表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/17

14、グロット・オーの地図

 町に戻ると、保存食の店から商品を返すことにした。商品を取り返したことを話すと、店主は驚いていた。


「そんなことがあるの!?」

「たまたま出くわして」

「ありがとう!!」


 店主に感謝された。大体片付けは終わっていて、棚を直す職人も来ていた。職人の手伝いもして、商品を棚に戻した。お礼に缶詰をもらった。

 次に生鮮食品店に行く。そこの店主も同じように驚いていた。そこも職人が棚を直していたので、同じように手伝った。町の人も見に来ていて、取り返したという噂は町中に広まった。ここでも、お礼に野菜や果物をもらった。

 袋の中には、他の食料もまだ少し入っていた。袋は、入れた日付ごとに分かるようになっている。今日より前の物は、違う町で盗った物だろう。それは神殿に寄付することにした。神殿でも歓迎され、その日は神殿に泊まらせてもらうことにした。神殿は困っている人も泊まることができ、その代わり手伝いをすることになっている。


「また神殿に来たわね……」


 ユナはぽつりと言ったが、久しぶりのおいしいごはんとベッドに満足していた。ユナとコズエ、俺とタクトが同室だ。

 翌日、神官長が祝福の祈りをしてくれることになった。四人で礼拝堂に入り、祝福の祈りを受けた。


「あ~、清々しいわ」


 ユナが言った。


「人にしてもらうと、こんなに気持ちがいいものなのね。今までしてもらったことがないけど、こんな風に効果があるのを見たことがないわ。感謝がないとダメなのね。あいつらはやっぱり感謝が足りないんだわ」


 口の悪い聖女だな……。コズエはユナの言い方に笑っていた。ユナは、はっきりものを言う変わった聖女だった。

 神官長や神殿の人たちにお礼を言って、神殿を後にした。町行く人々が挨拶してくれる。フリオン団の名声が上がったなと思った。きっとおじさんも喜ぶだろう。でもこれって、一人では無理だったと思う。コズエやタクトがいたからだ。仲間もいいなと思った。


 町を出て、また森に差し掛かったころ。


「あなたたち、ちょっと待って!」


 ユナが声を上げた。振り返ると、ちょっと距離が開いていた。ユナは息切れしていた。


「あなたたち、歩くのが早いわよ!」

「そうか。俺、前は荷物を持たされていたから気づかなかったけど、あいつらは体力がないから、割とゆっくり歩いてたんだな」


 タクトが頭をかいた。チェンも細かったし、他のメンバーは女性だったからな。


「コズエも歩くの早いのね」


 ユナがコズエに言った。


「うん、体力には自信があるかな」

「いいわね。聖女なんか、全然体力がないのよ」

「そうなんだ。私が横を歩くわ。そうすれば、分かるもの」

「別に急いでないから、ゆっくり行こう」

「ありがとう」


 俺とタクトが前を歩いた。


「やっぱり、次の町で置いていって。私もゆっくりしていきたいから」

「分かった」


 俺は了承した。コズエは心配した。


「いいの?」

「いいのよ。そこでしばらく稼いでから、大きい街に移るわ。移動の時は、どっかのパーティやキャラバンに付いて行く。聖女だから重宝されるしね」

「なるほど」


(体力があるのは自分にとって普通だったけど、今は良かったなと思う)


 コズエとユナは話をしながら歩いた。


「ユナさん、32歳だったの!? 40代かと思った」


 コズエ……。うちの副リーダーのクレードと同じ年だな。


「あ、ごめん。またやっちゃった」

「いいのよ。私、昔から老けてたから、気にしてないわよ」

「ユナさんいい人だね。やっぱり聖女だから?」

「そうね。なんで自分が聖女なのか、分からないけどね。アハハ」


 軽いな……。


「……でも私が老けて見えるのは、元気がなかったからかも。あなたたちといて、元気が出てきたわ。こんなに落ち着いた気持ちになれたのは初めてよ。

 私が神殿に行った1年後には戦争が始まったし、それまでも国は落ち着いてなかったから」

「そうなんだ」


 俺はフリオン団ができた経緯を、タクトとユナに話した。


「そうだったんだね」

「あなたたちはそれで親切なのね。自分も大変な目に遭ったのにすごいわ」


 タクトは大袈裟に涙を流し、ユナは感心していた。人身売買組織を潰す活動のことは話さなかった。助けた人たちにも秘密にしてもらっている。


(みんな能力やいいところがあっても、大変な目に遭ってるな。この世界に来ないと分からないことだった。

 聖女だから誘拐されたユナさん。魔力があっても騙されたタクト。普通だけど体力はあって、なぜか異世界に来た私。一人だけ生き残ったけど、家族がいないシュナ……)



 宿場町に着くと、昼食を取るために食堂に入った。四角いテーブルに向かい合って、二人ずつ座る。食事が運ばれてきてみんなで食べ始めると、ユナが話をした。


「ここは良さそうだから、ここに残るわ。もう会えないかもしれないから、タクトに言っておく」

「うん……」

「私は、あんたが突き飛ばしたことを許す気はないけど、忘れることにした。

 あなたたちを見て思ったの。年上の私が、何も知らないタクトを助けなきゃいけなかったって。これからはそうやって生きるわ。ごめんね、タクト」

(仕方がなかったかもしれないし、後で気が付くこともある。……でもこれは、二人の問題だ)


 コズエも俺も食べながら黙って聞いた。


「分かった」


 タクトはぽつりとそう言うと、すぐに視線をそらしてまた食べ始めた。

 俺たちのテーブルに、小柄な男が近づいて来た。


「君たち冒険者だろ。グロット・オーの宝の地図があるんだけど買わないかい?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