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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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5/15

5、キャラバンと合流

 俺がキャラバンに手を振ると、先頭の馬に乗った男が馬を止めた。俺は首から下げた冒険者証を見せて、馬車に乗せてもらえるか交渉した。


「俺は冒険者のシュナ。あっちは連れのコズエ。バリントの神殿まで行く途中です。渓谷を抜けるまででいいから、乗せてもらえないでしょうか」


 ターバンにひげの生えた男は、俺とコズエを検分する。二番手の馬に乗った男もこちらに来た。


「いいぞ。子供二人でえらいな。お前たちは運がいい。俺たちは国の荷物を運んでいるキャラバンだ。バリントの神殿にも物資を届けに行く。希望のところまで乗せて行こう」

「そうなんだ。それは安心です!」


 ポイズンアピスの作戦も話したら、男たちは喜んだ。


「それは助かる! 俺たちもその作戦に協力しよう」


 話はまとまった。後ろで聞いていたコズエも安心していた。


「良かった」

「行こう」


 二番手の男の後に付いて行った。全員に俺たちを紹介して、作戦の話をして回った。


「それは名案だな。賢いな坊主」


 ちょっと褒めてもらえた。ポイズンアピスはもっと南に生息しているから、知っている者は少ない。当然盗賊たちは知らないだろう。

 隊は普通の荷馬車が二台、幌付きの馬車が三台。護衛は先頭と後方、左右に二人ずつまんべんなく配置されていた。御者の交代要員も二人乗っていた。全部で15人の中隊だ。

 真ん中の幌付きの馬車に乗せてもらえることになった。中は木箱と、宿泊用のテントなどの備品も積まれていた。

 馬車は渓谷に入った。幅は馬車がすれ違えるぐらいある。両脇は高い崖だ。


「冒険者は戦力になるから、だいたい乗せてもらえるんだ」

「そうなんだ。さっき、何を見せてたの?」

「冒険者証だよ」


 俺はコズエに冒険者証を見せた。角の丸い鉄製のプレートに、名前と誕生日、出身地、所属しているグループが刻印してある。おじさんは、村の名前をそのまま団の名前にした。


「冒険者は行方不明になることが多いから、協会があって登録制なんだ。このタグを見つければ、その冒険者の装備品を冒険者価格で買い取ってもらえる。普通の人がアイテムを換金する時は、相場より安くなるけど、プレートを回収できるから、特典があるんだ」

「へ~」(それだと、冒険者が襲われることもありそう……)

「コズエにアピスの繭を渡しておくよ」


 俺は魔法袋から、アビスの繭を四個とりだして、二個をコズエに渡した。一個は予備だ。俺は胸ポケットに入れておく。


「え!! 持ってて大丈夫なの!?」

「うん。衝撃を与えなければ繭は割れないんだ。落としたり味方に付いても、潰せば済むから」

(うぉぉ)「分かりました」


 コズエは観念して受け取ると、胸ポケットに入れた。ちょっと笑えた。俺はスリングショットを取り出した。


「あ、それパチンコ」

「俺はこれを使う」

「そっちのほうが当たりそう」(この世界にもゴムがあるんだな。ゴムは天然だからあってもおかしくないか)

「飛距離が短いんだ。俺が前に出るから、コズエは後ろからだ」

「うん」


 俺は集めた石をズボンのポケットに移した。コズエも真似をする。

 渓谷の距離は1㎞弱だ。歩いてでも10分程度で抜けられる。馬車はゆっくり進んでいた。


 隊が急に止まった。来たな。俺は馬車から降りて確認した。前方に丸太が置いてあって、道がふさがれていた。先頭はそのだいぶ手前で止まった。後ろをふさがれずに済むので、賢い選択だ。隊は崖の上や辺りを見渡して警戒する。

 すると、しびれを切らした盗賊が上から降りてきた。下の岩影からも現れる。盗賊の数は十人と少なかった。キャラバンの者たちが剣で立ち向かう。なかなかの腕前だ。コズエも馬車から降りた。俺たちも石を当てる。盗賊は劣勢になると崖に下げた縄を伝って逃げ始めた。


「今だ! コズエ」


 俺はアピスの繭を放った。盗賊の足に命中すると、繭が割れて張り付いた。コズエも別の盗賊の背中に見事に当てた。


「やった!」

「上手くいったぞ」


 コズエと一緒に喜んだ。怪我を負った盗賊は丸太の向こうへ消え、二人は動けずそのままだった。俺は録音石で記録すると、兵站に送った。

 隊の損傷はなかった。強いキャラバンで良かった。俺たちも手伝って、妨害している丸太をどけると、隊は再び出発した。馬車の中でほっと一息ついた。


「終わって良かった」(初めての戦闘でドキドキした)

「お疲れ。初めてにしては上出来だった!」

「褒められた! やった!」


 隊は、無事に渓谷を抜けた。俺たちは出口を出て見晴らしのいいところで降りた。行先は同じだが、お互い別で行った方がよいこともある。


「じゃあな。助かったよ、シュナとコズエ」

「こちらこそ、ありがとうございました」

「ありがとうございます!」


「気をつけてな~」


 お礼を言って隊と別れる。みんなで手を振り合った。


 入り口と同じ岩と砂だけの砂漠を歩くと、森が見えてきた。今日はここで1泊して明日はバリントの町に着く。

 コズエとの旅ももう終わりだ。いつもは、人買いに売られて暗い顔をしている人が多かったけど、コズエは明るいので旅は楽しかった。誰かと旅をするのも悪くないなと思った。


 昨日と同じように野宿の準備をする。二回目だけどコズエは手慣れたものだった。


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