立ち、紙の裾を一度だけ浮かせた。睦実は火箸で熾を寄せ、身竹をもう一度曲げた。縁へ立てれば腰を支える一枚だった。


 肉の片側にだけ残る油を布で拭う。節の内側には薄い曇りがあり、来年まで置けば消えるものだった。睦実はその面を内へ向け、同じ束へ戻した。


「その仲買の竹は、春に伐ったものでしたな」


「そう聞いている。数が揃う」


「左様ですか」


 仲買は炉端の茶へ手をつけずに帰った。戸口で一度振り返ったが、睦実は縄を締め直していた。


 篤臣は貼り紙の下へ新しい覚え書きを置いた。嶺牙と若い衆が囲み、月数をどこへ書くか、油抜きの日を誰が記すか、紙の行を指で追い始める。


 睦実は炉の火を落とした。棚の札は古いものほど角が丸く、紐には竹の粉が入り込んでいる。十二年前の一枚を上へ揃え、戸を閉めた。


    *    *    *


 三軒の藪へは、その晩のうちに言伝を出した。北向きの藪は霜を二度待つこと。川沿いは水の引いた翌朝を外すこと。重禄の守る藪には、節の色が鈍るまで鉈を入れぬこと。


 いずれも次の伐り時だけで、仕入れ先が替わることには触れなかった。伝言を頼まれた若い衆は三枚の紙を懐へ入れ、睦実が渡した順に出ていった。


「返事は要りますか」


「要りません。伝われば、それで」


 戸の外では、風に擦れた竹垣が鳴っていた。睦実は使い切った墨を洗い、硯を伏せた。


 翌朝も、いつもどおり湯を沸かした。前日に割っておいた竹の油を抜き、編みかけの籠を膝へ載せる。縁へ身竹を差し、編み目を締め、底を押して四方の高さを見た。


 一つ目は持ち手を巻き、二つ目は底の端を切り揃えた。直しを頼まれていた味噌籠には新しい縁を入れ、古い竹と色が馴染むまで布で磨いた。


 籠は昨日と同じ数だけ仕上がった。寝かせ場へ入るはずだった一束だけが、土間の戸口に残った。


「それを先に入れてくれ」


 篤臣が覚え書きを抱えて通りかかった。睦実は縄を解かず、一束の上へ掌を置いた。


「今日から、新しい竹は寝かせ場へ入れません」


「なぜだ。そこまでは今までどおりだろう」


「今日の籠は仕上げました。直しの分も、昼までに終えます」


「その先を聞いている」


 睦実は最後の籠を台へ置いた。底の四隅は揃い、縁から出た身竹の先も残っていない。持ち手を倒して重ねれば、昨日の籠と同じ高さに収まった。


「新しく入る竹は、旦那の覚え書きでお回しください」


「手順は出してある。睦実は、それに沿って見ればいい」


 壁の紙は朝の光を受けて白かった。昨夜押さえた糊が乾き、四隅ともぴたりと壁についている。


 睦実は油抜きの鍋を洗った。切り出し、小鉈、幅を取る定規を一つずつ拭き、刃こぼれのない刃へ薄く油を引く。柄についた竹の粉も、布の角で掻き出した。


 篤臣が紙を指した。


「何が足りない。書き足す」


 睦実は寝かせ場の戸を開けた。十二年ぶんの札を古い順に目で追う。いちばん奥の一束へ伸びた指が、十二年前の札の下で一度だけ止まった。


「わたしはこの一束を、十二年、わたしの竹だと思うて寝かせておりました」


 戸口の一束へ、朝の風が入った。薄い皮が乾いた音を立て、縄の端が土間を擦った。


 睦実は札を裏へ伏せた。自分が使っていた前掛けを洗い場で揉み、竹屑を落としてから竿へ掛ける。


「睦実。誰も辞めろとは言っていない」


「はい」


「明日も籠はあるぞ」


「今日のぶんは、あちらへ揃えてあります」


 道具を台の端へ並べた。どれも店の物で、持ち出すものはなかった。戸口の一束にも触れず、睦実は土間を出た。


 背後で嶺牙が咳をした。篤臣は呼び止めず、貼り紙の端を掌で押さえた。


    *    *    *


