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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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16、S級冒険者たち

 街道からシロリス村に行く道に入ると、歩いている冒険者たちが増えてきた。村の入口まで来ると、入る人で行列ができていた。村は塀で囲いがしてあり、入口の左には白い石でできたリスの像が置いてあった。両脇には露店が三軒出ていて、中の方にも露店が並んでいるのが見えた。


「ちょっと、すごい人! これ全部冒険者なの⁉ あのおじさん、いったい何人に売ったのかしら」

「そうみたいだな。もしかしたら、街道の先でも売ってる人がいるんじゃないか?」

「なるほど」


 タクトが顔を紅潮させて言った。


「白いリスなんて、あの白い髪の女の子みたいだね♡」

「……」


 コズエが引いた目で見ているぞ……。入口の方から説明の声が聞こえてきた。


「村に入れるのは1日50人まで、一人銅貨三枚です。高原に登れるのは1日30人まで、一人銅貨五枚です」


「人数制限があるみたいだな。しかも金が要る」

「え、じゃあ村に入れないこともあるの?」

「そうだな」


 タクトが聞いてきたのでそう答えた。村の中の店は村人たちが開いていて、外の店は外から来た者たちだろう。多分場所代を取っている。人数制限することで、村に停泊させてお金を落とさせるのが狙いだろう。よく考えているな。あとは村や高原が荒らされないためだな。俺たちは村に入らなくてもいいので、問題ない。


「お願いします。どなたかエイリアスの花を取ってきてくれませんか? お礼はします」


 入口の横で、小さな女の子が呼びかけていた。俺はその子に話を聞きに行った。


「どうしたの?」

「あ! 冒険者の方ですよね。お願いします。父が目の病気でエイリアスの花が必要なんです」


 小さいのにとても礼儀正しいな。


「今まで受けた人はいたの?」

「何人かにお願いしたんですが、誰も戻ってきてなくて」

「え!? それって……」


 タクトが口に手をやって、恐怖の表情をした。それを聞いて、近くにいた冒険者が話しかけてきた。


「違うよ。高原に洞窟があるだろ。地図にはその先が書いてないけど、向こう側に抜けられるんだ。そこから街道に戻ったんじゃないかって話だ。

 村人ならみんな知っている道で、昔逃げ道で作られたんじゃないかって聞いたよ」

「なるほど」


 そっちに行ってほしくないから、この地図には書かれてないんだ。

 女の子が小さい声で言う。


「取ってきてくれるなら、村にタダで入れます。村人のお客はタダだから」

「話を聞くだけでも聞いてみるか」

「そうね」

「うん」


 俺たちは女の子に付いて行った。少し離れたところにある、村人用の入り口から入った。村の中も賑わっていた。村はかなり儲かっただろう。女の子の話では、この村は木工の村で、森で採った木で家具を作っていた。お土産店には、木彫りの白いリスのキーホルダーが置いてあった。どの家の前にもリスの置物が置いてある。リスは神の使いで、像は幸運のお守りなのだとか。

 女の子の家に案内された。大通りの脇の家だった。この家にもリスの像が置いてある。


「お父さん、冒険者の方を連れてきたよ」

「いらっしゃいませ。アミンお帰り」


 お父さんは30代ぐらいで、シルバーのロングヘアー、目は白く濁っていた。


(うわ、すごい美形だわ)


 コズエが口を開けて見とれていた。俺が話を切り出した。


「アミンちゃんから話を聞きました。目の病気だと」

「はい、でも病気というより、モンスターにやられたんです。私はサンドルです。昔S級魔法使いでした」

「えっ! じゃあ、あなたが、地図を作った人?」

「そうです」

『え!?』


 コズエとタクトも驚いた。


「あなたは気づいていたんですね。あの地図は、私がエイリアスの花が欲しくて作ったんです」

「でも、エイリアスの花は病気に効くと言われているから、モンスターの毒には効かないんじゃないですか?」

「村では、病気以外にも効くと言われているんです。だから私はそれを試したいんです」

「なるほど」

「聖女の力はどうですか?」


 コズエが聞いてみた。


「もちろんお願いしましたが、ダメでした。だから私は故郷に伝わる伝説を頼って、村に戻って来たんです」

「お願いします。お父さんの目を治してあげてください」


 アミンがお願いしてくる。サンドルが確かめながらアミンに手を置いた。子供に言われると弱いな。


「それに、エイリアスの花に効果があるのは、グロット・オーが埋まっているからではないかと言われています。エイリアスの花はこの村にしかありません」

「う~ん。分かりました。とりあえずやってみます。二人ともいいかな?」

「もちろんだ!」

「いいよ」

「君は素晴らしいリーダーだ。君ならできるよ」

「そうだ! シュナはいいやつだ」


 サンドルは俺を知らないのに力説した。意外と調子いい人なのか? タクトは俺の肩に腕を回す。俺は褒められて照れ臭かった。コズエもうれしそうにしていた。



「どうぞうちに泊まっていってください」

「ありがとうございます」


 宿泊先が決まってほっとした。俺たちは自己紹介をして、フリオン団の者だと伝えた。

 エイリアスの花は白くてユリに似ているそうだ。花と茎は短くて、中心が少し水色がかっている。俺たちは情報収集のために外に出てみた。村の中は冒険者たちで溢れていた。

 高原の入口まで行ってみる。ここも塀があって、右側に白リスの像が置いてあった。門は付いていない。


「おい、ゼインのパーティが来てるらしいぞ」


「え⁉」


 冒険者の話を聞いて、タクトが怯えた。昨日のことだから、まだミンたちの情報は出ていない。鉢合わせたらまずいな。


「おいお前! ミンのところにいたタクトだろ。聞いた風貌と似ているぞ」


 後ろから大きな声がした。振り返ると赤茶色の髪を逆立てて、髭のあるいかつい男が近寄って来た。上半身には鎧を付けている。この男がゼインだな。見つかった。俺がタクトの前に出る。


「待て、ミンのパーティは賞金首で、昨日賞金稼ぎに四人とも殺された。強盗だったんだ」

「なんだって⁉」

「あなたたちのことはユナから聞きました。俺は、ミンに捕まっていたから逃げたんだ」

「そうだったのか。すっかり騙されたな。悪かったな」


 ゼインはあっさり引いた。


「俺はフリオン団のシュナ。あなたたちも高原に行くんですか?」

「そうだ。明日、高原に登ることになっている。グロット・オーを探しに行くのさ」


 意外と単純なのか? 水色の長髪の男が話してきた。


「フリオン団は聞いたことある。強くもないから、慈善団体ということで名前を売ってるらしいな」

(なにこの人……)


 コズエが険しい顔をする。


「ここは、元S級魔法使いのサンドルの故郷らしいんだけど、俺もS級魔法使いなんだ。彼のファンでね。髪型も真似してるのさ。彼に会いたいんだが君たち知らないかい?」


 魔法使いは髪を軽く払って言った。こいつがユナの言っていた、シルフォードだな。


「サンドル!? 私たち、ちょうどそこでお世話になっているけど……」(アミンを無視しなかったら会えたよね? ユナさんから聞いた時は、いい人だと思ったけどなんか違う)

「え、じゃあ彼の家に案内してくれないかい? ぜひ挨拶したいんだ」


 ファンならいいのか?


「じゃあ、ちょっと聞いてみるよ」


 ゼインのパーティは六人で、結構な大所帯だ。さすがS級。

 俺たちはゼインたちを引き連れてサンドルの家に戻った。


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