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四夜

「ごめんなさい球ちゃん、私…私」

彩花は今にも泣きそうだった。

「彩花は頑張り過ぎだよ、それに謝るのはアタシの方だよ、彩花に契約させちゃったんだから」

球根はバツが悪そうに言った。

「小僧、我々魔神にはいろいろ種類がある。アタシのように土地神の子孫やその土地神、動物神、時神、人神、それに名の通り魔族や悪魔など力も能力も様々だ」

球根が説明を始める。

「その中にはお前ら人間を傷つける者も出てくる、それに対して人間は退魔師と呼ばれる人としての特異能力者を作り上げたのだ、有名なところで言えば、陰陽師などもその一種だ」

球根は続ける。

「小僧、主にはそのどちらの力も感じる…なぜだと思う?」

球根が錬磨に聞いた。

「なぜって…んな事言われてもわかるわけねーだろ?」

錬磨が答える。

彩花もわからない様子で聞いている。

「ならば問うが、人が特異な力を手に入れるには時間がかかる、その間人間は魔なる者にされたい放題か?」

錬磨は考えながら言った。「いや…違うと思う…そんな悠長な事やってれば魔って奴が気付いて邪魔するだろ?」

「そうだ、主が言う通りだ…だったらどうする?」

再度問う。

「即戦力ってかそんなのが必要になるんじゃないか?」

錬磨が答えた。

「いい線まできている、主は見かけによらず考える力はあるようだ」

球根は言う。

「…でその答えはなんなんだ?」

錬磨は続きを促す。

「答えは目の前だ」

球根は答える。

「?」

彩花と錬磨は目を合わせる。

「なんだ小僧?ギブアップか?」

球根はため息混じりに言った。

「んだよ、焦らすなよ」

錬磨が言う。

「あっそうか!」

「彩花は気付いたみたいだね?

そう人間は魔に対抗するのに魔の力を使ったんだ…自分から力を貸した者もいれば…捕らえられ無理に力をを取り出された者もいた」 「それが退魔の始まりか?」錬磨が言う。

「そうだ…魔を持って魔を制した、そしてその混血から特異能力者が生まれ退魔師となっていったんだ」

球根は言った。

「ある意味退魔とは同族殺しの達人と言う訳だ…皮肉な事にな…」

球根は失笑気味に笑って見せた。

「同族殺し?…いや、まぁそう…なるのか」

錬磨は呟く。

「…レン君には大切な人、居るの?」

不意に彩花が聞いた。

「えっ?なんだ急に?関係無いだろ?」

錬磨が言う。

「関係…あるよ?レン君に大切な人がいるならこれ以上関わらない方がいいよ?」

彩花は言った。

「…」

「んっ、そっか…レン君は正直だね?

…その顔見ればわかるよ?その人の為に全部忘れて日常に戻った方がいいよ?

今なら退魔の人達も手を出さないだろうしね」

彩花は無理して笑う。

「…無理だろ?忘れるなんて、こんな話し気になっちまうよ」

錬磨は言った。

「大丈夫だよ…私が忘れさせてあげる…だから、ね」彩花は頼む様に錬磨に言った。

「心配しないで…私も魔だからそれくらいしてあげられる」

彩花は言葉を絞り出す。

「…」

錬磨は考えている。

「…俺は逃げたくない…」

錬磨は言った。

「レン君…違うよ?逃げるんじゃないよ、戻るだけだよ?レン君の日常に」

彩花は答える。

「でも俺にも力ってのがあるんだろ…だったら」

「小僧が調子に乗るな!」

急に球根が叫んだ。

「小僧確かに主には才能はある」

「だったら!」

「無理だ、足手まといにしかならない、

自分の力も計れぬ者が…

死ぬ覚悟だ云々だと言って周りの者まで巻き込み殺す!

それもわからずに粋がるのは馬鹿のやる事だ…お前じゃ彩花は救えない…」

球根は口を閉じた。

「…」

錬磨は何も言えない。

「レン君…球ちゃんは正しいよ?

それにレン君は優しいから…人殺しなんてできないよ」

「…人を…殺す?」

錬磨が口を開く。

「そう…レンが思うほど私綺麗じゃないよ?