 よその家から持ち込まれる仕事は、縁の切れた味噌籠や、持ち手の緩んだ買い物籠ばかりだった。睦実は借りた軒先に敷物を広げ、残った編み目を傷めぬよう古い竹を抜いた。


 替えの竹へ指を伸ばし、皮の厚いものを一本だけ避ける。白く乾いた折れ筋の隣へ、同じ幅の竹を二本差し込んだ。


「そこまで替えますか。切れたのは隣でしょう」


 籠を持ってきた女が、外した二本を見比べた。


「隣も、曲げたところが白うなっています。持ち手を締めれば、先にそちらが折れます」


「では、二本とも」


 睦実は同じ艶の竹を選び、直した箇所だけが新しく浮かぬよう古い編み目へ馴染ませた。縁を巻き終えて指を離すと、持ち手は籠の中心へ戻った。


 仕事の切れた昼には、割った竹の端を揃えた。長さの足りぬものも、味噌漉しの縁や小籠の底には使える。日が傾けば束を布で包み、借りている軒下の奥へ寄せた。


 土間は狭く、長い竹を立てて置く場所がない。寝かせるには風も入りすぎた。睦実はその日に使うぶんだけを買い、残った端を縄で縛った。


 重禄が訪ねてきたのは、霜の残る朝だった。背に負った細い竹を二本、睦実の前へ置く。切り口には、まだ藪の湿りが薄く残っていた。


「姐さん。どっちを取る」


 太さも節の間もほぼ同じだった。睦実の指は左へ伸びかけ、右の根元を押した。撓った竹は戻る途中でわずかに捻れた。


「左を。右は、もう一度寒に当ててから」


「藪じゃ、右のほうがまっすぐに見える」


「割れば片側へ寄ります。籠の腹なら逃げますが、縁には立ちません」


 重禄は右を肩へ戻した。左だけを地面に残し、切り口へ藁を巻く。


「春までには使うか」


「これは、もう少し置きます」


「置くところもなしにか」


 睦実は左の竹を軒下へ運び、壁との間に指二本ぶんの隙間を作った。重禄はその隙間を見て、代金の話をせずに帰った。


 その日の仕事が終わるころ、講の女衆が直した籠を受け取りに来た。一人が底を両手で押し、もう一人が持ち手を握って振る。縁は鳴らず、味噌壺を入れても底が沈まなかった。


「次は小さいのも頼めますか」


「今は直しだけです」


「では、空くまで待ちます」


 女衆は軒先へ鍋を運び、車座の間をひとつ空けた。粕汁には大根の角と、細く削いだ根菜が沈んでいる。煮崩れた酒粕が、椀の縁へ白くついた。


「冷めますよ」


 渡された椀を、睦実はすぐには口へ運ばなかった。指に残っていた竹の冷たさが消えるまで、両手で包んだ。


    *    *    *


 半年たっても、元の家から出る籠の数は変わらなかった。


 篤臣は仕上がった籠を仲買の前へ積んだ。嶺牙が一つ持ち上げ、底を平手で叩く。


「前と同じじゃないですか」


 乾いた音がした。篤臣は覚え書きを開き、油を抜いた日と寝かせた月数を指でたどった。


「誰にしかできない仕事では困る。こうして残せば、若い者も覚える」


「さすが次の代だ。数も落ちてませんしね」


 仲買がいるうちは、嶺牙の声も大きかった。若い衆は紙を見上げ、書かれた順に束を運ぶ。出来た籠は同じ向きに積まれ、同じ縄で括られた。


 寝かせ場では、秋の終わりに空いた一角へ冬の光が入った。そこに次の束は置かれず、箒の先が棚の奥まで届くようになった。


 春には奥の一列が減り、梅雨どきには棚板の染みが端まで見えた。戸口へ残された一束も篤臣の覚え書きへ移され、月数だけを書いた札を下げられた。


「先に古いものから使え」


 篤臣が言うと、若い衆は古い札の束を抱えた。墨の細かな書き込みは読まず、年と月の数字だけを見て並べ替える。皮の浮きと、節の詰まりと、油の戻った日は、同じ列の中へ入った。


