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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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23/43

23、突然の訪問

 借りている家に入った。フレイアの手枷をタクトが解錠してから、ベッドに寝かせる。


「ありがとう」


 力なくフレイアは言った。コズエが面倒を見る。


「大丈夫よ。どこか悪いところはある?」

「力が入らないの。エネルギーが吸い取られる拘束具を使われたみたい」

「そうだったの」


 俺が聞いた。


「何があったか話せる?」

「ええ、大丈夫」


 フレイアはベッドから体を起こして、昨日あったことを話した。


「やっぱりあいつは、フレイアのことを知っていたんだな」

「ええ。私の情報を調べている、変態だとは思わなかった」

「うわ……。それにしてもエリサは、どうしようもないわね!」


 フレイアはコズエを不思議そうに見た。


「あなたは、エリサにひどい目に遭ったのに、あまり悪く思っていないのね」

「え? ……そうね。結果的にシュナに会えたし、エリサ自身は人に危害を加えたりしていないからかな。悪いことをしているけど、あまりたいしたことをしていないような?」

「コズエは異世界人なんだ。俺たちとは違う考え方をするときがある」

「あなた異世界人だったのね」

「うん」


 フレイアは自分の手を見ていた。そして、自分のことを話し始めた。


「私はフレイア。17歳で、テンバー団の一員よ」


 テンバー団!? そうだったのか。


「同じ年だわ」

「そうなの?」


 コズエの言葉にフレイアが素の顔になる。俺がテンバー団について話す。


「テンバー団は聞いたことがある。マーレイに拠点がある商会だ。リーダーのクライムは若くて天才肌だって話だ」


 通称スネイク。狙った獲物は逃さないからだ。


「そうよ。私はそこに所属しているの。5歳の時にこの見た目のせいで、両親に村から離れた修道院に預けられたの」

「!」(そんな……)


 コズエは驚いた。フレイアは話を続けた。


「両親は大事にしてくれたの、でも村人たちは違った。気味悪がって。母は村人たちがそのうち私に危害を加えるんじゃないかと思って、修道院に連れて行った。両親とはそれ以来会っていない。

 修道院では、白いものは神の使いだと言われて大事にされたの。だからそれで良かった。私も小さな修道服を着て、頭に布を付けて過ごした。

 それから8歳になった時に、クライムが私の噂を聞きつけてやってきたの。変わったものが好きだから」


『この子を引き取らせてほしい。ここにいても、そのうち人買いに誘拐されてしまうだろう』


 それを聞いて修道女たちは迷った。


『この子を大事に育てる。それを神に誓おう』


「クライムがそう言ったので、修道女たちは私に決めさせることにした。嘘を言っているようには見えなかったし、私は人買いに連れて行かれるよりはこの人のほうがいいと思って、うなずいた。引き取ってから、クライムは私に自分の身を守れるように、護身術や武器の使い方を教えてくれた。クライムは約束を守ってくれた。

 しばらくは商団の護衛をしていたけど、身軽に動けるから冒険者になって、アイテムを探すようになったの。そのついでに賞金稼ぎをしているのよ。

 ゴーザは私が暗殺者だと他の人から聞いたけど、私はただの賞金稼ぎよ」


 フレイアは道理を通している。ユナさんを手に掛けなかった。コズエがそっと言った。


「話してくれてありがとう」


 フレイアの顔が緩んだ。フレイアも誰かに話を聞いてもらいたかったんだな。コズエは同じ年だし。一人で行動するところが俺に似ているなと思った。他にも似ている人がいて良かった……。

 俺は預かっていた、ミンたちの魔法袋三枚をフレイアに渡した。


「あなたたちは、本当に約束を守るのね」

「当然さ」

「誰でもできることじゃないわ」(魔法袋は高価だもの)


 フレイアはたちと言ってくれた。


「回復魔法をかけるよ」


 タクトはそう言うと、フレイアに魔法をかけた。


「ありがとう。体力が戻ったわ」

「えへへ」


 タクトはお礼を言われて照れた。コズエはそれを見てフッと笑う。


「私も自分の魔法袋を取り返したいから、あなたたちに協力するわ」

「助かる!」


 クレードが言ったその時、ドアを叩く音がした。みんなが警戒する。クレードがドアを開けると、青い髪の女の子が立っていた。


「君は屋敷にいた子だね。どうしたんだ?」

「はい。ゴーザ様に、倒れたおじいさんを柵の外に捨ててこいと言われたんです。でもそんなことができなくて、あなたたちを捜すことにしたんです。家にいるおばあさんに聞いたら、ここにいると言われて来ました。あと、聞きたいことがあるんです」

