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八夜

零日と雪音

「やるもんだよね、君の弟君もさ?」

雪音は言った。

「珍しいな、雪が人を誉めるなんて」

眼帯の男が喋った。

「私だっていつも怒ったりしてる訳ではなくてよ?

やることやれば誉めるわよ」

雪音が少し膨れっ面で言った。

「暗部の奴もいるな?」

唐突に言った。

「ハァ〜あんた相変わらず人の話聞かないわね?

まぁあんたの言う通り、あちらさんも見学してるわね」

雪音は答えた。

「ちょっと挨拶行ってくる」零日は言ったと同時に移動した。

「ちょっと待ちなさい…ってもう居ないし、速いわね流石に」

雪音はため息をつく。


移動した先

「…!誰!」

女が言った。

「なんだ?何かあったか?…!あんたは」

大きな男が言った。

「お前ら、暗部の者か?」

零日が言った。

「なによ!こっちの話しはムシするわけ?」

女は零日に言った。

零日の冷たく鋭い視線を向けた。

「いや!なによこいつ、やめて見ないで!」

女は混乱し息をするのも忘れる位に取り乱した。

女の肩に手置き言った。

「大丈夫だ、ゆっくり息をしろ」

男は静かに言った。

「お…兄、ちゃん」

苦しそうに女は言った。

「剛【ごう】、麗羅【れいら】を頼む」

大男に言った。

「わかったぜアニキ」

大男は女を抱えて下がった。

「弟たちが失礼した

俺は暗部の天夢【てんむ】上からの命令により、総魔凱鬼を監視していた」

天夢は言った。

「そうか、こちらこそ悪かった。

お仲間なら凱に手出しはしないのだろ?」

視線を緩めずに零日は言った。

「…今のところはとしか、こちらも命令で動く駒でしかないのだから」

天夢は言った。

「そうか…仕方ない、お前みたいのは面倒なんだか…敵になるなら、手加減はしない」

零日は言った。

「こちらにも退けない理由がある、そうなった場合はあなたの命、貰い請ける」天夢ははっきり言う。

「ああ、互いに悔いが残らないようにな。

まぁそうならないように願ってるよ」

零日は言う。

「じゃあ、邪魔したな。

妹にも謝っておいてくれ」零日はその場から去った。



雪音が居る所に戻って来た零日


「雪、まだいたのか、悪い待たせたかな?」

零日は言う。

雪音が零日に近づく。

そして思い切り蹴った。

「いてーよ!俺謝ってんじゃんかよ〜、ヒデーよ雪」零日は怨めしそうに雪音を見た。

「バカ!アホ!っんとにバカ!」

雪音は文句を言う。

「バカって二回言ったぞ雪!お前バカじゃないの?」零日は言った。

雪音はもう一度蹴った。

「痛いから蹴らないで!

お前暴力ばっかで、俺にも優しくしてくれよ!」

零日は叫んだ。

「うっさい!あんたにあげる優しさなんてないわよ!」

雪音は言った。

「あっ、凱達帰っちゃったよ」

急に零日は言った。

「〜こいつはまた、急に話し飛ばして」

雪音は最後に思い切り蹴りその場を後にした。

「いってぇー」

悲痛な叫びだけが残った。


翌日仕事帰りの錬磨

「ったく、こっちは病み上がりだってのに」

悪態をつきながら歩く。

「っち、タバコ切れてやがる」

錬磨はコンビニの方向に足を向ける。

(この道…いつもの道だよな?)

日常通りの何も変わりない道のりに何か違和感を感じる。

(なんなんだ?いつもの道だよな?)

そのまま歩く錬磨。

(汝は、忘れる道を選択するのか?)

また頭の中に声が響く。

(なんだ?またか?鬱陶し奴だな!)

錬磨は少し項垂れた。

(汝の選択は後に重大な選択となる)

(うるせー奴だな!俺に何の選択が出来るんだよ!) (汝の選択は汝にしかできる道理はない)

(だから何を選択すんだよ)(汝が望みさえすれば汝の選択になるであろう)

(選択…お前は一体なんなんだ?)

(我は汝と共に歩む者…汝の中の力の根源)

(力の根源?何の力だよ?)(我は汝の刃なるもの、百獣の王の血を引きし者)

(ライオンか?)

(獅子である事は間違いない、だが我は混血)

(混血?ライオンの?)

