25、もう一人の異世界人
捕らわれていたお年寄りたちはタクトが回復させ、全員が元気になった。女の子たちはお年寄りに謝り、お年寄りたちも元気になったので、それを許した。今日は二、三人に分かれて、家に泊まらせてもらうことになった。
俺たちは三人で、ゴーザの遺体を森に置いて風葬にした。横には詳細を書いた看板を立てた。タクトがぽつりと言った。
「あいつの雷の大きさは、あいつの欲望の大きさだったんだろうな」
それから、ゴーザのことを兵站に通報した。後日、ゴーザが冒険者を殺したかは不明のままになったが、ゴーザの死も事故として処理された。
ブレアさんの家の前に戻って、アイテムの確認をした。タクトが話をした。
「エリサに魔法が効かなかったから、腕輪は魔法防御のアイテムだと思う。金庫から魔法石も取り出したよ。これはかなり高度な加工がされていた」
「やはりな。ネックレスが物理防御で、指輪が増幅器だな。防御系がS級アイテムで、指輪がSS級だなきっと」
「SS級って?」
コズエが聞いてきたので、俺が答えた。
「伝説のモンスターのことだよ。前の持ち主も誰かにもらったか、拾ったりしたんじゃないかな」
「へ~。強そう!」
「強いよ。普通の人間では敵わないと言われている」
怖い!と言ってコズエは震えた。さてと、俺はアイテムを全部、フレイアに差し出した。
「約束だ。全部お前にやる」
『え!?』
その場にいた全員が驚いた。クレードが呆れて言った。
「おい、お前は本当に欲のない奴だな。それを全部付けたら最強だぞ」
「でも、ゴーザは死んだ。アイテムは攻撃かどうかを見分けていた。それにゴーザが身に付けていたものだし、タクトが言ってたように、俺たちには過ぎた物だ。村にはこれで十分だよ」
俺はゴーザの魔法袋をクレードに渡した。中にはお金や魔鉱石がいくつか入っていた。これで食料の補填になるし、装備も補強できる。クレードは中を見て喜んだ。
「こんなに! 助かる」
「ありがとう。ボスが喜ぶわ。フリオン団のことはちゃんと伝えておく」
「俺たちも、ミンの時はフレイアに助けられたからな」
「! そうね。貸しは一つ減ったということで」
フレイアは微笑んだ。
「そうだ! コズエに言っておくことが。ここから40分ぐらいのところにあるバスタの町に、異世界人がいると聞いたことがあるわ」
『!』
それを聞いて全員が驚いた。
「まだいたら、3年ぐらいいることになる。そこの自警団で働いてると聞いたから、何か話が聞けるかもしれない」
「3年!?」(そんなに長く? 今もいるか分からないか……)「ありがとう」
「うん。じゃあ、私はもう行くわ。みんな本当にありがとう」
「ああ」
「フレイアちゃんまたね!」
「気を付けて」
フレイアに手を振って別れた。
「フレイアちゃんと友達になれた♡」
「良かったね……」
喜んでいたタクトに、笑顔を見せながらコズエは、ちょっと引きぎみだった。俺が言ってみた。
「近いし、バスタの町に行ってみるか」
「え、いいの?」
「うん、話を聞いてみようよ」
「いいね! 行こう!」
タクトも乗り気だ。クレードが心配そうに言った。
「バスタからアイサムまでの街道は、また盗賊が住みついたらしいから、こっちの道で、アイサムに戻ったほうがいいかもしれない」
「分かった。そうするよ」
この後クレードは、使っている魔法石の魔力の補充を、タクトにしてもらっていた。魔法石の魔力は減っていくので、定期的に補充が必要だ。
「タクトがいて助かるよ! 魔法使いがいれば、タダでやってもらえるからな。うちの団で初めての魔法使いだ。でかしたぞシュナ」
「そうなの!?」
「うちは一人か二人で行動するから、魔法使いにはきついんだ。魔法使いは、最初のお前と同じで、人数の多いパーティに入りたがるからな」
「そうだったね。今は役に立てて、すごくうれしいよ!」
タクトは思い出してちょっと恥ずかしそうだったが、とても喜んでいだ。コズエがそれを見て微笑んだ。
俺たちはしばらく残って、放置されていた畑の手伝いをしようと思ったが、お年寄りたちが元気になったので、自分たちで後はやると言ってくれた。クレードと俺たちは明日、出発することにした。
女の子たちは、四人が帰ることにして、ラナとミシュカを含む四人が残ると言った。残る者は家に手紙を書くことにした。お年寄りが便せんと封筒、切手を用意してくれた。郵便は、配達はあっても集荷はない。配達の時に渡すか、街道のポストに入れることになっている。手紙はクレードが持って出ることになった。
その日、コズエはマーサさんの家で、ラナとミシュカと一緒に泊まった。
翌日、門の前でみんなで集まった。横の道が、バスタに行く道だ。
「久しぶりに、女の子たちと話して楽しかった!」
コズエもリフレッシュできたようだ。女の子たちと別れの挨拶をした。
お年寄りは全員杖なしで立っていた。
「タクト君ありがとうね」
「私たちにまだ、回復力があったなんて驚きだわ!」
「はい。みなさんもお元気で」
「また来てね」
女の子たちもお礼を言う。
『みなさん、本当にありがとうございました』
そして、残る者と帰る者で挨拶をし合った。
「ここに手紙を書くね」
「うん。私も書く」
みんなで、涙を流して別れを惜しんだ。
「じゃあ、行こう。みんなさようなら。クレードたちもまたな」
「ああ、気を付けてな!」
俺が声をかけると、手を振って二方向に分かれて歩き出した。




