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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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26/43

26、グリート団参上

 歩いていると、植物がまばらになって砂漠に入った。両脇が高い岩山になっていく。街道が見えてきた。


「アルムヘイムに行くときの峡谷に似ているね」

「そうだな。だから盗賊もねぐらにしているんだろう。バスタはアイサムの街からも近いし、自警団もあるから発展しているんだ」

「へ~、そうなんだ」


 二人とも感心して聞いていた。


「アイサムに兵站があるから盗賊退治はしているけど、大きい街の間だから、残党がまた仲間を集めて来るんだよ。ここにいる奴らがフロスト村にも来ていたんだ」

(困ったものね)「あ、町だわ!」


 街道を横切る道を進むと川が流れ、アーチ状の石の橋が架かっていた。対岸には草が生えていてその上にバスタの町がある。

 橋を渡って町に入ると賑わいを見せていた。


「お祭りみたい」

「本当だ。どうしたんだろ?」


 変だなと思って、道行く人に聞いてみた。


「何かあったんですか?」

「ああ、旅人かい?」

「そうです」

「良かったね。グリート団が、街道の盗賊をやっつけてくれたんだよ! それでみんな大喜びさ」

「へ~」


 タクトは感心した。そうか、それは良かった。コズエが嫌な顔をした。


「グリート団はキーラのいる団よね」

「そうだな」

「知ってるの?」

「ああ、その団の情報部員の女に、コズエが金持ちの令息と勘違いされて、誘拐されそうになったんだ」

「ええっ!?」

「本当迷惑な話よ」

「勘違いだって分かって、あっさり手を引いたよ」

「良かったね……」


 タクトは胸に手を当ててほっとした。補修工事をしている店があった。破壊箇所があったから盗賊に襲われたのかもしれない。


「カズヤ、角材を持ってきてくれ」

「はい、親方!」

「!」(和名だわ)「ちょっと行ってくる」


 コズエが反応して、角材を運ぼうとした、こげ茶色の髪の男性に声をかけた。


「あなたはもしかして、異世界人ですか?」

「そうだけど?」

「やっぱり! 私もそう。森下梢、17歳です」

「え!? 俺は山口和也、26歳だ」

「どうした?」


 グレーの髪に四角い口髭のおじさんが店の中から出てきた。


「あ、親方。この子が異世界人だって聞いて」

「なんだと!? そうか。なら、休憩してこい。行っていいぞ」

「ありがとう!」


 カズヤの案内で町の広場まで行った。噴水の縁石に四人で腰かけた。


「会えて良かった。あなたに会いに来たの。私はこないだ来たばかりで、話が聞けるかもって」

「そうか! 俺はもうここに3年もいるよ」

「やっぱり……。帰れないの?」

「ん~、俺、元の世界ではちょうど仕事を辞めて、することがなかったんだよね。こっちのほうが性に合ってるのかも」

「そうなんだ……」(いろんな人がいるよね)「自警団にいるって聞いたけど」

「そうなんだ。さっきの親方が復興グループのリーダーで、大工と自警団と便利屋みたいなことをしている。俺もその一員だ」


 なるほど。この町が発展したのは、そのグループが主導していたからか。俺も聞いてみた。


「さっき、店を修復していたようだけど」

「そうだよ。また盗賊が来たんだ。食料品店は狙われやすいね。防御の魔法石は高くて装備できないから」

「ここには神殿はないの?」


 コズエが聞いた。このぐらいの町なら神殿は必ずあるけど、ここは聞いたことがないな。カズヤが説明した。


「神殿に物資が届くと盗賊が来るから、建て直すのをやめてるんだ。結局、盗賊は来たけどね」

「そっか……。ここって、ゲームの世界に似ているよね。アイテムとかモンスターとか」

「それは思った!」

「ゲーム? すごろくみたいな?」


 タクトが聞くとカズヤが答えた。


「そうだよ。アイテムもモンスターも異世界にはいないけどね」


 異世界との共通点があるんだな。魔法はないけど、コズエの持っているラケットは、この世界にない技術が使われている。別のことが発達しているんだろう……。


