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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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24/43

24、解放作戦

 翌朝、朝食を早めに済ませると屋敷に向かった。全員が配置についてから、俺とコズエで屋敷の庭に入って呼びかけた。


「おーい、ゴーザ。話がある、出てこい」


 しばらくすると、ゴーザは二階のバルコニーに一人で現れた。


「なんだお前たち。まだ帰ってなかったのか」

「帰るわけないだろ。話をしに来たんだ。お年寄りたちを解放してくれ。食べ物を食べさせてないなら、じきに動けなくなる」

「そうだな。そうなったら、ゾンビのように使えば良かったか。一体捨ててしまった」

「なんて奴なの!」


 コズエが憤る。


「兵站に連絡するから、ここも占拠されるぞ」

「こんな田舎に来るはずないだろ。村人が消えても放置されてるんだから」


 まあ、そうだな。——みんなは入り込めただろうか?


 クレードたちは台所にある裏口から入った。老人たち三人と、ラナとミシュカが食事の用意をしていた。老人たちはクレードたちが来たことを喜んだ。


「ここにいる人は全員外に出て。他の人は俺たちが助けに行く。どの辺りにいるか教えてくれ」

「洗濯場に二人と、立てなくなった二人が使用人部屋で寝ている。あとの一人は、井戸で水汲みをしているよ」

「分かった」


 老人たちは裏口から出て行く。ラナとミシュカが来る。


「私たちが案内します」

「分かった。寝ている人を先に連れ出す。他の子たちにも手伝ってもらいたいから、ミシュカはみんなを呼んできてくれ。屋敷が元に戻ると言うんだ。荷物は後で回収できる。エリサには言わなくていい」

「分かりました」


 二手に分かれる。使用人部屋に行くと、お年寄りが力なく床で寝ていた。一人を毛布の上に乗せる。六人が手伝いにやって来た。


「四人は運ぶのを手伝ってくれ。あとの四人は、他のお年寄り三人を屋敷から連れ出してくれ」


 ラナとミシュカが二人を連れて出て行く。クレードが一人を担ぎ上げた。女の子四人で毛布の四隅を持って運び出した。ジミーとコリンも左右の真ん中を持つ。


 タクトとフレイアは横にあるドアから入った。魔法石は使用中に魔力を出すので、タクトはそれを察知できる。


「録音石が置いてあった居間にあると思う。こっちよ」

「うん。魔法石の近くに行けば分かると思う」


 居間に行き、そっと中を覗くとそこにはエリサがいた。エリサは気が付いていた。


「待ってたわよ」

(ゴーザと一緒じゃないのか)


 タクトはめずらしく嫌な顔をした。二人は仕方なくそのまま部屋に入った。エリサは低い戸棚の前にいる。タクトはそこに魔力を感じた。多分、魔法で鍵がかけられているだろう。


「戸棚の中よ」

「分かった」


 タクトは両手を出して拘束魔法をエリサにかけるが、効かなかった。


「魔法は効かないわよ!」

「アイテムを持っているのか……」

「あの女は私が相手をする」

「え、殺さないよね」

「……分からないわ」

(仕方ない)


 タクトはうなずいた。フレイアは、クレードに借りたナイフをエリサに投げた。髪をかすめて切れた。どうやら、物理攻撃は効くようだ。


「きゃあ!」

「殺されたくなかったら、逃げなさい」

「分かったわよ!」


 エリサがあっさり出て行こうとすると、フレイアが腕をつかんで、アイテムの腕輪を抜き取った。


「これはもらっておくわ」

「あ! 泥棒!」

「早く逃げるのね」


 片手でエリサの顔面に向けて、別のナイフを構えた。エリサは腕を振り払うと素早く逃げた。フレイアは投げたナイフを回収した。

 タクトは戸棚にかけられた魔法を調べた。



 俺は録音石を取り出して、ゴーザに見せた。


「ここに、お前がしてきたことを全て録音してある。これを兵站に送ることにする。じゃあな」


 俺は後ろを向くと歩きだした。


 コズエは戻って行くシュナに戸惑った。


「まって、シュナ!」

「それなら、録音石ごと破壊してやる」


 ゴーザはニヤリと笑った。コズエはその場でシュナを見ていたが、目の端に光を捕らえた。


「最大出力だ!」


 ゴーザは雷を出した。コズエは玉を出すと、ラケットで素早くゴーザめがけて打った。


「こないだのは、お前か。そんなものが雷に効くはずないだろ」


 俺はその声で振り返った。玉は雷の光に当たると、大量の水を噴き出した。


「なんだと!?」


 そのまま雷は、ゴーザめがけて落ちた。辺りにものすごい雷鳴が轟いた。ゴーザはそのまま後ろに倒れた。


「やったか」

「ゴーザ様!? 今の音は何が」


 逃げてきたエリサが部屋に入ってきた。バルコニーにゴーザが倒れているのを見て駆け寄る。


「死んでる!」

「死んだのか。増幅器を使っていなければ、生きてただろうな。あいつの敗因は、圧倒的な戦力不足だ」

(死んじゃったのね……)


