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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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37/43

37、爆破事件

 食堂は賑やかだった。おじさんが説明する。


「食事は1回1時間で、その間は自由に出入りできる。9時までやってる。風呂は10時までだ」

『分かりました』


 コズエとタクトが返事をした。

 食事を取っていると、顔見知りの冒険者ジョーとベインが来て、タクトを見て言った。


「自慢の魔法使いって君かい?」

「え?」

「ハシブさんが魔法使いが入団したって、自慢してたんだよ。ぜひ、魔力の補充に協力してほしいんだけど~」

「お前ら」


 頭に手を置いているジョーと、揉み手しているベインに、おじさんが半目で言う。


「今月厳しいんだよ。家族に仕送りしなくちゃいけないし」

「ほら、みんなのフリオン団でしょ」


 二人は同じ村の農家で出稼ぎで来ている、40代の仲良し冒険者パーティだ。おじさんはしぶしぶ言った。


「タクトがいいならな」

「いいですよ。そんなに疲れてないし。俺も体力あるから」


 そうなのか。やっぱりコズエと一緒だなと、食事をしながら感心した。


「やった」

「食事の後、お風呂に入ってから談話室でしますね」

「OK。ありがとう!」


 二人は喜んで去って行った。クレードがちょっと忠告する。


「談話室だとみんなが来るぞ」

「いいですよ。なんか知り合いが増えそうだし。みんなの役に立てるならうれしいです」

「タクトはいい奴だな」


 クレードは感心して言った。あまり深く考えてないと思う……。

 食事が終わると風呂に入って談話室に向かった。コズエも風呂に入ってから様子を見に来た。タクトはすでに、魔法使いがいない小パーティたちの人気者になっていた。みんな探索石や録音石、他の魔法石を持ってきている。壊れた道具や武器を持ってきている人もいた。

 俺は壁の掲示板を見ている。掲示板には、モンスターやアイテム情報など、冒険者に必要な情報が貼られていた。真ん中は、冒険者情報だ。ミンたちとポルクの情報が、顔写真付きで貼られていた。顔写真は、登録時に録音石で撮られる。それをプリントアウトしたのだ。死亡と冒険者資格の剥奪の内容が書いてある。ミンたちは北東の同盟国ロンファウから来たお尋ね者だった。ロンファウは第五側室の国で、東の国が北東を抑えられたことによって戦争が終わった。ミンたちの確認が不十分だったことについて、冒険者協会の謝罪も書いてあった。コズエも掲示板のほうに来た。


「あ! ミンとポルクのことが載ってる」(文字が読めるわ。これがチートね)

「読める?」

「うん。キーラたちも冒険者だったのね」

「そうみたいだな」


 単独行動していたし、何かと便利だから登録はしていたんだろう。その隣には、事件の新聞記事の切り抜きが貼ってあった。ここはダイジェストでその後が分かるので、見るようにしている。先に自分たちが関わったものを見た。


『砂漠の人買いのアジト摘発』

『渓谷の盗賊全滅』


 あの後、人買いたちは捕まって良かった。あの時の盗賊も全滅したのが分かった。もちろん、俺たちの名前は出ていない。アピスのことも秘密だ。


『バリントの森の盗賊全滅。神殿と村人たち感謝』『フリオン団ありがとう!』


 ここからは荷物を取り戻したので、俺たちのことが出ている。なんか恥ずかしいな……。コズエが記事に気がついた。


「最初の! この記事は、私たちの旅の記録みたいだね」

「うん。俺たちの活躍は、全部コズエが来てからだ」

「そっか、それなら私が来た意味があるのかもしれないね」

「そうだと思う」


 コズエが俺を見てニッコリ笑った。俺も微笑んだ。


『プラットの町を襲った冒険者盗賊、賞金首が退治』『フリオン団が商品を取り返す!』


 賞金稼ぎの情報は書かないので、フレイアのことも当然書いていない。俺たちのことは書いてある。


『エイリアスの花で、S級魔法使い復活!』


 サンドルの記事もあった。シロリス村は、エイリアスの花を求める人が押し寄せているらしい。だがその後、誰も取得に成功していない。


『魔法使いフロスト村を占拠後事故死。フリオン団村人を開放。少女たちは帰る』


 ゴーザの顔写真も載っていた。魔法学校の卒業生と書いてあり、冒険者たちの死亡疑惑についても書いてあった。


『バスタとアイサム間の盗賊全滅』


 こっちも全滅だな。アイテムの蛇使いの笛は兵士が回収したとある。モンスターよけに使えるからな。


『聖女誘拐事件ポリントで解決』『グリート団の冒険者仲間割れ一人死亡』


 誘拐事件の船と首謀者は、いまだに分かっていない。船は一旦外国に行ったかもな。ポルクの記事も載っている。キーラたちの名前は出ていない。さすがに今日の神託の神殿のことは記事に出ないだろうな。タクトの様子を見に来たおじさんも掲示板にやってきた。


「お前たちの記事ばかりで鼻が高いぞ。みんなに聞かれたよ」

「へへへ」


 俺は照れた。


「タクトはいい魔法使いなのに、特待生になれないなんて残念だな」

「うん。俺もそう思う」


 そのおかげでうちに来たけどね。


「まあ、学校もお金がないから仕方がないかもな」


「おーい、今食堂で聞いてきたけど、首都で爆破テロがあったらしい」


 談話室に来た冒険者が、全員に向けて話した。そこにいたほとんどが驚いた。


「俺は仲間割れだと聞いたぞ」

「グリート団の事務所だろ。敵国のスパイがいたらしいぞ」


「何だって!」


 俺は思わず声を出した。スパイならデナスのことか。南の国の服を着ていたのはカモフラージュかもしれないな。本当は東の国なのかも。でも、どうしてそうなったんだ? コズエがつぶやいた。


「キーラやユリスさんが心配だな」

「そうだな」


 おじさんも俺たちが親しくなったので、コズエに同調した。


「詳しいことは明日の新聞を見れば分かるだろう」

「うん」


 俺も返事をする。タクトが俺に手を振った。


「シュナ~、みんなこっちに来て」


 どうやら終わったらしい。行ってみるとタクトの前の机には、お菓子や缶詰などの保存食がたくさん置いてあった。みんなが代金の代わりに、お礼として置いていったらしい。


「たくさんもらったよ。一人じゃ運べないから、みんなで分けよう!」

「お~、ありがとう」


 おじさんも喜んだ。クレードたちも呼んでくる。まだ三人とも起きていた。


「欲しいものを持っていっていいよ」

「助かるよ。ありがとう」


 クレードもタクトにお礼を言った。ジミーとコリンも両手に好きなお菓子や、干した果物を持ってご機嫌だった。


「私の分は二人に分けるね」

「うん」

「タクトのおかげだな」


 みんなで食料を持って、ニコニコしながら部屋に戻った。


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