表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/43

39、城への招待

 本物だと思うけど……俺たちがここに来たのが分かったんだ。準備が早いな。俺とおじさんは男性を見た。


「団のために荷馬車で来ています。先方には裏口に付けて入ります」


 目立たないように、ということだな。おじさんが答えた。


「分かりました。準備をしますので、待ってください」


 俺たちは部屋に戻った。おじさんがみんなに言う。


「城に行くことになった」

『えっ!?』


 当然みんな驚くよな。


「コズエとタクトもだ。迎えが来ているから準備してくれ」

「分かった」

「了解!」


 コズエとタクトも準備をしに行った。


「じゃあ俺たちはお留守番だな」

「留守を頼む」

『了解!』


 ジミーとコリンが返事をする。準備をして外に出ると、アパートの前に幌付きの馬車が停まっていた。俺たちが乗り込むと出発した。コズエが聞いてくる。


「秘密なんだね」

「そのほうが、目を付けられなくていいからな」


 俺が答えた。城に着くと、馬車は裏口から入った。馬車を降りると、使用人の出入口に案内される。中に入ると衛兵が二人いた。


「ハシブ殿は、会議に参加してください」

「分かりました」


 もう一人の衛兵が言った。


「三人は王女がお待ちです」

「分かりました」

「じゃあ行ってくるな」

「うん」


 おじさんの言葉に俺が答えた。俺たちは左右に分かれて付いて行った。


(城だ~。わ~、ドキドキする!)


 コズエはうれしそうに辺りを見回していた。タクトも口を開けて眺めていた。俺も初めてだから緊張する。応接室に通された。ソファに座って待つように言われ、メイドがお茶を出してくれた。早速コズエがお菓子を食べる。


「後だと食べられないかもしれないから」


 お菓子を頬張る姿に、ちょっと笑った。緊張が取れた。少ししてから王女が入ってきた。メイドが中で待機している。


「みなさん、来てくれてありがとう! 今日はお礼を渡すために呼びました」

「お招きありがとうございます」

『ありがとうございます』


 コズエもお茶を急いで飲んで、タクトと挨拶した。それを見てまたちょっと笑った。王女は、ピンク色のきれいな小袋を俺たちに差し出した。


「これは昨日、助けていただいたお礼です。危ないところを助けていただいたのに、金貨十枚しか用意できなくてすみません」


 王女は申し訳なさそうに言った。俺は手を振った。


「とんでもないです。十分です。ありがとうございます!」

(金貨十枚は、百万円ぐらいね)


 コズエが鋭い目で何かを考えていた。王女はほっとした顔をして話した。


「神託が承認されました。会議ではスナープ団に関する人身売買の情報を、ハシブさんに話してもらっています」

「そうですか」


 塔を壊すことに関しては、文句を言われないということだな。でも、スナープ団からは何があるか分からない。


「明後日、舞踏会が開かれることになりました。スナープ団のリーダー、ロドリゴも参加します。今は商人の力が強いので、貴族だけではなく商人も招待しています。

 ロドリゴは舞踏会に参加する時は、要人との交流のために前日から、城に近いホテルに宿泊します」


 それはつまり……。王女はにこやかに言う。


「ロドリゴは塔を留守にしますので、その時に訪問されてはと思いました。今日はそのことをお礼と一緒に、お伝えしようと思いました」

「なるほど……」


 そういうことか。いずれは行くからな。


「分かりました。明日行ってきます」

「ありがとうございます」


 王女は顔の右側で手を合わせて、ニッコリ笑った。ちゃっかりしてますね……。それから王女はフリオン団の話を聞いてきたので、みんな自分のことを話した。ノックがして、衛兵が会議が終わったことを告げた。


「では、終わりにしましょう。今日はありがとうございました」

「はい、こちらこそありがとうございました」

『ありがとうございました』


 俺たちは王女にお礼を言った。王女の後について部屋を出ると、廊下で別れた。


「王女様にまた会えた~。今日もきれいだったね」

「うん……」


 うれしそうなタクトに、コズエが目だけ笑って返事をした。コズエは律儀だな。コズエがいなかったら、俺が返事をしているだろうなと思った。また裏口に戻り、おじさんと合流して同じ幌馬車で帰った。

 アパートの廊下でイグナシオに会った。ちょっと聞いてみた。


「事務所の建物の保証はどうなった?」

「ああ、俺は保険に入ってなかったから、建物のオーナーが築年数の分を引いて借金にしてくれた。新築するまでの家賃も払うことになる」

「そうか」


 だいたい家賃は金貨一枚ぐらいだろうか? それが半年と、三階の建物だと金貨三百枚ぐらいはかかるだろうな。あとは商売の設備費用の借金もあるだろうし、家族がいない身で冒険者をやっていれば返せない額ではないな。装備は冒険者協会でもレンタルできるし、借金もできるから揃えられる。けど……、俺はコズエとタクトを見た。


「みんなの分だけど、少しあいつに分けてもいいだろうか?」

「いいよ。私の分はシュナに渡す」

「俺はシュナに従うよ」


 二人は了承してくれた。俺は王女からもらったきれいな袋から、金貨二枚を出してイグナシオに渡した。イグナシオは驚いた。


「これは返さなくていい。大変だろうから渡しておく」

「……お前ら。ありがとう。やっぱり、いい奴だな」


 イグナシオが涙を浮かべてお礼を言った。俺たちはイグナシオと別れて部屋に戻った。部屋ではいい匂いがした。クレードとジミーたちが、夕飯の用意をしてくれていた。


「お帰り~」

「ただいま」


 コリンが出迎える。


「お土産はある?」

「あるよ。ほら」


 俺はきれいな袋を見せた。


「王女から金貨をもらったんだ。みんなで分けよう」


 俺はコリンとジミーに、金貨を一枚ずつ渡した。二人とも大喜びだった。

 それから、おじさんとタクトと自分に二枚ずつ分けた。


「俺は?」


 クレードが聞いたので、コリンたちを指さした。


「もう渡した」

「お~い。お前ら、くれ」

「ダメだよ~。僕たちがもらったんだから」


 クレードが二人に寄っていくと、二人は金貨を持って逃げた。それを見てみんなで笑った。俺はもらった袋をコズエに渡した。


「この袋はきれいだから、コズエにあげるよ」

「ありがとう。本当にきれい」(サテン生地みたいね)


 コズエはすごく喜んだ。早速、ラケットのバッグのほうにしまっていた。女の子は、こういった小さくてきれいなものが好きだよな。ネネもきれいなものを集めていたっけ。小さな石とか。——また、ネネのことを思い出したな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