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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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32/43

32、裏切者の名

 コズエとユナは再会を喜んだ。別れてから1週間しか経っていなかった。


「また会えるなんてね!」

「本当! ユナさん、またきれいになったね」

「そう?」


 ユナは見た目が20代後半ぐらいになっていた。俺も同意した。


「本当だ」

「聖女は20代ぐらいで力がなくなるらしいけど、なんでユナは使えるのかな?」

「私がサボってたとでも言うの?」


 ユナがタクトに言った。それを聞いてニンスとマリーが笑う。タクトはたじたじだった。


「そんなこと言ってないよ」

「まあ、確かにあいつらだけに力を使ってたから、温存されていたかもね」

「やっぱり」


 ユナはタクトを睨む。ニンスは困ったように言う。


「聖女というだけで誘拐されるなんて、どうしたらいいんでしょう」

「戻っても心配です」


 二人は俺たちと同じ年で、まだ子供だ。ユナもぽつりと言った。


「本当にそうね」

「しばらくは、用心した方がいいな」


 俺が言うと、ユナが思い出したことを話した。


「そういえば、あいつら、バスタにいる異世界人の男性を連れて行くつもりだったの。異世界人も珍しいし、幸運を呼び込むからとか。それで町に寄ったけどいなかったって」

「何だって!?」


 俺は驚いて大きな声を出した。コズエとタクトも驚いた。


「その異世界人はカズヤだ。矢が当たって、俺たちの目の前で元の世界に戻ったんだ。そいつらが行ったのは、その後だな」

「そうだったの!」

「そうなると、コズエをアイサムの神殿に預けるのはやめたほうがいいな」

「そうだね!」


 タクトも強く同意した。俺はコズエに言う。


「俺たちとこのまま旅を続けよう」

「うん、分かった。またよろしく」

「うん。よろしく」

「了解」


 タクトも額に手を当てて返事をした。またコズエと旅ができて正直うれしかった。


「俺たちはその後、親方の毒を取ってもらうため、キャンプ地までユリスに会いに行ったんだ」


 ユリスは下を向いて黙っていた。ユナが呆れて言った。


「この子ずっと元気がなくて、こんな感じなのよ」

「私、自分から外に出たのよ」

「それ、イグナシオも変に思ってた」


 ユリスがぽつりと言ったことを、俺も付け足した。


「あの中に裏切り者がいたの」

『!』


 黙って聞いていた、ヘルナンとキーラが驚いた。


「誰だい、そいつは? リーダーも知ってるのかい?」

「私は捕まった時に分かったの。だからイグナシオは知らないわ」

「まずいな」


 ヘルナンもキーラと見合わせて言った。ユリスが自分のことを話しだした。


「私も元は神殿にいたのだけど、そこが盗賊に襲われた後にイグナシオたちが来たの。その時に、


『ここにいてもまた盗賊が来るから、俺たちと来ないか?』


 って誘われたの。私はイグナシオの誘いに惹かれて付いていった。でもすぐに、イグナシオは途中で会ったレイナを恋人にした」

「あいつは、いつも女を連れているよ」


 キーラが呆れて言った。ユリスはキーラに聞いた。


「キーラもイグナシオとはどうだったの?」

「あたしも最初は惹かれたから付いていったのさ。でも、あいつが女好きだと分かったから、あたしにとってはただのリーダーさ」

「そうだったのね。私はなんとなく気持ちがモヤモヤしたままだった。そこに、デナスが私に言ったの


『あいつを試してみなよ。あんたがいなくなって捜しに来なかったら、もうあきらめたほうがいいよ』 


 って」

「デナスか! 胡散臭い奴だと思った」


 キーラが大声で言った。少しは、いつもの調子が戻ったようだな。コズエが聞く。


「どんな人?」

「外国から来た、ターバンを巻いて白くて長い服を着た男だ」


 ヘルナンが答えた。その衣装だと同盟国の南の国だな。ユリスが続きを話す。


「自分でも子供っぽいことをしたと思う。キャンプ地の外に出たらすぐに捕まったの。当たり前だけど、イグナシオは安全を取った」

「そうだったのね」(好きな人に裏切られた気持ちだったのか……)

(ユリスさんはイグナシオが好きだったのね。どこがいいのかしら)


 ユナが納得した顔で言って、コズエは腕を組み、目をつむって考えていた。

 俺たちがいなくても、イグナシオはユリスを追いかけなかっただろう。結局迎えに来たのは俺たちだったから、そりゃあ元気がなくなるよな……。ユリスがふとこちらに聞いてきた。


