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グロット・オー ~スナープ団をぶっ潰せ!~  作者: 雲乃琳雨


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11/17

11、新しい武器

 俺はコズエの武器のことを、早速タクトに聞いてみた。


「タクトにお願いがあるんだ」

「何でも言って」


 タクトは親指を立てて、ウィンクした。


「コズエの持っているラケットを、武器にしてもらえないかな。魔力があるみたいだけど、今のままだと強度が弱いから。石や玉を打てるようにしてほしい」

「見せて」

「うん」


 コズエはカバンからラケットを取り出して、タクトに渡した。


「変わった形だね。本当だ、魔力がある。すごいね。さすが異世界の武器だ」

「いや、それ武器じゃない」(叩いてもあんまり痛くないし)「向こうの世界は魔法がないから、こっちに来た時の影響だと思う」

「そうなんだ。シュナは魔力が分かるの?」

「うん、少しキラキラして見える」

「え? すごい。普通見えないよ! 俺は分かるだけ」

「俺、海に落ちてからそういうのが少し見えるんだ……」


 生死を彷徨ったからだろうか? 二人とも少し気まずそうだった。


「そうか……。魔鉱石はある?」

「いや持ってない」

「じゃあ、今はこれが傷がつかないように、強度を増す魔法をかけるよ」

「助かる!」(石なんか打ったら、ボロボロになっちゃうもんね)


 タクトが両手をかざすと、エメラルドグリーンの魔法陣が出て、ラケットが光った。光が消えると、ラケットがつるんとして見える。


「強化魔法と保護魔法をかけたよ。これで、スピードが出るし、固い物も打てるよ。物理攻撃なら防御もできるし、魔鉱石があれば、属性防御を付与できるよ」

「本当に!? すごい。お礼はどうしたらいいの?」

「そうだな。今度デートしてよ。お金はないけど」


 タクトはウィンクした。


「おい。俺がお金を払うから。そういうのはやめろ」


 コズエはもう聞いていない。ラケットに夢中だった。素振りをしている。空気を切る音がすごい。それから、左右に拾うような動きを見せた。コズエの守備範囲の広さに驚いた。本当に運動神経がいいんだな。


「なんか言った?」

「トホホ」


 コズエの方が一枚上手だ。さすがコズエ。タクトが肩を落とす。俺はフンッと鼻息で笑った。

 ラケットをしまうと、また歩き始めた。


「当たると発動する、魔法属性の玉を作るといいかもしれない。簡単にできるし、触ると何の玉か魔法が教えてくれる」

「それいいね!」


 二人は夢中で話していた。


「タクトは何歳なの? 私は17歳だよ」

「俺は16歳」

(一つ下か。また弟が増えたな)

「俺は15歳だ」

「えっ? もっと年下かと思った」


 ガ~ン。ショックを受けた俺を、コズエが見ていた。


(シュナがダメージを受けている)

「しっかりした子だな~と思ってたよ。捜してた時、みんながシュナのことを知ってた」

「どうやって、シュナを捜したの?」

「始めは普通の店の人に聞いたんだ。そうしたら、冒険者のことは装備屋か旅人に聞くといいって言われたんだ。それで、装備屋で聞いたら、シュナはフリオン団の一員だって知って、あとキャラバンの人から、シュナがバリントに行くって聞いたんだ」

「ああ~。なるほど! それでこちらに向かってたのね」

「うん」

「俺は取引をする人には信用されるために、ちゃんと名前を言うようにしているんだ。それにこうやって、他の人にも居場所が伝わるだろ」

「なるほど」

「そうなんだね」


 二人はうなずいた。これは、おじさんがやっていたことだけど。

 宿場町に到達したが、昼食だけ済ませるとすぐに出発した。タイミングが合わないので今日も野宿することになる。街道脇の森に入って準備をすると、タクトは楽しそうだった。


「あいつらは、俺が一人立ちできないように、何も教えてくれなかったんだ。シュナといると勉強になるよ」

「火起こしもしてみるか?」

「うん!」

「魔法で付けられるよね」


 コズエが聞いてきた。タクトが指で顔をかきながら説明する。


「モンスターは魔力を吸収するから、魔法を使うと引き寄せてしまうんだ。一人だから使わないようにしてた。でも、なかなか火がつかなくて、結局魔法で付けたこともあった」

「そうなの!?」

「うん。モンスターのレベルが高いと攻撃が効かないから、魔法使いは単体で行動するのに向いてないんだ。だから、なるべく宿屋に泊まってた。アイテムもなかなか取れないから、節約してやり繰りしてたんだ」

「魔法使いって意外と大変なんだね。もっと楽かと思った」(魔鉱石で儲けたりとかできないのね。上手くできてるなあ、この世界)

「そうなんだよ~」


 二人の話を聞きながら、すごく賑やかになったなと思った。夕食も終わり、俺を真ん中にして寝ることにした。


「え~、俺もコズエの隣で寝たいよ」


 言うと思った……。だから俺を真ん中にしたんだよ。


「そのほうが、コズエを守れるだろ」

「……そうだな」


 それも一理あるな。俺たちは一つずつ場所をずれた。


「あんまり引っ付くなよ。お前の寝相が悪くて、コズエが怪我したら大変だろ」

「そっか。俺、自分の寝相が悪いか、分からないな」


 タクトは姿勢を真っ直ぐにする。


「シュナ」


 コズエが小さい声で呼んだ。


「ん?」


 コズエはタクトを指さした。タクトは寝ているようだ。


「よっぽど疲れたんだね。すぐ寝ちゃった」

「そうだな」

「シュナに会えてうれしかったんだよ」

「そうかな? コズエと楽しそうに話してたけど」

「そうだよ。シュナは用心してたでしょ」

「うん」


 もしかしたらタクトは、俺に気を使ってコズエと話していたのか。


「シュナは年下だけど、私たちのお兄さんみたいだよね。頼りになる」

「……」


 ふと妹のことを思い出した。


「俺、妹がいたんだ」


 妹は6歳だった。小さかったネネ。涙が目の横を伝った。


「あっ、ゴメン思い出させて」

「いいんだ。……思い出さなきゃいけないんだ。きっと」


 ずっと忘れていたから。俺は指で涙をぬぐった。


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