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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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33/43

33、テンバー団を訪問

 翌朝、出発した。マーレイには半日ちょっとで着く。手前の宿場町で昼食をとってまた出発する。マーレイは岩山に囲まれた、北側の国境近くにある貿易都市だ。街が見えてきて、コズエが感嘆した。


「小さいけど賑やかね!」

「商人がたくさんいるからね。テンバー団もここに拠点があるんだ」

「え! じゃあフレイアちゃんに会えるかな」

「……そうね」


 コズエがまた半目でタクトを見ていた。神殿に着くと、みんなで中に入った。神官長や神殿の人たちが、ニンスの帰りを泣いて喜んでいた。


「もう会えないかと思ったよ」

「ありがとうございます」(戻って来て良かった)


 ユナとマリーも滞在を許可された。


「聖女が三人になって大歓迎だよ。でもまた狙われるかもしれないから、あまり言わないで活動してもらうよ」

「それがいいと思います」


 俺が神官長の言葉に同意した。神殿に滞在していた親方とヤンも来た。


「四人を救出するなんてすごいな!」

「えへへ、今回はみんなの協力があったから。こちらは、グリート団のキーラとヘルナン。グループとは別行動していて、たまたま会ったんだ」

「よろしく」


 キーラが微笑んで手を振る。ヤンの印象は悪いままなので警戒していたが、挨拶した。


「バスタの復興グループのヤンだ。こっちがリーダーのバルジフさん」

「みなさんありがとう」


 親方はお礼を言うと、さっそく目を診てもらった。ユリスが手をかざすと、強く光った。光が消えてから、親方は静かに目を開けた。


「ああ、見えます。頭痛も取れた! 聖女様ありがとうございます! 感謝します」


 親方はユリスに頭を下げた。ヤンとダッジもお礼を言う。ユリスは微笑んだ。良かった。これで任務完了だ。

 親方たちともここでお別れだ。神殿の玄関に出る。


「シュナ、コズエちゃん、タクト。みんな本当にありがとう」

「いえ、こちらこそありがとうございました。親方、ダッジさん、ヤンさん、みなさんお元気で」

「ありがとうございました」

「また会いましょう!」


 みんなで挨拶して、親方たちの馬車を見送った。


「じゃあ、あたしたちも行くわ」

「お世話になりました」


 キーラとユリスが挨拶して、ヘルナンが手を上げる。


「またね。ユリスちゃん!」

「気を付けて!」


 グリート団の三人とも手を振って別れた。遠ざかってからユナが指に顎を乗せて言った。


「あの二人、いい感じね。もう一人がいなくなったんでしょ」

「私もそう思った!」


 コズエも同意した。俺は違う意見だ。


「そうか? あの二人はあのまんまだと思う」

「そうなの?」

「うん」


 コズエのテンションが落ちた。そんなものだと思う。


「じゃあ、俺たちも行くか」

「うん」

「じゃあ、ユナさんもお元気で」

「うん。コズエ、向こうに戻っても元気で頑張るんだよ」


 ユナはコズエを抱きしめた。カズヤが帰ったから、コズエもいつ帰ってもおかしくない。これが最後になるかもしれない。コズエは涙ぐんだ。


「うん。ありがとう!」


 ユナも涙ぐんだ。二人は離れると、指で涙を拭いた。笑顔で手を振る。


「元気で!」

「ユナ、俺たちはまた会おう」

「うん!」

「ありがとう!」


 ニンスとマリーも手を振った。俺たちも歩きながら手を振った。


「聖女たちもかわいかったね。たくさん友達になれて良かった」

「あはは……、良かったね。タクトは女の子が好きだよね」

「うん。コズエのことも好きだよ」

「う~ん、ありがと」


 コズエは考えてからお礼を言った。


「シュナのことも好きだから」

「あ、どうも」

(人が好きなのかな?)