 夏の湿りが抜けても、睦実を呼ぶ者はいなかった。油の残った一本は細く割られ、片側へ寄る一本も同じ幅に揃えられた。籠になれば、積まれた姿はよく似ていた。


 秋、寝かせ場の中央が空いた。若い衆が束を抱えても、肩が棚へ触れなくなった。


「広くなりましたね」


 嶺牙はそう言い、覚え書きを置く台を奥へ移した。貼り紙の前で篤臣と月数を数え、新しく入れた竹にも同じ印をつけた。


 次の冬の口、十二年前の札がついた最後の一束が棚から下りた。嶺牙が縄を切り、若い衆が湯場へ運ぶ。


「これで古い札は終わりですね」


「手間が減る」


 篤臣は札から紐を抜き、空いた棚へ新しい覚え書きを置いた。広くなった寝かせ場で、紙をめくる音がよく響いた。


    *    *    *


 米屋の衆が最初の籠の底へ俵を下ろすと、編み目が低く鳴った。両脇から持ち上げるにつれ、腹が外へ膨らみ、縁を支えるはずの身竹の一枚が斜めに伏せた。


 男は片手を離し、籠を土間へ戻した。縁を押して身竹を起こし、もう一度提げる。底は落ちなかったが、腹の膨らみは元へ戻らない。


「前の荷と替えてください」


 篤臣が貼り紙を見た。


「手順は同じだ。荷の入れ方が片寄ったんじゃないか」


 男は俵を抜き、別の籠へ入れた。若い衆が左右から縁を支え、真ん中へ据え直す。二つ目も持ち上がる途中で胴が歪み、身竹が編み目の下へ潜った。


 米屋の衆は籠を下ろした。二つの腹を並べて見てから首を振り、持ってきた荷車へ籠を戻す。


 嶺牙は返された籠へ手を出さなかった。篤臣の後ろから紙を見上げ、買い手が戸口を出るまで口を閉じていた。


「竹が新しいだけだ。乾けば締まる」


「乾いて縮んだ分、編み目が逃げます」


 こよみが奥から出てきた。返った荷の縁を持ち、伏せた身竹を起こそうとしたが、指を離せばまた斜めへ戻った。


「俺は書いてあるとおりに——」


「奥へ下がりな」


「叔母上」


「客の前へ出るな」


 こよみは若い衆へ荷車を返す支度を命じ、自分は米屋の衆を追って戸口を出た。外へ出る前に籠を一度振り返り、伏せた身竹へ布を被せた。


 怒鳴り込む客はいなかった。翌月の注文書から大籠が消え、その次には小籠も消えた。講へ納める数を書いた回り札も、元の家の戸口を通らなくなった。


 こよみは返った荷を一つずつ数えた。代わりの籠を他所から揃え、包みを抱えて詫びに回る。戸口に立つたび頭を下げ、断られた包みも持って帰った。


 篤臣の覚え書きにも、睦実の名にも手をつけなかった。若い衆が睦実を呼ぶかと尋ねると、こよみは返った籠の縄を締め直した。


「こちらの始末だよ」


 最後の一軒から戻った夕方、こよみは壁の前に立った。油抜きの日数も、乾かす場所も、割る幅も、紙の上では消えていない。


 彼女は貼り出された手順を自分の手で外した。折り畳まず、覚え書きの脇へ伏せて置いた。


    *    *    *


 篤臣は春を待たず、重禄の藪へ出向いた。新しく伐った竹を先に回すよう頼み、月数はこちらで揃えると覚え書きを見せた。


「あいにく、今年の藪は向きませんので」


 重禄はそれだけ返した。篤臣が覚え書きを開いたまま言葉を重ねても、鉈の刃を布で拭き、竹の根元から顔を上げなかった。


 数日後、重禄は睦実の軒先へ来た。背には古い縄の束を負い、手には三軒の藪へ残された言伝を持っていた。


「川沿いは、言われた朝を外した。北向きも霜を二度待った。おれのところも、節の色が落ちるまで伐ってない」


 重禄は紙を三枚、睦実の前へ揃えた。墨は雨でにじんでいたが、伐り時の字は残っている。


「元の家へは、もう入れられません」


「知ってる」


「旦那が来ましたか」


「ああ」


 重禄は背の縄を下ろした。中には彼の小屋で寝かせてあった古い竹と、この冬に伐った青い竹が分けて束ねられていた。


「姐さん。おれたちはあの家に売ってたんじゃない。あんたの目に売ってたんだ」


 睦実の指が、古い束の節へ伸びた。爪で皮を軽く押し、次に青い束の切り口へ触れる。古いものは今の仕事へ、青いものは先の年へ回せる肉だった。


「置く場がありません」


「場なら空く」


 藪の持ち主は、使わなくなった小屋の板戸を外した。講の女衆は床へ残る藁を掃き、風の通る側へ棚を組む。朝日が強く当たる一角には簾を掛け、古い束と新しい束の間を広く取った。


