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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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41/43

41、塔の宿泊

 塔に残ったコズエは、ロドリゴに建物の中を案内された。中央にエレベーターがある。


 えっ? エレベーター!? 護衛と一緒に、四人で乗り込んだ。ちょっときついかも。


「これはどうやって動いてるんですか?」

「魔法石だよ」

「なるほど」


 魔法か~。五階で止まる。降りると、床はつるつるの素材で、深い青い色をしていた。ここも壁は白く、窓もほとんどない。同じ丸い照明がぶら下がっていた。なんだか、近代的なデザインだ。


「五階からが居住区で、君の部屋も用意してあるよ」

 え~と。「ありがとうございます」


 とりあえずお礼を言っておこう。


「この建物は十階建てだ。八階より上は私のプライベート空間だ」

「そうですか」


 秘密は八階より上にあるのかな? 部屋に案内されて中に入る。中は、中世風のアンティークな部屋だった。建物だけモダンなんだな。窓が一つだけ付いている。空と街並みが小さく見える。外が見えて良かった。久しぶりに高い所に登ったな。


「ここが君の部屋だよ。ドレスも用意してあるから着替えたまえ。では、私は戻るから、あとはこの婆やに任せるよ」


 ドアの前に、背の低い腰の曲がった丸顔のおばあさんがいた。ロドリゴは護衛と行ってしまったので、ほっとした。婆やはロドリゴの親戚かな? なんか似ている。ロドリゴは元々お金持ちそうだな。


「着替えを手伝いますよ」

「はい」


 婆やがピンクのドレスを出してくれて、髪もきれいに上げてくれた。鏡を見てなんだかお姫様みたい。でもこのドレス、ピンクの色がきつい。赤いフリルがスカート部分に横に付いていて、胸にも赤いリボンで全体的に子供っぽかった。趣味がイマイチだな。まあ、いっか。


「では、案内しましょう」

「はい」


 婆やがいい人で良かった。婆やについて行く。五階には食堂や調理場があって、料理人が二人働いていた。掃除の人も見かけた。階段もエレベーターの周りにあったが、婆やは使わなかった。それぞれの階にも上がって廊下を歩いたが、誰もいなかったし、調理室がないだけで、五階と造りは変わらなかった。天井を見上げた。なんだろう、この建物の壁は変な感じがする。上の階に行くほど、重苦しい気がした。



 タクトと俺はアパートに戻った。おじさんがさっそく聞いてきた。


「どうだった? ん、コズエは?」


 俺たちは気まずい表情をする……。俺は指で顔をかきながら言った。


「それが、コズエだけ泊まることになって……」

「え!? 大丈夫なのか!?」


 クレードが驚いた。


「一応、明日迎えに行くことになってる」


 俺は塔でロドリゴと会った時のことを話した。録音石の映像をみんなにも見せる。見終わるとおじさんはつぶやいた。


「そういうことか」

「ロドリゴは悪魔と契約しているということか?」


 クレードが聞いたので、俺は答えた。


「多分そうだ。あの塔は、悪魔の力でできていると思う。それならあの規模でもおかしくない」

「やっぱりアイテムじゃなかったね」


 タクトも同意した。おじさんが言った。


「じゃあ、その杖を何とかすればいいのか?」

「そうだと思う。あとは、コズエの報告を待とう」

「分かった」


 コズエが無事に塔を出られるかだよな。明日のことを話す。


「明日はおじさんも来て、近くで待機してほしい。午前中に行くから昼過ぎても俺たちが出て来なかったら、警備署に連絡してほしいんだ」

「分かった」

「クレードたちは危険だから、またお留守番していてくれ」

「了解だ」

『了解』


 ジミーとコリンも額に手を当てて返事をした。



 スナープ団の塔。コズエは食堂で、婆やが用意してくれた食事を一人で食べていた。


 コース料理でとてもおいしかった! 元の世界も含めて、今まで食べた中で一番おいしかったな。みんなにも食べさせたかった。ごめんね、みんな。

 婆やが明日の予定を言ってきた。


「明日は、ご主人様と朝食の予定です」

「分かりました」


 よしよし、朝食を食べた後に帰れれば問題なし。その日は、ゆっくりお風呂にも入れて、いいベッドで寝られて、なんだかいい思いをしているな。今まで大変だったからいっか。その日は熟睡した。

 翌朝、またドレスを着た。今日は黄色のドレスだ。鏡を見ながら、まあ、かわいいよね。ドレスが。食堂に向かうと、ロドリゴはすでに来ていた。新聞を読んでいる。今日は舞踏会の日だよね。


「よく眠れたかな」

「はい、とっても」


 シュナといたので、私も礼儀正しさが身に付いて、世渡り上手になったかしら。オホホと心の中で、上品に笑ってみせた。

 朝食もすごくおいしかった! 食事が終わったので、早速言ってみる。


「今日は一旦帰ります」

「そうか、残念だ」


 ロドリゴは顔を曇らせたが、無理なことは言わなかった。良かった。


「私は午後からまた出かけるから。それまでは上にいるよ」

「はい。お暇する時にお伺いします」


 これで上の階に行ける。私は部屋に戻ると、ドレスを脱いで元の服に着替えた。念のためカバンからラケットを出しておく。階段を使ってロビーに向かった。これだと婆やに会わずに済む。とりあえず階段に隠れて様子を見るか。



 俺たち三人は、また塔に向かった。待ち合わせ場所を少し離れた街灯に決める。おじさんが立ち寄る喫茶店も決めて、塔の周辺で待機してもらうことになった。

 俺は録音石のスイッチを押すと、タクトとまた塔に入った。


「コズエに会いに来ました」

「あ、えっと」

「シュナ、タクト!」


 コズエが脇から飛び出してきた。受付の女性は驚いた。もしかして、呼びに行くつもりがなかったとか?


「ロドリゴさんに挨拶してから帰りますね」

「分かりました」


 コズエがそう言うと、女性は了承した。コズエは俺たちを引き戸の前に案内する。コズエがエレベーターの説明をしたので、俺もタクトも驚いた。人を運ぶ滑車のようだ。エレベーターに三人で乗り込む。コズエは最上階の十階を押した。個室に入ってようやく会話できるので、コズエが話した。


「会えて良かった!」

「うん。なんか変だったね」

「俺もそう思った」

「ロドリゴさんは、私にはいいって言ってたけど、違ったのかな?」


 コズエはそう言うと、俺たちに顔を近づけて小さな声で言った。


「この建物は上に行くほど、重い感じがするから上に秘密があるみたい。私は七階までしか行かなかったけど、そこまではどの階も同じだった。それ以上はロドリゴの部屋って言ってた」

「そうか」


 コズエは用心していた。この会話も聞かれているかもしれないな。俺たちも気をつけないと。


「まったく警備がいないな」

「そうなんだよね。普通に働いてる人はいたけど、警備らしい人は赤い服の二人以外はいなかったよ」

「それだけ、悪魔に守られているということかもな」


 悪魔が相手では誰も勝てないだろう。SS級のモンスターでも。なにせ、悪魔は実体がないからな。エレベーターが十階に着いて、ドアが開いた。床が水色と紫の大きなチェック模様になっていた。目の前に双子の護衛が立っていた。


「ここからは立ち入れません」

「ロドリゴさんに挨拶しに来たんだけど」


 コズエが言った。横に短い階段があって上から声がした。


「問題ない。ここに参られよ」


 まだ上にも部屋があったんだ。俺たち三人は顔を見合わせると階段を登った。


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