「女子高生が、ここで旅をするのは大変だろ」

「うん、本当大変! でも、シュナとタクトが一緒に旅をしてくれるから良かった」

「俺は初めからこの町に来たんだ。親方が面倒を見てくれて、すごく助かったよ。親方が言うには、異世界人は運がいいって」

「そうみたいだね。でないとやっていけないよ」

「そうだな」


 二人で笑い合った。


「シュナたちはフリオン団なんだよ」

「そうなんだ! フリオン団は聞いたことあるよ! いい冒険者集団で有名だ! 会えてうれしいよ」


 カズヤが喜んだので、俺たちもうれしかった。


「フリオン団だと?」


 声がした。見ると、女連れの20代後半ぐらいの若い男が、前を歩いて立ち止まった。男はオレンジ色のくせのある長い髪で、薄いモスグリーンのヘッドバンドをしている。細い葉っぱ模様のオレンジ色のシャツを着て、開いた胸元から冒険者証が見えていた。その男と腕を組んでいる女は20代半ばぐらい。朱色の派手な髪をしている。二人の左後ろに、淡い紺色の長い髪に、黄色いヘアバンドをした、清楚な20代前半ぐらいの女性がいた。その後方にも、立ち止まってこちらを見ている男たちがいる。すごい派手な集団だな……。


「聞いたことがある。慈善団体らしいな。冒険者は慈善団体じゃないけどな」

(カチンとくるわね。それにしても、チャラいわ)

「この人たちは、盗賊をやっつけてくれたグリート団だよ」

『え!?』


 カズヤの紹介に俺たちは驚いた。これが噂のグリート団か……。


「俺はリーダーのイグナシオだ。こいつは恋人のレイナ。こっちにいるのが、聖女のユリスだ。俺たちを知らないとは、本当に冒険者か?」

『聖女!?』


 コズエとタクトが反応して、ユリスを見た。イグナシオはフフンと鼻で笑った。聖女は珍しいので、グループにいれば箔が付く。聖女はやはり大人しい女性だな。

 こいつがイグナシオか。噂通り、軽そうな男だな。人数はここ以外にもいるだろうから、大所帯だな。


「名前は聞いたことがある。俺はフリオン団のシュナ、こっちが魔法使いのタクト、こっちは客人のコズエだ。

 お宅のキーラが、コズエに手荒な真似をして、一つ貸しがある」

「なんだって?」


 お返しに、俺は言ってやった。


「それはすまなかったな。今度ちゃんと言っておくよ。じゃあな」


 イグナシオは意外と素直に謝って行ってしまった。少し垂れ目で、あれが甘いマスクと言うやつだな。人が寄ってくるのが分かる気がする。

 なぜか、ユリスは動かなかった。


「盗賊は十人いました」

「そうなんだ。グリート団は強いんだね!」


 タクトがそう言うと、ユリスはお辞儀をしてイグナシオの後を追って行った。それなら、あの団は18人ぐらいはいそうだな。


「なんで男の人は、偉そうにものを言うのかしらね」

「男はそういうものなんだよ」


 カズヤは苦笑いして言った。前もシルフォードに言われたからな。元気になったから、また言うだろうか?


「そうなの? 嫌われるのに損ね」

「ホントホント」


 タクトもコズエに同意した。タクトは言わないだろうなと思って、俺はフッと笑った。カズヤが立ち上がる。


「さて、戻るか。会えて良かったよ」

「私も! ありがとうカズヤ」

「うん」


 みんなで店の前に戻った。リーダーが外に出ていた。


「おう、戻ったか」

「ありがとうございました」

「ありがとうございます。親方」


 カズヤとコズエがお礼を言った。


「お前たちはこれからどうするんだ?」

「私たちはこの後、アイサムの神殿に行くんです。私はそこに置いてもらう予定です」

「そうなのか! じゃあ、馬車で送っていくよ」

「え!? いいんですか?」

「ああ、せっかくカズヤが同郷の人間に会えたんだ。もうちょっと一緒にいたらどうだ」


 コズエが俺に聞いてくる。


「シュナどうかな」

「いいよ。盗賊もいなくなったから、街道を使おう」


 親方は本当にいい人だな。カズヤも返事をする。


「分かりました」

「ここは他の奴に任せるよ」


 親方は仲間に荷台から荷物を降ろさせ、馬を取ってこさせた。


「楽だね」

「うん」


 タクトとコズエは喜んだ。


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