 コズエは死を悼んだ。エリサが叫んだ。


「あなたたちがやったのね。この、人殺し!」

「勘違いするな。ゴーザは自分の雷で死んだんだ。ここに全部記録されている。それよりお前、このままだと今度はゴーザの女だぞ」

「ちっ!」


 そう言うと、エリサは逃げようとしたが、座ってゴーザの首からネックレスを取り出した。


「あいつアイテムを取る気だな」


 その時、家が縮み始めた。


「きゃー」

「タクトが魔法石を見つけたのか? それともゴーザが死んだから魔力が切れたのか」


 家は小さくなって元に戻った。増築部分は消えて、そこにあったものは外に置かれていた。エリサとゴーザも途中から地面に落ちた。ゴーザは白目をむいていた。


「あいたた」


 エリサはお尻を打った。俺とコズエはエリサの前に立ちはだかる。フレイアに付けられていた手枷を持ってきていた。それをエリサに見せる。


「ちょうどいい拘束具がある」

「やめて!」


 俺は容赦なくエリサの両手に手枷をはめた。エリサはすぐにエネルギーを吸い取られて倒れた。さて、アイテムを取るか。ネックレスは服の下に付けていたので見えなかったから、エリサのおかげだな。ゴーザからネックレスと指輪を取った。エリサは悔しそうにしていた。

 家の中からタクトとフレイアが出てきた。


「すごい音がした! まだ何もしてないけど、家が元に戻った。どうなったの?」

「そうか。ならゴーザが死んで魔法石の魔力が切れたんだ。もうゆっくり探してもいいぞ」


 屋敷を作りだすには相当な魔力がいる。屋敷を作れる魔法石なら相当高度なものだ。これも奪った物だろう。


「そうなのね。なら荷物を集めるわ」

「私も手伝う」


 フレイアは自分の荷物が気になるのだろう。コズエも荷物を集めに行った。


「戸棚の中に金庫があったんだ。それをまだ開けていない。多分そこに屋敷を作る魔法石が入ってる。魔力が切れたなら簡単に開けられるな」


 タクトは家の中に戻っていった。クレードと女の子たちが戻って来た。


「作戦が上手くいったようだな」

「ゴーザ様!」


 倒れたゴーザを見て女の子たちは驚いた。泣き出す子もいた。様は引っかかるけど、まあしょうがない……。


「私たちどうなってしまうんですか?」

「売られてしまうの?」

「そんなことしない。ここに残ってもいいし、家に帰りたい子は送っていく。行きたい場所があればそこでもいい。残るならお年寄りの世話や畑を手伝ってくれ。途中で帰りたくなれば、録音石で呼べばすぐ来るよ」


 クレードが説明すると、みんな泣き止んだ。ゴーザが悪人なのはみんな分かっているから、自分たちの先行きが不安なだけだったようだ。茶色の長い髪の、一番落ち着いた感じの女の子が言った。


「私はローラです。家に帰りたいです。黙って出てきたから」

「なんだって!?」


 クレードが思わず声を出したが、みんなも驚いていた。


「だって、楽しそうだったから……」

(やれやれ、とんでもないな)「分かった。先に、全員無事なことを兵站に送る。いいね」

「はい」


 女の子たちの映像を送ってから、みんなで荷物を集めた。フレイアも自分の荷物を取り戻したようだ。女の子たちも自分の荷物を持った。残ったのは食料とエリサの物だろう。横になっているエリサに聞いてみた。


「これはお前の物か?」


 首を縦に動かしたので、魔法袋に全部入れた。エリサの手枷を外す。まだ力は入らない。


「回復魔法をかけるよ」


 タクトはエリサに魔法をかけた。その途端、


「あなたたち最低よ!」

「またこれを付けるか?」


 俺は手枷を見せる。エリサは驚いて黙った。


「お前な、あの場にいたら、ゴーザと心中していたんだぞ。もう危ないことはするな。次また悪さしていたら、今度こそ兵站に通報する」

「……エリサがいたら、玉を打ってから逃げるように言ったと思う。エリサなら上手く逃げられたはず」


 コズエの優しい言葉に、エリサは一瞬悲しい表情を浮かべた。


「うるさいわよ!」


 そう言うと、荷物を持って出口に走った。ローラが聞いてきた。


「あの子、何だったんです? 途中から加わったけど、ずっとゴーザ様を独り占めしていて」

「あいつはコソ泥だ」

「え!?」

「そうだったんだ……」


 みんな驚いていたが、納得していた。クレードは、いなくなった二人の情報を罠から消去して、入れなくした。


「これでもう安心だ」


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