 重禄は柱を押し、棚の揺れを見た。女衆は竹を運び入れる前に床をもう一度掃き、鍋を置いていた台まで外へ出した。


 睦実は新しい札を切った。伐った日、霜の回数、油を抜く前の重さ。最初の一枚へ書き終え、青い竹の縄に結んだ。


 札はまだ白く、角も尖っている。睦実は古い竹を下の棚へ、青い竹を風の抜ける奥へ置いた。束と束の間へ腕を差し入れ、湿りが籠もらぬ幅を残す。


「その小さい籠を、ひとつ」


 講の女が、古い束の前で言った。


「まだ形も決めておりません」


「睦実さんの名で編むものなら、待ちます。豆を洗って、そのまま水を切れるのがいい」


「底は細かくなります」


「では、それで」


 隣の女が籠の置き場を指で測り、もう一つ頼んだ。若い衆の声も仲買の覚え書きもないところで、睦実の名が二度、注文の先へ置かれた。


 睦実は重禄の古い竹から一本を選んだ。割った肉を日に透かし、油の残りを見て、身竹に取る一枚を脇へ分ける。


 底の竹を十字に置き、細い一枚を順に潜らせた。最初の編み目を締めると、新しい仕事場の床で竹が短く鳴った。


    *    *    *


 篤臣が新しい寝かせ場へ来たのは、最初の籠へ縁を回す日だった。


 戸口で履物を脱ぎ、棚に並ぶ札を見た。伐った日だけでなく、霜や雨、竹ごとの癖まで書かれている。奥には青い束が入り、手前では古い竹が睦実の膝の上で籠になっていた。


「話がある」


 睦実は縁へ差す身竹の先を薄く削った。篤臣の影が手元へかからぬところまで退き、続きを待つ。


「家へ戻ってくれ」


 小鉈が竹の節を越えた。削り屑は途切れず、睦実の足元へ細く落ちた。


「注文が戻らない。若い者も、どの竹を残せばいいか分からん。前と同じでいい。寝かせ場だけ見てくれれば——」


「旦那」


「賃も改める。札も、好きなようにつけて構わない」


 睦実は削った身竹を曲げた。両端がきれいに寄り、指をゆるめると、まっすぐ元へ戻った。


「竹は、伐ってくれば手に入ります」


 篤臣の口が開いたまま止まった。棚の札から、睦実の手元へ目を移す。


「睦実、それは……俺が」


 戸口の外で、重禄が青い束を下ろした。篤臣は道を空け、土間へ片足を引いた。


「姐さ——」


 呼びかけはそこで細くなった。重禄は篤臣を見ず、新しい札を睦実へ渡した。


「川沿いのぶんだ。切り口は見た」


「こちらへ置いてください」


 睦実は札を確かめ、棚の端を指した。篤臣へ戻る言葉は足さなかった。


 重禄が束を担いだまま待つと、篤臣は戸口を出た。履物の音が土の道を離れてから、青い竹が空いていた棚へ収まった。


 睦実は籠を膝へ戻した。身竹の一枚を縁へ差し、編み目の内側から起こす。節を越えたところで指を添え、縁の幅に合わせて押し込んだ。


 竹は籠の腰でまっすぐ立った。


 出来上がった籠を、講の女衆が順に手へ取った。豆を受ける底を日に透かし、縁を押し、持ち手へ腕を通す。


「これは、うちのです」


「次はわたしの番ですよ」


「札に名を書いてあります」


 睦実は新しい注文の札を棚へ掛けた。竹へ伸びた指が、次に編む一枚を古い束から抜いた。


 仕事を終えると、女衆が小屋の前へ鍋を運んだ。粕汁の湯気が新しい札の下を通り、寝かせた竹の匂いに混じる。空けてあった場所へ睦実が座ると、椀がひとつ差し出された。


「明日は、底を二つ編みましょうか」


「竹を割るところからです」


「なら、朝から来ます」


 椀の中で大根が湯気に隠れた。新しい棚には、明日触れる竹がある。


 身竹は、籠の縁でまっすぐ立っていた。睦実は粕汁の椀を両手で包んだ。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

またどこかでお目にかかれましたら。


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