「誘拐犯が埋めた地雷はどうなったの?」

「地雷!?」


 キーラとヘルナンが驚いた。俺が答えた。


「それは、タクトが解除した」

「そうなのね」

「やるじゃん、タクト。フリオン団よりうちに来ないかい?」


 キーラがタクトにウィンクした。グリート団にも魔法使いはいないからな。タクトは褒められてうれしそうだったけど、俺にしがみついてきっぱりと断った。


「俺、シュナといたいんだ! 大人はこりごりだ」

「あらら」

「私はグリート団にきて1年だったけど、デナスは2年ぐらいでしょ」

「そうだね。地雷を扱ってるなら、あいつもしかしたら戦争商人か、敵国のスパイかも」

『!』

(怖い!)


 コズエが怯えていた。なるほど、グリート団に入ってグロット王国を見ているのか。今回のことでスナープ団ともつながっていそうだな。


「ユリス、盗賊の人数を教えてくれて助かったよ。一応グリート団はマーレイに行ってるけど、俺たちが着く頃には出発しているかもしれない。親方がマーレイにいるから、治してほしいんだけど」

「いいわよ。お礼に治します。まだお礼を言ってなかった。助けてくれてありがとう」

「ありがとう」

「私も感謝します」

「みなさんありがとう! 私が治してもいいけどね」


 ニンスとマリー、最後にユナもお礼を言った。ユリスの目は元気を取り戻していた。話してスッキリしたのだろう。


「私はグリート団に戻るわ」

「そうか」

「マーレイにいなかったら、私たちが送っていくよ。ご褒美をもらわないとね」


 キーラがヘルナンを見て言った。ニンスはマーレイに行くからいいとして、


「分かった。ユナとマリーはどうする?」

「私もマーレイに残るわ。それからまた好きなところに行く。あんたたちにはついて行けないからね。この子たち歩くの早いのよ」


 ユナがマリーに言った。ユナらしいな。マリーもユナに習った。


「私もマーレイに残ります。ロスリンは小さな町なので、戻るのは不安です」

「分かった」


 コズエがタクトに聞いた。


「そういえばタクト。ヘルナンさんの鞘が壊れているけど直せる?」

「見せて」


 ヘルナンが剣を渡す。鞘は割れていた。キーラがヘルナンに聞く。


「なんでお前はさん付けなんだい?」

「それは、俺と同じで同性同士は呼び捨てしやすいからじゃないですか?」(キーラさんが雑に扱ったからですよ、とは言えない……)

「そうかい」


 ヘルナンが焦って答えるが、キーラは納得した。タクトが鞘を見て言った。


「これなら、木を取ってこれば直せるよ。ない部分を同じ物で補うんだ」

「それは助かる」


 馬車を途中で止めてもらい、ヘルナンが枝を取ってきた。タクトが鞘の上に枝を置いて、両手で魔法をかけると、黄緑色の魔法陣が出て鞘と枝が光に包まれた。光が消えると鞘はきれいに修復されていた。傷の部分は色が違う。


「すごいな。ありがとう!」


 ヘルナンがお礼を言った。タクトは照れてニッコリした。

 その後コズエはユナに、別れた後のグロット・オーの地図の話をした。エイリアスの花についてはみんな興味津々で、感嘆していた。ユナがタクトにお願いした。


「ねえタクト、私もお礼に光魔法の玉を作るから、魔法玉の元を作ってくれる?」

「いいよ」

「わあ、ありがとう!」


 コズエも喜んでいた。光魔法の玉ならモンスターに効きそうだな。モンスターは瘴気でできているから光魔法で浄化できる。ジャインアトベアーにも使えるかも。ふむ。


「私も作ります」

「私も」


 ニンスとマリーも言った。ユナはユリスにも聞いてみる。


「じゃあみんなで作ろうよ。ユリスはどうする?」

「私も作ります」

「じゃあ四個作ってね」

「分かった」


 宿場町に着いた。今度は食堂に間に合った。十人の大所帯で食事をする。二人部屋が五個空いていて良かった。キーラとユリス、コズエとユナ、ニンスとマリー、ダッジとヘルナン、俺とタクトでいい感じにペアになった。コズエとユナはまた一緒になって盛り上がっていた。タクトが作った魔法玉に聖女たちが光魔法を付与して、コズエに渡していた。


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