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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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38/43

38、グリート団を訪問

 翌日、朝食を取ってから新聞を見に行くと、みんなが読んでいるので待つしかなかった。宿は大きな事件があった時は、多めに新聞を買っている。おじさんが知り合いに声をかけて、回してもらうことができた。


「デナスという男が地雷を投げたらしい。団員が何人か死んだようだ」

『!』


 被害が相当大きいな。地雷ならやはり誘拐犯と仲間なのか。地雷は投げて使うこともできる。とんでもない奴だ。新聞を見るとデナスの似顔絵が載っていた。ターバンを巻いて冷たい目が、嫌な笑いを浮かべている。


「じゃあ、首都に向かおう」

「うん」


 俺たちは首都に向かった。首都には2時間ちょっとかかる。子供がいるからもっとかかるかもしれない。クレードが俺たちに言った。


「おまえたち先に行っていいぞ。冒険者のアパートで合流しよう」

「分かった」


 首都には協会がやっている冒険者用のアパートがあって、短期滞在用の住まいを貸してくれる。冒険者は首都に用がないから宿はないのだ。俺たち三人は先に行くことにした。2時間弱で行けるかもしれない。


 首都の街が見えてきた。それと同時にスナープ団の白い塔も見えた。裾広がりの外観に、ところどころ窓がある単純な形だ。コズエが珍しそうに言った。


「あれがスナープ団の塔なんだね」(他は低い建物だから、すごく目立つ)

「うん」


 俺が返事をする。

 先にグリート団の事務所に向かった。地区は新聞に載っていた。アパートよりも先の繁華街にある。街は石造りの建物が並んでいた。近くに行けば事件のあった場所なので、聞くとみんなが知っていた。

 グリート団の事務所は三階建ての建物だったが、そこに着くとその場所だけ建物がなく瓦礫になっていた。隣の建物は建っているがガラスが割れたり、壁が削れて損傷している。地雷のすさまじい威力だ。新聞には、魔法で瓦礫をよけて埋もれた人を全員出したと書いてあったが、二階にいた人も含め、全員死亡していた。三階には人はいなかった。


「ひどい……」


 コズエが手を胸の前でぎゅっと握ってつぶやいた。瓦礫の中にイグナシオが一人で座っていた。俺が声をかけた。


「おーい、どうなったんだ」

「……フリオン団か。よく分からないが、デナスが地雷を使った。俺は出かけていて助かった。半分以上の仲間が死んだ。生き残った仲間もいなくなった。レイナも……。俺はすべてを失ってしまった」

「え!?」


 イグナシオは肩を落として下を向いた。コズエが驚いた。


(なんだか、サンドルさんが言ってたのと似てる。大人の女性は頼りにならなくなったら、いなくなっちゃうのね)


 コズエは目を線にして、残念そうな顔をしていた。建物は借りていた物だろうから、賠償しないといけないだろうな。


「ユリスやキーラたちはどうなった?」

「ああ、あいつらは現場にいたけど無事だ。俺もあいつらも冒険者のアパートにいる」

「そうか」


 結局アパートに行くことになった。アパートに入ると受付の前にキーラたちがいた。受付は管理人の部屋になっていて、窓越しに対応する。コズエから安堵の声が出た。


「キーラ、ユリス、ヘルナンさん!」

「コズエ、みんな」


 キーラが返事をする。いつもと違い元気がない顔をしていた。とくにユリスは重い表情をしていた。二人ともポリントの時と様子が同じだ。キーラたちは俺たちのほうに歩いてきた。荷物を持って旅支度をしていた。チェックアウトしたんだな。


「無事で良かった!」

「そうだね」


 コズエの言葉にキーラが控えめに答えた。俺が聞いた。


「何があったんだ?」

「……あたしたちが原因だ。どうしようか迷ったが、昨日の昼に三人で事務所に行ったんだ。そうしたら、デナスが後ろのドアに移動してこちらを見た。あいつは笑って地雷を投げたのさ。ホント、何が起こったのか一瞬さ」

「私のせいです。私がデナスを睨みつけてしまったから。きっと、私が無事に戻ったことで、自分のことがバレたと悟ったんです」

「ユリスが光魔法で防御してくれたから、俺たちは助かったんだ」

「キーラとヘルナンが私をとっさにかばってくれました。私は両手を出して魔法を使いました」


 三人がそれぞれ説明した。光魔法はすごいな。


「そうだったのか」

「ご褒美をもらいに行ったら、団は壊滅して、リーダーに残ったのは借金だけさ」


 笑えないけど、キーラはいつもの軽口をたたいた。結局ユリスが、グリート団を終わらせてしまったな……。


「これからどうするんだ?」

「私は、モーリアの神殿に行きます」

「あたしたちが、ユリスを送って行くよ。あたしもポルクの件があったから、イグナシオとはもう離れる。潮時だね。また、新しい雇い主を見つけるよ」

「俺はキーラさんに付いて行きますよ」


 ヘルナンはキーラに言った。キーラは微笑んで、手の甲をヘルナンの胸にトンっと軽く当てた。俺が別れの挨拶をした。


「会えてよかったよ。じゃあ、また」

「気を付けて」

「ユリスちゃんも元気で!」


 コズエとタクトが手を振った。タクトの言葉にユリスもやっと微笑んだ。キーラたちも手を振って、笑顔でアパートを後にした。俺も手を振る。グリート団はみんなの予想通り、やっぱり崩壊した。

 俺たちは受付で三室ある部屋を取った。一人部屋にコズエ、二人部屋に俺とタクト、三人部屋におじさんとクレードたちのつもりだ。台所とトイレ、お風呂も付いている。


「本当にアパートだ」


 コズエが感心した。受付の人には、おじさんたちに部屋を取ったと伝えてもらうようにお願いした。リビングのテーブルの上に地図を広げた。


「ここが、現在地。ここが、スナープ団の塔だ。ここからでも見えると思う」

「外からも見えたね」


 コズエが言った。位置的には、城とアパートの間にある。城は中心部から端寄りの高台の上に立っている。ドアがノックされた。


「来たぞ」


 クレードの声だ。俺はドアを開けて、四人を迎え入れた。おじさんがさっそく聞いてきた。


「グリート団はどうだった?」


 俺は見たことと、聞いてきたことを話した。


「そうか。もう解散したんだな」

「うん」


 そういうことだな。またノックがした。俺はドア越しに対応する。


「はい?」

「受け付けです。御用の方がお待ちです」

「分かりました」


 俺とおじさんで玄関まで行くと、初老で黒いジャケットの男性が、帽子を取って立っていた。受付から離れて話をする。聞かれたくないことなんだな。その男性は手紙をおじさんに差し出した。封蝋には王家の紋章が押されていたので驚いた。


『!』


 俺とおじさんは顔を見合わせた。宛名はフリオン団になっている。おじさんが封を開けて手紙を読んだ。


『フリオン団の皆さん 

 城に招待します。リーダーのハシブさん、シュナ、コズエ、タクトは迎えの者と一緒に来てください。 

    ウティルナ王女』


 手紙はウティルナ王女からだった。


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