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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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17/43

17、ファンの訪問

 サンドルに、ファンが会いたいので連れてきたと話したら、快く承諾してくれた。外で待たせていたゼインたちを家の中に入れると、シルフォードがサンドルに挨拶をした。


「僕はゼインのパーティのS()()()()使()()シルフォードです。あなたに憧れて、髪も長くしたんですよ!」

「そうですか」


 サンドルには見えないけどな。


「そこでお願いなんですけど、あなたの魔法の杖を譲ってもらえないでしょうか。大事にします」

(えっ? 何言ってるのこの人)


 俺たちは驚いた。こいつ、それが目当てだったのか。とんでもない奴を連れて来てしまった。だがサンドルは落ち着いていた。杖は部屋の隅に立てかけてあった。


「それはできません。こう見えても魔力は使えるので、この杖はまだ必要なんです。でもあなたがエイリアスの花を持ってきて、私の目が治ったら、お礼に差し上げます」


 シルフォードはそれを聞いて無表情になった。でもすぐに、にこやかな顔をする。


「分かりました。採ってきますよ。さあみんな、行きましょう」


 そう言うと、仲間を連れて出て行った。俺は申し訳なく思った。


「すいません、失礼な人だと思わなくて……」

「本当、失礼な人。S級だから、もっとちゃんとした人なのかと思った」


 コズエも憤慨する。サンドルは穏やかに言った。


「大丈夫ですよ。同じような人が、何人も来ていますから」

『え!?』


 俺とコズエは驚いた。


「その度に同じことを言っています。まだ誰も持って来ていませんけどね。それに私も、前はあんな感じでした。調子に乗っていたんでしょうね。

 S級モンスターのショートドラゴンの毒が残ることを知らなくて、後遺症でこんなことになってしまいました。罰が当たったんです。私が故郷に帰ろうとしたら、妻は付いて来ませんでした。それで離婚しました」

(え~、こんなイケメンでも振られるの!? 大人の女性は厳しいわね……)


 コズエが気の毒そうな顔をしていた。タクトは杖のことを聞いてきた。


「この杖は、魔力を増幅するものですよね。S級のアイテムだ」

「そうです。今もこの家を守るのに使っていますよ」

「へ~、そうなんだ」


 タクトは目をキラキラさせて杖を見ていた。杖にはピンからキリまであり、増幅アイテムは杖以外にもある。S級モンスターを相手にするよりは、他人からもらったほうが早くて安全だ。タクトに聞いてみた。


「タクトも杖が欲しいの?」

「いやいや、俺には過ぎた物だよ。それに両手が空いているほうが、魔法が使いやすいし」


 タクトらしいな。サンドルもその言葉にニコッとした。そこへ、アミンが泣いて帰って来た。コズエが駆け寄る。


「どうしたの!?」

「家から出てきた人が、お父さんを治さないって言ってた」

「どういうこと!?」


 アミンが泣きながら話した。


「髪の長い人から、丸いものが落ちたの。それを拾って渡そうと思ったら」


『あいつちゃっかりしてたな。せっかくファンの真似までしたのに、条件を出してくるとは』

『どうするんだ?』

『サンドルを治すもんか。S級魔法使いは俺だけで十分だ』

『お前の他にもいるだろ』


「そう言ってた」

「なんて人達なの!!」


 コズエが怒った。シルフォードだけだと思うが……。サンドルがアミンの背中に手を置いて、頭を撫でた。


「アミン。ごめんね、私のせいで」

「うんん」


 アミンは首を振った。タクトが不安そうな顔をした。


「魔法使いは、みんなあんなふうになっちゃうのかな」

「そうかも。タクトも調子に乗りそうだから、気を付けたほうがいいぞ」

「そこは、違うよって言ってよ」

「お前はまだ、F級でもないから安心しろ」

「なんか違う~」


 タクトがそう言うと、みんなが笑った。

 俺たちは明日、また情報収集をし直すことにした。その後、時間があれば村の森に入ってモンスター狩りをすることにした。高原には、ゼインたちの結果を待って登ることにする。

 夜にはアミンもすっかり元気になって、俺たちをもてなしてくれた。小さいのにえらいな。コズエが年を聞いたら、アミンはネネと同じ6歳だった。また、ネネを思い出した。


 翌日、俺たちは、村にいる冒険者たちに話を聞いて回った。

 この冒険者はもう一度入る予定だ。


「エイリアスの花? 白い花なら遠くから見たよ。でもジャイアントベアーがいて近づけなかった。ベアーは近寄らなければ、攻撃しないからな」


「ベアーも攻撃しないんだね」


 冒険者の話を聞いてコズエが言った。どうやら縄張りらしいな。これはやっかいだ。俺は聞いてみた。


「じゃあ、どこを探しているんですか?」

「神聖力が高そうなところだよ」

「え? そんなところがあるんですか」

「今のところないね」


 冒険者にお礼を言って分かれた。コズエがまた聞いてくる。


「神聖力って何?」

「神の力だよ」

「そんなの分かるの⁉」

「魔力と違うから、魔法使いには分かるんじゃないかな。光魔法は神聖力とも言われている」


 コズエはタクトに聞いた。


「タクトも分かるの?」

「んーそうだな。授業でも光魔法に触れることがあったし、こないだユナにしてもらったから、違いは分かると思うよ」

「えっ、すごい!」

「エヘヘ」


 タクトは頭に手を置いて照れた。他の冒険者にも聞いてみる。


「エイリアスの花のあたりをみんな掘りたがっているが、掘った奴も何も見つけてないんじゃないかな」

「花はどうなったんですか?」

「さあ?」


 コズエの問いに冒険者はそう答えた。


「花がなければまずいな」

「そうだよね。掘り起こされちゃったら、花がなくなるよ」

「エイリアスの花はずっと咲いてるの?」


 今が季節? コズエの疑問に俺もあれっと思った。


「そうだな。それをサンドルさんに聞いてみよう」


 まだグロット・オーが見つかった話も出てないし、これだけ人がいるってことは、まだ何も見つけてないんだよな。

 花を取りに行った人もいない。誰も他人のために早起きしたり、高原で夜を過ごしたりしないよな。

 俺たちは花のことを聞くために家に戻った。


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