「なんだって!?」


 クレードが慌てて後ろを見ると、荷台に乗せられた村長のお父さんが横たわっていた。もう一人荷車を押していた、茶色の髪の女の子がいる。


「ブレアさん!」


 声をかけたが、返事はなかった。


「息はある」

「お年寄りはほとんど、食べ物をもらえなかったんです……」


 クレードがブレアさんを中に運び入れて、もう一つのベッドに寝かせた。タクトが回復魔法をかけると、ブレアさんが目を覚ました。クレードが台所で、缶詰のスープを温める。


「ああ、クレード来てくれたんだね。うちの息子は村を捨てたが、お前は本当にいい奴だ」

(え!?)


 ブレアさんは涙を流した。コズエが小さな声で俺に聞いてきた。


「仲間って村長さんのことだったの?」

「村長は助かった中の一人だ。でも、危険だから村を移ろうと、意見が対立したんだ。仕方ないことかも……」

「そっか……」


「食べていなくて、倒れてしまったようだ」

「これを食べて。ゆっくりよく噛んでください」


 クレードはスープを食べさせた。


「ありがとう。久しぶりに食べた。とてもおいしいよ」


 その後、クレードは女の子たちから話を聞いた。


「連れてきてくれてありがとう。聞きたいことって何だい?」

「兵站に通報するって言ってましたよね。私たちもお尋ね者になるんですか?」

「そうだ。このことが終わったら、通報する」

「そんなの困ります」

「どうしよう」


 女の子二人は涙ぐんだ。


「君たちは何であんな奴について来たんだ?」

「ゴーザ様が急に声をかけてきて、君たちに見合った楽な暮らしをさせてくれるって言ったんです。家にいてもいい暮らしはできませんし」

「私もたいして稼ぎもよくなかったんで、家族から文句を言われて、家に居づらかったんです……」

「私は、様子を見て最後に合流したわ」


 フレイアが言った。


(二人ともシュナと同じぐらいかな。家族に言われるとつらいよね……)


 コズエが気の毒そうに二人を見ていた。みんな問題を抱えているようだな。青い髪の子がラナ、茶色の髪の子がミシュカと名乗った。


「フレイアを殺そうとした場面は録音石に記録した。俺たちにも攻撃してきたから、殺人未遂であいつは逮捕される。他にも余罪があるから、いい奴じゃないぞ」

「そんな! 怖い」

「そうですよね……。お年寄りにもひどいことをしていたし」


 女の子たちは震えた。クレードが質問した。


「食料はどうしていたんだ?」

「この村の物をかき集めてました。それがなくなれば、行商の人を呼ぶって言ってました」

「ここは、アイサムの街からも近くて治安もいい。村人が消えた村に目星をつけて来たんだな」

「迷惑な奴だ!」


 俺の言葉を聞いて、クレードが憤慨した。


「このままだと村の大事な食料が全部食い尽くされてしまう。お年寄りたちの体が心配だ。君たちが協力してくれれば、君たちは何もしなかったのを証言する。どうだい?」

「分かりました」

「はい」


 ラナとミシュカも了承してくれた。


「でも、あの屋敷の中は監視されています」

「そうか。なら、他の子たちには言わなくていい。君たちはお年寄りたちの状態をチェックして、作戦が決行されたら、みんなで協力してお年寄りたちを外に避難させてほしい。それじゃあ、戻って。ゴーザには、言われた通りにしたと言うんだ」

「分かりました」


 二人は荷車を押して屋敷に帰った。クレードが言った。


「作戦は明日決行する」

「俺とコズエでゴーザを仕留める」

「お!」

「何か作戦があるのか?」


 コズエもやる気になってる。クレードの問いに、俺はニヤリとする。


「そうだ。簡単な方法さ。俺たち二人が正面からまた会いに行く。その隙にタクトとフレイアで屋敷を作った魔法石を探してくれ。そのスイッチを切れば、逃げ場がなくなる」

「分かった!」

「いいわ。場所の目星は付いてる」


 タクトとフレイアが了承する。


「クレードとジミーとコリンは、女の子たちとお年寄りを救出してくれ」

「了解した。お前の作戦に任せた」

『了解』


 ジミーとコリンも手を額に当てた。


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