入学から1週間
「…人生は長すぎる。というか、金髪ショートカット美女と永遠にイチャイチャしてたい。」
突然に現れた流れ星を見ながら、オレはそう口走った。
願い事のつもりだったが、かなり意味不明で非論理的。
父さんが聞いていたら、「真面目にしろ」とゲンコツをもらうレベルだ。
けど、久しぶりに人目を気にしていない言葉、心から出た言葉だった。
…いつからだろう。
他人には「真面目だね」と思われていたい。無難な自分でいたい。
それはきっと、他人に自分を見せたくないから。知られることが怖いから。
そんなの疲れるってのは分かってる。
…だれかに願い事を聞かれなかっただろうか。
…ベランダは肌寒いし、部屋に戻っとくか。
香川県の田舎から東京の私立大学に進学して1週間が経った。1年間の浪人中はずっと、ぴっかぴかのキャンパスライフを想像することで勉強に耐えてきた。
例えば、キラキラとした西洋風の建築物に囲まれながら、綺麗な茶髪の女の子と仲良さげに喋るオレ。
やりたい仕事に就くためにバリバリ頑張るオレ。
現実は、バリバリと煎餅を食べてはいる。バリバリバリとい一つ増やしても良いぐらいの量は食べている。けど、サークル勧誘にはビビって行けなかった。知り合いすら居ないし。
まして、茶髪の女の子と喋ることなんてのは、もう不可能じゃないかとも感じている。
この1週間の会話といえば、「うどん大盛りお願いします」と食堂のおばちゃんに伝えた程度。これ会話じゃないな。伝達だなコレ。
「…何か行動を起こさないと。」
正直、恋愛に飢えている。
さっそく大学のサークル一覧表を手に、自分のやりたいことを探しはじめることにした。