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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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30/43

30、突然の再会

「行き先は、港町のポリントだな?」

「そうです」

「どうしてそう思うんだ?」

「ポリントまでは半日弱です。人買いが素早く人を運ぶのに船を使うからです」

「そうか」


 ダッジの問いに答えた。俺は海を思い浮かべて身震いする。コズエが心配そうに聞いた。


「シュナ、大丈夫?」

「大丈夫。フリオン村も海には近かったんだ。ポリントからはもう少し北にある。何度も帰ってるから平気さ」

「うん」

(フリオン村は、人が消えた村だったな……)「すまない」

「いえ。必要な事ですから」


 ダッジが気遣って謝った。復興グループの人たちはいい人ばかりだな。

 宿場町まで辿り着き、宿屋に泊まることにした。食事はもう終わっていたので、部屋で取ることにする。翌朝は、宿の食堂が始まってから出かけることにした。その時間でも午前中にはポリントに着く。

 コズエを一人で泊まらせるのは不安だったから、俺と同室にしようとしたら、

 

「なんで? 俺もコズエと一緒がいい」

「狼の川渡りクイズと同じで、お前とコズエを一緒にするのは不安だ」


 俺は目を眇めて言う。


「知ってる。キツネバージョンがあるよね」

「コズエも知ってるんだ。条件に当てはめれば何でもいいんだよな」

「何それ?」


 タクトが聞いてきた。もう夜も遅いからクイズはどうでもいい。ダッジが提案する。


「お前ら三人で泊まったらどうだ?」

「そうしよう!」

「そうだな、仕方ない」


 ダッジが一番疲れているだろうから、一人にしたほうがいいかも。俺たちは三人で二人部屋を使うことにした。ダッジの部屋から毛布だけを持ってくる。俺とタクトが同じベッドに寝ることになった。監視するにはちょうどいいか……。コズエは申し訳なさそうに言った。


「ごめんね」

「狭いけど楽しいよ」

「お前のせいでな」


 俺たちは疲れていたのですぐ眠った。

 翌朝、食堂で朝食を取った。ダッジが聞いてきた。


「よく眠れたか?」

「うん」

「タクトは思ったより寝相がいい」

「良かった」

「お前ら本当に仲がいいな」

「うん。旅がとても楽しいよ。シュナと会えて本当に良かった!」


 タクトは自分が捕まっていたパーティのことをダッジに話した。


「そうか、とんでもない奴がいたんだな!」


 そう言ってもらえてタクトはほっとしていた。朝食を済ませると出発した。

 2時間ほどでポリントの町に着いた。俺たちは荷台から降りた。


「ダッジさんは馬車にいてください。俺たちで港を調べてきます」

「分かった」


 埠頭の方に歩いて行く。コズエが聞いてくる。


「どうやって調べるの?」

「どんな荷を運ぶかとか、船の様子を外から見るんだ」

「へえ~、すごい」


 タクトが感心する。すると、声がした。


「あ~ら、シュナ坊じゃないの? 子供だけでお使いかい?」


 この声はキーラ。嫌な奴に会ったな。まてよ……。コズエが驚いて名前を言う。


「キーラ!」


 振り返ると、キーラとヘルナン、ポルクがいた。キーラは悪びれもせずに言う。


「久しぶりだね、コズエ。キーラさんだろ? あら、また新しい子がいるじゃないか。フリオン団は子供しかいないのかい?」

「ああ、前言ってたグリート団の人?」


 タクトが、思い当たって聞いた。


「そうだよ。かわいい子だね」


 キーラが近づいてタクトの顎を指で上げる。タクトはキーラの胸の谷間を見て赤くなった。


「こいつは、魔法使いのタクトで新しいメンバーだ。ちょうどいいところで会ったな。借りを返してもらおう」

「あーやだやだ。擦れた子だね」


 キーラはタクトから指を話して横を向いた。


「お前たちのところのユリスが誘拐された。グリート団のせいで毒の攻撃を受けた人がいて、治してほしいから探してるんだ」


 ユリスは見捨てられたが、こいつらのところには情報は来てないだろう。団のせいにして、ちょっと誇張しておいた。


「何だって⁉ ……ところで、ユリスって誰だい?」


 キーラは肘を曲げて両手を上げ、ヘルナンとポルクを見た。ヘルナンは頭をかいて答える。ポルクは無表情。


「イグナシオが拾った聖女だよ」

「あ~、居たね。辛気臭い顔をしてリーダーに引っ付いている女が」

「助け出すとご褒美がもらえるかもしれないぞ。協力してくれ」

「それは悪くないかも。経費を上乗せしてもらおうっと」


 俺の進言に、キーラはご機嫌になって了承した。


「どうするんだい?」

「探索石で捜してくれ」

「そうだね」


 キーラが探索石を出すと、赤い点が付いた。


「出たね……。あっちの倉庫街にいるようだ」


 キーラはユリスが登録してあったのが意外で少し驚いていた。捜す手間が省けて助かった! 俺たちは様子を見ながら倉庫が並ぶところまで行った。隠れて見ると見張りが一人立っている。怪しい。仲間が来て話をしていた。


「今日、出向だ」

「分かった」


 おそらく暗くなってから連れ出すだろう。俺はキーラに聞いた。


「中に何人いる?」

「あの中は、四人だ」

「四人!? 他にもいるのか。俺が中の様子を見てくるから、一旦ここを離れよう」


 離れると魔法袋から水差しとお椀を出して、井戸で水を汲んでくる。マントのフードをかぶり、俺だけその倉庫に近づいた。見張りの男が俺に注意を向ける。俺はおとなしい、細い声で言った。


「水を持って行くように頼まれました」

「そうか、入れ」


 男はあっさりドアを開けた。俺が子供だから油断したな。中は上に通気用の窓があるだけなので暗い。


「水を持ってきました」

「良かった! ありがとう」


 聞き覚えのある声がした。受け取りに来たのはユナさんだった。小声で言う。


「ユナさん!」

「シュナ!? 良かった! 助けに来てくれたのね」

「うん。話は後だ。全部で四人いるんだよね?」

「そうよ」

「分かった。また来る」


 俺は水差しを渡すと、すぐに出た。そのままみんなのもとに戻る。


「ユナさんがいた」

『え!?』


 コズエとタクトが驚いた。誘拐犯は聖女を集めたようだ。それなら、マーレイの聖女も有名だったから、いるかもしれない。全員に言う。


「今日の夜に船は出るから、昼過ぎに助け出す。警備署にも連絡してくる」

「分かったよ」


 キーラが返事をした。手順を説明する。俺とタクトで連れ出して、キーラたちとコズエが馬車まで四人を連れて行く。その後から俺たちがついて行く。馬車を通路から出た道に停めておく。兵士は、誘拐犯に気づかれないように、後から来てもらうことにした。

 俺たちはキーラと別れて警備署に行った。ここは港町なので警備署があり、兵士が常駐している。フリオン団は人身売買の摘発で国に協力しているから、名前が知られていることが多い。ここでもそうだった。


「フリオン団だね。知ってるよ」

「グリート団の聖女のユリスが誘拐されたので、代わりに探しています。どこにいるか分かったので、助け出すつもりです。この時間に倉庫まで来てもらえないでしょうか」

「分かった。行こう」

「了解した」


 待機している二人が協力してくれることになった。俺たちは三人で顔を見合わせて微笑む。ダッジと合流して昼食を取りながら、作戦を伝えた。昼食時が済んで、また港が賑やかになったら実行だ。


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