自分の命の為に人を殺した事もあるよ…」

彩花の手は震えている。

「小僧…いや…錬磨だったな、頼む…彩花の気持ちを汲んでやってくれないか?」

球根は彩花に目をやる。

錬磨は彩花の手を握った。「あやか…ごめんな?

俺じゃ役不足だった」

彩花は泣きながら顔を上げる。

「レン君…ありがとう」

「礼なんて言うな…何もしてやれないんだ、俺は」

首を振る彩花。

「名前…呼んでくれたよ」

くしゃくしゃの笑顔。

「バカだな、おま…あやかは」

錬磨は言った。

「ぐすっ…失礼だよ、レン君、彼女に嫌われちゃうよ?」

彩花は錬磨に言った。

「そうだな、気をつけてみるよ」

錬磨は答える。

「無理だよ、だってレン君正直な人だもん…彼女もわかってるよ」

彩花はどうにか笑顔で言った。

「…そっか、じゃあ泣かせない様にしないとな」

「そうだよ…女の子は泣かせない方が、いい男になれるよ」

「努力するよ」

「うん、頑張れ!レン君…女心は微妙なんだからね」 「ったくめんどくせーな…覚えとくよ」

彩花は頷く。

「じゃあ…バイバイレン君」彩花は突然言った。

「…いきなりかよ、全く

じゃあ、な」

錬磨は目を閉じた。


その頃裏政府では…

「それで、飛遠君はその招かざるお客様にボッコボコにやられちゃった訳だ?」女が言った。

この女性は夜の車の人だった。

「ハイハイそうですよ〜」

おちゃらけた感じに飛遠は言った。

「君はいつになったら私を上司と思ってくれるのかしら?」

女性は尋ねた。

「無理だよ〜僕の直の上司は凱鬼さんだもーん」

飛遠は言った。

「ハァ〜…死ねばいいのに」女性は馬鹿馬鹿しそうに言った。

「おいおい、人の部下にひでぇ〜言いようだな?」

スーツ姿凱鬼が窓から入ってきた。

「まったく、君は部下の教育どころか、小学校からやり直しなさいよ?」

女性は額を抑えながら凱鬼に言った。

「何でだよ?」

凱鬼は即答。

「それ本気で言ってんの?ハァ〜ドアはなんの為についてんねよ?このお馬鹿!」

女性は言った。

「馬鹿って、ひでぇ〜よ雪音ちゃん」

凱鬼は言った。

「まったく私は君の上司でもあるのよ?

その呼び方はないのではなくて?」

雪音が言った。

「なんだよ〜俺と雪音ちゃんのなかだろ?」

「そんなの初めて聞いたわよ、どんななかかは聞かないけどね」

雪音は呆れながら言った。「つれないね〜ほんと」

凱鬼はやれやれと言いたげだった。

「凱鬼はどんどん零日【れいか】のバカに似ていって…困りものだわ」

雪音が言った。

「零日?しらねーよそんなバカ兄貴は」

凱鬼は言った。

「凱鬼さん、今兄貴って言いましたよ?

…おはよございます」

飛遠は言った。

「おはよ、遠ちゃん、動かないからマネキンかと思ったよ」

「いえいえ、凱鬼さんの事観察してただけですよ?」飛遠は敬語になっていた。「…あまり見ないでくれると助かるぜ」

心の汗が止まらない凱鬼。「僕にはまだ見えてないですよ凱鬼さんの本質は。

…ところで零日ってあの零日ですか?」

飛遠は尋ねた。

「ええ、あなたが想像した零日で間違いないと思うわ」

雪音が言った。

「依頼達成率100%、残酷、無慈悲、魔の天敵と呼ばれた天才」

飛遠は言った。

「ええ、そうです退魔師としては完璧の中の完璧とまで呼ばれる男です…

お馬鹿なのが残念で仕方ありません」

雪音はため息をつく。

「凱鬼さんのお兄さんだったんですか?知らなかったですよ」

凱鬼は少し不機嫌になる。「しらねーよ、奴の事なんざ上の奴らに聞いた方がよっぽど詳しく教えてくれるだろうよ。」

凱鬼は言った。

「タブーなの?」

飛遠は雪音に聞こえる位の声で聞いた。

「どうなんでしょうね?昔はとても仲よかったですけど…

それとできれば敬語位使いなさい」

雪音が答える。


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