 俺もとりあえず答えた。コズエは微妙な微笑みを浮かべていた。俺も同じだ。タクトとの距離感がいまいち分からない……。コズエがいなくなったらどうなるんだろ。考えても仕方ないか。


「郵便局に寄っていくよ。みんなの場所が分かるかもしれない」

「どうやって分かるの?」

「団の名前で私書箱を借りてるんだ。そこに自分宛ての手紙が転送されてくるんだよ」

「魔法すごっ!」


 コズエが驚いた。名前で借りるには条件がある。団体の名前は証明できるものがなければ使えない。名前が被った時は、後者が個別番号を付けることになる。

 郵便局に行って受付で、団の名前と俺の名前を伝え、冒険者証を見せた。局員の人が手紙を持ってきてくれた。


『今からモーリアに行く予定だ。ハシブ』


 と手紙に書かれていた。封筒は「メンバー」宛てになっていて、読んだメンバーの署名が横に書かれている。クレードも読んでいた。おじさんは今一人で行動している。書いてある東の町と日付から、もう着いている頃だろう。


「おじさんがモーリアに行くから会えるかもしれない。二人を紹介したいから俺たちも行こう」

「うん!」

「話に聞いてたから、会えるの楽しみ」


 タクトもコズエも会えるのを喜んだから良かった! おじさんもきっと、クレードから二人のことを聞いたに違いない。


「その前に寄り道したいけどいいかな」

「いいよ」


 俺の提案にコズエが答えた。封筒の表に署名した。新しい紙を出して今日の日付と同行者の名前、


『俺たちは、神託の神殿に寄ってからモーリアに向かう』


 と書いて同じ封筒に入れてまた封をした。切手代を払って私書箱に戻す。日付が過ぎれば誰かが回収する。


「街を出る前に、フレイアちゃんに会いに行こうよ!」

「あ、すっかり忘れてた」

「そうだな。テンバー団の商会を見に行くか」

「やった!」


 タクトはおじさんのときより大喜びだった……。街の人に聞くとすぐ近くだった。


『誰か! 助けて!』


「人の声がする……」

「えっ? 幽霊?」


 タクトがコズエの肩にしがみついて怯える。コズエも緊張する。


「違う。生きている人だ」

「そうなんだ」(シュナは不思議だな)


 タクトは安心したようだ。テンバー団の建物の前に荷馬車が着いていた。白い帽子に前合わせの上着を着た二人が、担架に布をかぶせたものを運び入れていた。北の国の衣装だな。


「なんだろうあれは……」


 人ぐらいの大きさだ。声が聞こえなくなった。もしかしてあれか?


「とりあえず、テンバー団に入ろう」

「うん」


 商会なので出入り自由だ。カウンターがあったのでそこで待った。左側には低い仕切りがあってその向こうにソファが置いてある。


「こんにちは」

「はい、どのような御用件ですか?」


 廊下から、金髪ショートカットのくせっけで、30代前半ぐらいの耳の尖った男性が出てきた。エルフっぽいな。丸眼鏡をかけて茶色のベストを着ている。


「フリオン団のシュナです。こっちはタクトとコズエです。フレイアさんと知り合いなんですが、マーレイまで寄ったので来ました」

「そうですか! お待ちください」


 男性は廊下に戻るとしばらくして、眼鏡をかけた若い男性が歩いてきた。


「やあ! フリオン団の諸君。私はここのリーダーのクライムだ」

『えっ!』


 まさかリーダーが対応してくれるとは思わなかったので、みんな驚いた。


「その節は、フレイアが大変お世話になったね! 本当にありがとう。それにアイテムも譲ってくれて、なんて太っ腹なんだ! 感心するよ」

「あ、いえ。はじめまして」

『こんにちは』


 勢いに押される。二人もおどおどと挨拶する。よく見ると、ネックレスと腕輪をしていた。


「もちろん、私が着けてるよ! これでも結構狙われているからね。残念だけど指輪は私がつけても仕方がないから。でも家宝にしているよ!」


 危険だから人には使わせないということだな。きっと。


「フレイアは今手が離せないから。私が来たよ」

「……それなら、貴重なコレクションがあると思うので、見学できますか?」

「……ああ、もちろんいいよ」


 クライムは少し考えてから、了承してくれた。クライムについて行きながら、コズエがこっそり聞く。


「どういうこと?」

「さっきの声のことだよ」

「それと関係があるのね」

「うん」


 二階の一室に案内された。


「この部屋さ」

「おお~」


 コズエが声を出す。いろんなものが置いてあった。武器に壺、不思議な置き物、そして、あの担架が大きな木の机に置かれていた。さっきの男性がクライムを呼びに来た。


「ちょっとよろしいですか?」

「ああ。じゃあ、ゆっくり鑑賞してくれたまえ」


 クライムは俺たちにそう言うと、あっさり出て行った。コズエが聞いた。


「大丈夫なのかな。お宝でしょ?」

「信用してくれてるんだよ」


 タクトは前向きに答えた。何でもいいや。俺は担架の布をめくった。


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