表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/43

34、主従の契約

 布を取ると、エリサが目を開けて横になっていた。


「ひっ!」


 コズエが声を上げる。


「エリサだわ! どうなってるのこれ?」

「魔法じゃないかな」

「そうだ」


 俺とタクトが答えた。


『あんたたち、私を助けなさいよ!』


 大きな声がして、俺は思わず耳を抑えた。エリサの声だったのか。そこへ、クライムとフレイアが一緒に戻って来た。


「あ、フレイアちゃん! 久しぶり」

「久しぶり」


 タクトは思わず挨拶をした。フレイアも普通に返した。


「うちの荷物に手を出そうとしたコソ泥だ。魔法で拘束した。フレイアは君たちにコレクションの話はしていないそうだ。なんでこいつがいると分かったんだ?」

「ここに来たのは、本当にフレイアに会いに来たんだ。そしたら声が聞こえて。エリサだとは思わなかった」


 エリサの奴、今度やったら突き出すと言ったのに……。仕方がないから本当のことを言った。


「君は変わった能力を持っているのか?」

「船が難破して、海に落ちて俺だけが助かった。その時の後遺症だと思う」

「ふむ、フリオン村の話は団の名前から有名だ」(変わった能力を持つ子供だな)


 クライムは俺を見ていた。


「こいつのこともフレイアから聞いていた。こいつは、フレイアを見殺しにして私と神の誓いを破らせようとした。万死に値するね。見た目は悪くないから、どこぞに売り飛ばすつもりだ」

「人身売買は違法だ」

「バレなければいいんだよ」


 俺が言うと、クライムはしれっとそう答えた。コズエが声を上げる。


「そんな!」

「君もひどい目に遭ったんだろ? 異世界人は優しいんだね」

「そうだけど、エリサは悪いことをしたいわけじゃないと思う。シュナも言っていたけど、困った時は助け合うものよ。この世界でも、フリオン団や復興グループの人たちがいる」(この考えは共通のものよ)

「私は金にならないことはしない主義だ」

『この変態眼鏡が!』


 やめろ! そんなことを言ったらこの場ではく製にされるぞ。でも、俺の考えはエリサには届いていない……。相変わらず文句を言ってくる。耳をふさいでも無駄だ……。うっ。


「君が苦悶の表情を浮かべているということは、この女は私に悪態をついてるんだろう。このままはく製にしてコレクションとして飾っておこうかな」


 やっぱり考えを読むのは止めてくれ。俺は名案を思いついた。


「主従の魔法契約を使って、働かせるのはどうだろう」


 エリサは信用ならないから、このままでは仲間としては使えない。でも、トラブルに巻き込まれやすいから、どこかに所属していた方がいい。ここだと、フレイアも普通に扱ってもらっているし、俺たちの邪魔にならないだろう。名案だ!


「ふむ、そうだな。それは本人次第だが」


 主従の契約は両方の承諾がいる。従者は主人に従い、主人もまた従者を守る義務がある。お互い契約を破れば代償を払うことになる。エリサに聞いてみる。


「無理なことはしなくていいから、悪い話じゃないぞ。どうだ?」

『従うわ。お願い、売られるなんてゴメンよ!』

「3年ぐらいでどうだ?」

『仕方ないわ』


 エリサも了解した。エリサはコズエと同じ年ぐらいだ。3年あれば大人になるだろう。俺はクライムに伝える。


「従うそうだ」

「いいだろう」


 団の魔法使いが来て、エリサの魔法を解いた。魔法使いの前でクライムとエリサが向かい合い、そのまま主従の契約が行われた。エリサはテンバー団の一員になった。エリサはコズエに言った。


「あんたって本当、お人よしよね」

「もう!」


 エリサはコズエに気づかれないように後ろを向いて、涙をさっと拭いた。クライムがエリサに聞いた。


「君はいくつだ?」

「17です」

「フレイアと同じか」

「私と同じだったんだ」


 コズエも言った。三人とも同じ年で親近感を感じていた。クライムが目を輝かせて、俺とコズエに聞いてきた。


「シュナとコズエも、うちの団に来ないか?」(不思議な力を持つ子と、異世界人はとても珍しい!)

「え? 俺は?」


 タクトが自分を指差した。


「君は冒険者になりたてだろ。うちには優秀な魔法使いがいるんだ。——君なら一人でも大丈夫だよ」

「そんな~」


 クライムがニッコリ笑うと、タクトはがっかりしていた。俺は普通に返事をする。


「俺たちはフリオン団でいいです」

「そうか残念だ」


 今度はクライムが肩を落とした。警備はしっかりしてそうだし、コズエにとっては悪い話じゃないかもな。クライムに情報を言っておく。


「異世界人も今は狙われているんです」

「! スナープ団か」

「多分そうだと思います。聖女も金になるから誘拐してました」

「それなら、フレイアもこ……エリサも気を付けないとな」


 契約を結んだので、クライムはエリサのことを言い直した。俺は思い出したことも言っておいた。


「エリサはコズエを人買いの身代わりにしたんだ。そして俺がコズエを買い取った」

「そういう身代わりだったのね。あなた、本当に最低ね」


 フレイアがエリサを見て言った。


「しょうがないでしょ。私は身一つでやってきたんだから」

「手癖が悪かったんだろうが、すでに誘拐されていたのか。ふむ、用心しよう」

「それは否定しない」


 クライムが推察して言ったことを、エリサは素直に認めた。腕を組んで横を向く。コソ泥で捕まって売られたんだな……。

 コズエがフレイアに言った。


「そういえばフレイア、バスタの異世界人のカズヤに会ったよ。話すことができて良かった。ありがとう。その後、私たちの目の前で異世界に帰っていった」

『!』


 フレイアとクライムは驚いた。


「それは、ぜひ見たかったな」(貴重な場面だ)

「いいことではなかったけど……」


 俺はそう言うと、カズヤのことと聖女誘拐の話をクライムたちに聞かせた。クライムは興味深く聞いていた。


「君たちは、すごいね。感心したよ! やっぱりうちの団に欲しいね」

「二人だけだよね」

「そうだね」


 タクトの問いにクライムが答えた。タクトはまたがっかりした。


(私の旅はエリサから始まったな……)「最後かもしれないから言っておくね。フレイア、会えて良かった。ありがとう」


 コズエはフレイアにそっと別れのハグをした。


「私もよ。ありがとう、コズエ」


 フレイアもコズエの背中に腕を回し、目をつむって穏やかな表情をした。二人は離れると微笑み合った。エリサはコズエの別れの言葉に驚いて、目を潤ませた。でも何も言わない。コズエはそんなエリサを優しく抱きしめた。エリサはコズエの腕にしがみついた。


「エリサも元気でね。居場所が見つかって良かったね」

「コズエ……、ごめんね……。ありがとう」

「うん」


 エリサは小さい声で泣きながら言った。結局エリサも、コズエの優しさに助けられていたんだな……。それを見てクライムとタクトが目を潤ませていた。

 俺たちはテンバー団を出た。三人が外まで見送ってくれた。手を振って別れた。


「エリサは良かったね」

「そうだな」

「うん!」


 俺たちは微笑み合った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