(獅子なる王と白虎の血を引きし混血なるもの)

(ライオンとトラ…ライガーか?)

(ライガー…汝の理解があるのならば呼び名はライガーでよい)

(そのライガーが俺の力?)(我は汝の牙であり爪である、刃なる者)

(刃?剣?)

(我は型は刀)

(必要ない力だな?今の世の中そんなもん百害あって一理なしって奴だな)

(…我は力、汝の中に眠る者なり…真実を求めるのなら我の力を求めよ…)

声消えていく。

錬磨の視界が戻る。

「…真実…力…ライガー…何の事やら」

錬磨はコンビニに向かった。



十六夜では。

「あ〜やなに黄昏てんの?悩み?」

月子が訊ねた。

「月ねーさん…

私争いは嫌いだよ?

お互いに傷つけあって、痛いだけだよ…」

彩花は言った。

「ん〜あやは優しいね、だけど…躊躇っちゃダメよ」月子は真剣な顔で言った。「…強いんだね月ねーさんは」

彩花は言った。

「バカね、あんたは…

私は強くなんてない、私のはただの私怨だもの、張りぼての偽物よ」

月子は言った。

一方奥の方では

「おい修!オメェさんはよく寝る奴だな〜楽しいのか?」

多助が言う。

「ふぁ〜、人の三大欲求をまっとうしてるだけだよ…俺は」

修一は欠伸がてら答えた。「オメェさんは寝過ぎだと思うがね」

多助は言った。

「…起きてると、いろんな事考えなきゃならないだろ?それが面倒なんだよ」

修一は言った。

「なぁオメェはなんで俺達と一緒にいるんだ?」

多助は問いかけた。

「…ダメか?」

修一は聞く。

「だめってか、やっぱり気になるだろ?元々敵対し合うものだろ俺達とオメェさんは?」

多助は言った。

「…そんな誰かが決めた事なんか俺は興味ないよ…あんたらが気に入った、それじゃダメか?」

修一は言った。

「ホント変わったヤローたぜオメェさんはよ、」

多助は言った。

「そうかい?…気の合う奴らとつるんで楽しむ、人としては当然の事だろ」

修一は言った。

「そうか、そうだな!当然だな!がっはは〜、俺もオメェさんは気に入っている」

多助は笑いながら言う。

「…やめてくれおっさんが言うと気持ちいいもんじゃないぜ」

修一は苦笑い。

「まぁ聞け!そんなオメェさんに頼みがある!」

多助は真面目な顔になる。「…余り聞きたくないな…余計な重荷は背負いたくない」

修一は言う。

「んなこと言うな、まったくいつも寝てるくせに、勘がいいのは考えもんだ」

多助は言う。

「オメェに頼みたい事はわかってんだろうが、彩花と月子を守ってやってくれ、あいつらは強いが女だ、支えが必要だ」

多助は言う。

「んなもん頼まれる事じゃないね…それにあいつらの支えになれるのは俺じゃない…残念だがね」

修一は言った。

「まぁーオヤジの戯言と思って頷いておけ」

多助は言う。

「…あんたも死なせたくないものの一つだよ」

修一は彩花達の方へ歩きだした。

「ったく、オメェって奴はよ…頼んだぞ修一」

多助も後を追った。


「あっ、修君起きたんだ?こんな時間に珍しいね」

彩花は笑顔で言った。

「シュウ、あんた寝過ぎよ頭に蜘蛛の巣はってんじゃないの?」

じと目の月子

「…ひどい言葉だね、まったく…そんなんじゃ男は逃げて行くばっかだろ」

修一は言った。

「失礼ねそんなのシュウに心配されなくても大丈夫よ…それに私尽くすタイプよ」

月子が言った。

「…意外だな、イヤ、でもあんたに尽くされる奴は幸せかもな」

修一は言った。

「えっとえと、別にあんたに尽くすなんて言ってないわよ!」

慌てて月子は言う。

「月ねーさん真っ赤になってる!わぁ、こんな月ねーさん初めて、可愛い!」

彩花は言った。

「ちょっとあや!からかわないで!誰があんな訳わからないやつのことなんて!」

月子は修一を指差し言った。

「…ん?なんだ?」

修一は不思議そうな顔で言った。

「がっはは〜月子〜天然は苦労すんぞ!」

多助は笑いながら言う。

「うっさいこのバカオヤジ!」

月子はむくれた。

修一はタバコに火を着けていた。


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